テスラの自動運転機能の現状は?事故の事例も解説
更新日: 2025/7/2投稿日: 2025/7/2
EV
「テスラの車って自動運転ができると聞くけど、どれくらい高度な自動運転機能なの?」
「テスラの自動運転って、時々事故を起こしているらしいけど、どんな事故が起きているの?」
「テスラのロボタクシーって何?」
などと考えていませんか?
最新のテクノロジーを活用した、最新鋭の自動車を多く製造しているテスラは、いま世界中から注目を集めている自動車メーカーです。
日本でも見かけることが増えてきたテスラの自動運転機能が、どれくらいすごいのか気になりますよね。
そこで本記事では、テスラの自動運転車について細かく解説します。ぜひ記事を最後までご覧ください。
テスラの自動車の基本知識を解説

テスラ(Tesla)は、電気自動車やエネルギー関連製品を開発・販売するアメリカ合衆国(米国)の企業です。2008年より、イーロン・マスク(Elon Musk)がCEOを務めています。
テスラが製造・販売している自動車は全て電気自動車です。
- セダンタイプの「モデルS」
- クロスオーヴァーSUVタイプの「モデルX」
- コンパクトラグジュアリーセダンの「モデル3」
などがラインナップされています。
テスラは自動運転機能の開発にも注力していますが、現在のテスラの自動車に搭載されているのは、部分的な自動運転を実現する運転支援機能です。将来的には完全な自動運転の実現を目指しています。
以下では、テスラの自動車の価格相場を紹介します。
モデル | 新車(税込) | 中古車(税込) | 特徴 |
モデル3 | 479.0万円~749.0万円 | 278.3万円~478.6万円 | 小型のセダンタイプ 5人乗り |
モデルS | 823.0万円~1694.6万円 | 452.9万円~1127.9万円 | セダンタイプ 5人乗り |
モデルX | 895.0万円~1817.09万円 | 434.0万円~1350.0万円 | SUVタイプ 最大7人乗り |
モデルY | 553.9万円~669.6万円 | 388.1万円~598.8万円 | モデル3がベースのSUVタイプ 最大7人乗り |
※2025年6月時点。
なお、モデル3やモデルYの購入の際には補助金を受けられる場合があります。
参考:補助金制度およびエコカー減税 | テスラ サポート ジャパン
テスラの自動運転機能は現状「レベル2」の運転支援装置

現在のテスラの自動車には「オートパイロット」や「フルセルフドライビング(FSD)」という機能が搭載されています。これらの機能は、ドライバーの運転を支援する機能であり、完全な自動運転機能ではありません。
自動車の自動運転には、レベル0~5までの段階があり、数字が大きいほど、システムによる運転操作への介入が大きくなります。
レベル2以下の自動運転は、システムがドライバーの運転操作を「支援」するにとどまります。そのため、レベル2以下の自動運転機能を備えている自動車は、厳密に言えば「運転支援車」であり、自動運転車とは言えません。
そして、テスラのオートパイロットやFSDはレベル2の運転支援機能なので、テスラの自動車は運転支援車なのです。
運転支援機能であるにもかかわらず「オートパイロット」や「フルセルフドライビング」という名称がつけられていることに対して、完全な自動運転機能であるという誤解を与えるといった批判が出ているのが実情です。
また、イーロン・マスクCEOの発言やテスラの発信する動画の中には「FSDは手放しで運転できる機能」という表現がたびたび登場し、不適切だと指摘されています。
実際、テスラの自動車が起こした事故の中には、オートパイロット使用中にドライバーがハンドルから手を離していた、前方を見ていなかったというケースも実際にあります。
なお、テスラは将来的にはレベル5の完全な自動運転の実現を目指しています。ただし、テスラの自動運転開発は、カメラを人間の目のように使い、地図データなしでの完全自動運転を目指していることが特徴です。
この方法では完全な自動運転は実現できないという悲観的な見解を出している識者もいて、完全な自動運転が実現するかは不透明です。
テスラの運転支援機能でできること|標準機能「オートパイロット」と「FSD」の違いは?

ベーシック オートパイロット
「ベーシック オートパイロット」は、テスラの自動車に標準装備されている運転支援機能です。走行車線を維持する「オートステアリング」の機能と、設定された走行速度を維持する「トラフィックアウェア クルーズコントロール」の機能があります。
エンハンスト オートパイロット
「エンハンスト オートパイロット」は、ベーシックオートパイロットの機能に加えて、以下のような機能を持ちます。こちらはオプション機能であり、価格は436,000円です。
機能名 | 概要 |
アクティブセーフティ機能 | 自動緊急ブレーキ、正面衝突警告、ブラインドスポット衝突警告、車線逸脱防止 |
オートレーンチェンジ | 高速道路で隣の車線への移動をアシスト |
ナビゲート オン オートパイロット | 高速道路の入口から走行を開始し、ドライバーの確認を得た上で正しい出口から退出する |
ダムサモン | モバイルアプリやキーを使って、狭いスペースから自動車を出し入れする ※1 |
アクチュアリー スマートサモン | 駐車場内にいるドライバーを見つけて迎えに行く ※2 |
オートパーキング | ワンタッチで並列駐車・縦列駐車を自動的に実行 |
※1 移動できる距離は12m以内に限られます
※2 日本では、ドライバーがテスラ車から6m以内の距離にいないと使用できません
フルセルフドライビング(FSD)(日本は未対応)
「フルセルフドライビング(FSD)」はエンハンスト オートパイロットよりもさらに高度なオプション機能であり、価格は871,000円です。
ただし、2025年6月現在FSDに対応している国は、米国・カナダ・メキシコ・プエルトリコ・中国の5か国のみです。現在の日本では、FSDのオプション機能を実際に使用することはできません。日本では「フルセルフドライビング ケイパビリティ」と呼ばれており、将来的にFSDが利用できるようになったときに利用する権利が得られるだけです。
フルセルフドライビングを使用できる米国においては、一般道での車線変更、信号機のない交差点の通過、一時停止標識での自動停止といった、高度な運転支援機能が実現しています。
テスラ社が展開する「ロボタクシー」とは?

テスラの「ロボタクシー」とは、テスラが「まもなく」米国にて実施予定と発表している(2025年6月中旬時点)、運転席が無人の状態で運行されるタクシーサービスです。
ハンドルもペダルもない無人状態の2人乗りの車に乗客が乗り込み、自動的に走行するタクシーの車内で、乗客はディスプレイで映画などを楽しむ様子が、YouTubeで公開されています。
ロボタクシーの具体的な運行場所、タクシーを遠隔監視する方法、乗客の利用方法などといった詳細はいまだ不明です。テスラの自動運転に関する開発実績にかんがみれば、限られた単純な環境のエリアを低速度で走行するといった、限定的な無人運転システムであるはずだと見込まれています。
米国の消費者のロボタクシーに対する印象は芳しくありません。世論調査では、71%が「ロボタクシーに乗りたくない」、43%が「ロボタクシーを違法にすべきだ」と回答しています。
ロボタクシーの詳細が不明であることに加えて、次の章で述べるように、テスラの自動車が運転支援機能の動作中にたびたび事故を起こしていることが、印象が悪い原因だと考えられます。
テスラの運転支援機能動作中に起きた事故の事例5選

2025年3月の報道によると、テスラのオートパイロットやFSDは、世界でこれまでに52件の致命的な事故に関与しています。ここでは、オートパイロットやFSDの動作中に発生した事故の内、5例を紹介します。
2016年:トレーラーに衝突する死亡事故
米国フロリダ州で2016年5月に、オートパイロット動作中だったテスラ車が、左折して前方を横切ってきた大型トレーラーに衝突し、テスラ車のドライバーが死亡しました。
日差しの強さやトレーラーの白い色により、トレーラーを物体として認識できなかったことが衝突の原因です。
また、オートパイロットは運転支援システムであるにもかかわらず、ドライバーはハンドルに手を添えていませんでした。手を添えているべき37分間の内、ドライバーは25秒間しかハンドルに触れていなかったことが明らかになっています。また、オートパイロットからもドライバーに、ハンドルを握るよう警告を7回発していました。
オートパイロットの機能の限界と、ドライバーのオートパイロット機能に対する不適切な過信の双方が、事故の原因といえます。
2018年:高速道路で中央分離帯に衝突する死亡事故
米国のシリコンバレーで2018年3月に、オートパイロット動作中だったテスラ車が、幹線道路でコンクリートの中央分離帯に衝突し、ドライバーが死亡しました。
オートパイロットが、何らかの技術的限界により、車線を検知できなかったことが事故の原因とされています。
一方、オートパイロットは事故発生の6秒前に、ドライバーがハンドルを握っていないことを感知していました。しかし、ドライバーはスマートフォンでゲームをプレイしていて、ゲームに気を取られていたとされています。
2018年:日本の高速道路で二輪車のライダーをはねて死亡させる事故
神奈川県綾瀬市の東名高速道路下り線で2018年4月に、クルーズコントロール機能を使用して走行していたテスラ車が、事故の救護にあたっていた二輪車のライダーをはねとばして死亡させる事故を起こしました。
テスラ車の前方を走行していた自動車が別の車線に移って、車間距離が空いたとみなされたことと、二輪車のライダーを検知できなかったことが、自動的にブレーキが動作しなかった原因と考えられています。また、テスラ車のドライバーは居眠り運転をしていたことが明らかとなっています。
2023年:FSD動作中に歩行者をはねて死亡させる事故
米国アリゾナ州の州間高速道路で2023年11月に、FSD動作中だったテスラ車が、路上にいた人物をはねて、死亡させる事故を起こしました。FSDに関連した、初の歩行者死亡事故として認定されています。
被害者は、既に別の2台の自動車が起こしていた衝突事故に伴い、交通整理を行うために路上に降りていました。テスラ車は時速105kmから全く減速せずに被害者をはねています。
まぶしい夕日によって視界不良だったことが、歩行者を検知できなかった原因と考えられています。
テスラのオートパイロットやFSDは、カメラ映像を主体として周囲環境を監視する方式を採用していることが特徴です。視界が悪い状況で検知不良を起こすことに対する懸念の声があがっています。
2024年:FSD動作中に二輪車に衝突しライダーを死亡させる事故
米国ワシントン州で2024年4月に、FSD動作中だったテスラ車が二輪車に衝突し、二輪車のライダーを死亡させる事故を起こしました。
衝突の直接の原因に関する報道は見受けられませんが、テスラ車のドライバーは、FSD動作中に携帯電話を見ていたことを当局に供述しています。
テスラの自動運転は現状レベル2のため過信は厳禁!

テスラが「オートパイロット」や「フルセルフドライビング」と称している機能は、完全な自動運転を想起させますが、実際にはレベル2の運転支援機能です。ドライバーには、手動で運転しているときと同様に、前方等を注視して安全に運転を行う義務があります。
オートパイロット等の運転支援機能の性能的な限界と、機能に対するドライバーの過信が原因で、死亡事故を含めた事故が起きているのが実情です。運転支援機能はドライバーの負荷を軽減する便利な機能ではありますが、決して運転支援機能を過信しないようにしましょう。
今後も当メディアでは、自動運転やEVなどのモビリティなどに関するニュースをまとめて発信していきます。最新情報が気になる場合は、ぜひ定期的にチェックしてみてください。
関連コラム

EV
電気自動車(EV)の電気代の目安は?ガソリン車との比較や安く抑えるポイントも解説

EV
【なぜ?】EVが日本で「普及しない」本当の理由|デメリットから国の対策、今後の動向まで徹底解説

EV
自動運転バスの仕組みとは?メリットや課題と実証実験の事例を紹介

EV
モビリティとは簡単に言うとどういう意味?3つの種類や環境との関係・事例について解説

EV
【総まとめ】電気自動車(EV)のメリット7選!デメリットをカバーする方法も合わせて解説

EV