【総まとめ】電気自動車(EV)のメリット7選!デメリットをカバーする方法も合わせて解説
更新日: 2025/2/28投稿日: 2025/2/28
EV
近年は製造面での技術力の向上もあり、電気自動車(EV)への注目が高まりつつあります。現代のEVは黎明期とは比べ物にならないほどの目覚ましい発展を遂げているため、購入を検討している方もいるのではないでしょうか?
しかし、ガソリン車と比較したメリットやデメリットについて知っておかないと、なかなか購入には踏み切れませんよね。
そこでこの記事では、ガソリン車と比較したEVのメリット・デメリットについて、以下の3項目で解説します。
- EVのメリット7選
- EVのデメリット5選
- EVのデメリットを軽減する解決策5選
ぜひ最後まで記事を読み、EVを購入する際の参考にしてください。
電気自動車(EV)のメリット7選

EVのメリットは以下の7つです。
1. ガソリン車よりランニングコストが高い
2. 環境に優しい
3. 災害時に蓄電池として使える
4. 安全性が高い
5. 騒音や振動が少ない
6. 走行中のコントロールがしやすい
7. 各種補助金や減税が受けられる
1. ガソリン車よりランニングコストが良い
EVはガソリン車と比較すると、ランニングコストが良い傾向にあります。
以下の条件において、具体例で比較します。
- ガソリン車の燃費:WLTCモード平均値である19km/L
- ガソリン価格:2025年3月の平均価格である180円/L
- EVの電費:『日産リーフ X』のカタログスペックを参照して8km/kW
- 電気代:全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している平均価格である31円/kWh
1万kmを走行すると仮定すると、それぞれのエネルギーコストは以下のとおりです。
- ガソリン車:526.3L × 170円 = 94,734円
- EV車:1250kWh × 31円 = 38,750円
実に、EV車とガソリン車の間には2倍以上のコスト差があります。コスト面を見ると、EVへの乗り換えはメリットが大きいといえます。
2. 環境に優しい
EVはガソリン車と違い走行時に排気ガスを排出しないため、環境負荷が小さい点が特徴です。
ガソリン車の排気ガスには、以下に挙げる大気汚染物質が含まれています。
- 二酸化炭素(CO2)
- 一酸化炭素(CO)
- 炭化水素(HC)
- 窒素化合物(NOx)
- 粒子状物質(PM)
一方、EVは電気のみで走るため、大気汚染物質の排出はありません。このように、大気汚染物質を出さない乗り物を「ゼロ・エミッション・ビークル」と呼びます。
現在では、太陽光発電などの再生可能エネルギーによるGX化(脱炭素化やデジタル化のこと)も進んできています。将来的には発電で発生する有害物質排出も減少する傾向にあるため、EV全体のカーボンニュートラル促進は今後ますます進むでしょう。
3. 災害時に蓄電池として使える
現代のEVに入っているリチウムイオンバッテリーは、災害時にポータブル電源としても利用可能です。
例えば、代表的な日産リーフの40kWhモデルであれば、満充電で平均的な戸建て4人家庭の電気約3日強をまかなえる計算となります。
1日の電気使用量の平均は戸建てと集合住宅で異なります。戸建ての場合は4人家族で約14.5kWh/日、集合住宅の場合は約10.5kWh/日です。
EVのバッテリーを蓄電池として使うには、大きく分けて以下の3つの方法があります。
- 車内コンセントから給電
- 外部給電器(V2L)で給電
- V2H機器から給電
車内コンセントから給電するのが一般的ですが、近年では「V2H(ビークル・ツー・ホーム)」機器を使って、直接お家に給電できる車種も増えています。
V2H機器であれば直接EVを接続して分電盤を切り替えるだけで済むため、災害時の自宅避難における強い味方です。
4. 安全性が高い
EVは、ガソリン車のように燃料を直接積んでいないため、安全性が高い乗り物です。
一昔前のEVは、衝突などによる火災リスクが高いのがネックでした。しかし、現在のEVは多くの安全対策を施されているため、火災リスクが非常に低くなっています。
以下は、アメリカの自動車保険会社が調査した、自動車の種類ごとの火災発生件数です。
自動車の種類 | 10万台あたりの火災発生件数 | 総火災発生件数 |
---|---|---|
電気自動車(EV) | 25.1 | 52 |
ガソリン車 | 1,529.9 | 199,533 |
ハイブリッド車 | 3,474.5 | 16,051 |
安全性を求める人にとって、EVは最適な乗り物といえます。
5. 騒音や振動が少ない
EVはガソリンを使わず、バッテリーとモーターのみで走行する自動車です。エンジン振動がなくガソリン燃焼時の音もないため、とても静かに走行できます。
下記のグラフは、発車時のEVとガソリン車の騒音を比較したグラフです。EVのほうが、騒音レベルが数dBA~十数dBAほど下がっていることが分かります。

静音性に伴い振動も少ないので、長距離ドライブにおいても運転手への身体の負担が少なく済みます。快適なドライブ体験が欲しいドライバーには、EVは最適な選択肢です。
6. 走行中のコントロールがしやすい
EVは電動モーターで発進するため、アクセルを踏んだ瞬間に最大トルクに達します。走り出しがとてもスムーズなので、高速道路の合流もストレスなく行えます。

モーターは出力を細かく制御可能なので、ガソリンエンジンよりも動きがなめらかなのもメリットです。
また、一部のEVはインホイールモーターというレイアウトになっており、駆動輪のすぐそばにモーターを配置。これにより、従来のEVよりも機動性が増しています。

7. 各種補助金や減税が受けられる
EVは、各種補助金や減税が受けられる可能性があり、おトクに購入できます。
この記事では、日産リーフのスタンダードモデルである「X」を例に挙げます。

2025年3月現在、Xを購入する際に受けられる補助金や減税制度は、以下の3つです。
- 国の補助金:85万円
- 自治体の補助金:70万円(東京都かつ再エネ電力導入の場合)
- エコカー減税:48,500円
よって、Xを東京都で購入する場合の優遇額の合計は、以下の金額になります。
85万円 + 70万円 + 4.85万円 = (最大)1,598,500円
Xの車体価格は4,081,000円なので、実に4割強を補助金と減税で賄える計算です。
詳しい補助金や減税制度の金額は次世代自動車振興センターのWebサイトに記載されているため、ぜひ参考にしてください。
電気自動車(EV)のデメリット5選

EVにはメリットのみならず、以下の5つのデメリットも存在します。
1. 車両価格が高め
2. 充電時間が長い
3. 充電待ちが起きやすい
4. 走行可能距離が短め
5. 充電設備が必要
1. 車両価格が高め
EVには自動車業界の最新技術がふんだんに使われているうえ、搭載されているリチウムイオンバッテリーがとても高価です。
そのため、ガソリン車と比較すると、車体価格が高くなる傾向にあります。
例えば『三菱eKクロス』は以下のように同スペックであっても、EVとガソリン車で明確に差があります。
- eKクロス G(ガソリン車):1,697,300円~
- eKクロス EV G(EV):2,568,500円~
新品でEVを購入する際は、ガソリン車より余裕を持って予算を見積もる必要があるでしょう。
2. 充電時間が長い
ガソリン車は、ガソリンスタンドに行けば5分程度でガソリンを満タンにできます。一方でEVは、大容量のリチウムイオンバッテリーの充電に多くの時間を要します。
『日産リーフ』の40kWhを例にしましょう。家庭用の3kW充電器で、0%から満充電までを単純計算すると、以下のとおりです。
40kWh ÷ 3kW = 約13.33時間
充電には10~20%ほどの電力ロスが発生するため、実際にはもっと長い時間が必要です。充電時間の長さを補うには、夜間の充電や各地の急速充電器を使うなど、工夫が必要でしょう。
3. 充電待ちが起きやすい
目的地へのつなぎ充電をSAやPAで行う場合、充電待ちが起きる可能性があります。各地の充電スポットは、多くても4台分ほどしかないためです。
急速充電器には1台あたり30分制限がある場所がほとんどですが、それでも混雑時などは待たされる可能性があります。
今後のEVの普及具合によっては充電スポットが足りなくなるため、スポットの拡充が求められるかもしれません。
4. 走行可能距離が短め
EVの一充電走行距離は『日産リーフ』の40kWhモデルで最大400kmほどです。一方、ガソリン車の最大航続距離は500km以上に設計されている車両が多く、中には1,000km以上走行するものもあります。
EVとガソリン車の人気車種の最大航続距離を、それぞれ4つまとめたので参考にしてください。
◯ガソリン車
車種 | 最大燃費(km/L) | 燃料タンク容量(L) | 最大航続距離(km) |
---|---|---|---|
トヨタ カローラ (2024年4月モデル) | 19.4 | 47 | 911.8 |
トヨタ ヤリス (2024年1月モデル) | 21.3 | 42 | 894.5 |
ダイハツ タント (2024年10月モデル) | 19.6 | 30 | 588 |
ホンダ N-BOX (2024年9月モデル) | 21.6 | 25 | 540 |
◯EV
車種 | 交流電力量消費率 (Wh/km) | 総電力量(kWh) | 一充電走行距離(km) |
---|---|---|---|
トヨタ bZ4X G (2022年5月モデル) | 126 | 71.40 | 567 |
日産 リーフ G (2024年4月モデル) | 120 | 40 | 400 |
日産 サクラ G (2024年6月モデル) | 124 | 20 | 180 |
三菱 eKクロス EV (2022年6月モデル) | 124 | 20 | 180 |
とくにサクラやeKクロスのような軽自動車は走行距離が短いため、普段乗り用と割り切って購入するか、途中充電できる場所を把握する必要があります。
5. 充電設備が必要
家庭でEVを充電するには「EV・PHEV充電用コンセント」の増設が必要です。
EV・PHEV充電用コンセントには100Vと200Vの2種類があり、ほとんどの場合は3kWh充電ができる200Vが選ばれます。
自分の家は200Vに対応している?
ご家庭のブレーカーが200Vに対応しているかどうかは、いつ建てられた住宅かで分けられます。
ここ10~20年で建てられた戸建て住宅は軒並み対応しています。ですが、築30年以上の古い住宅は配電が200Vに対応していない可能性があり、その場合は電気工事が必要です。
戸建て住宅であれば増設に問題はありませんが、集合住宅の場合、スペースや住人の説得など、さまざまな障壁があります。
住まいによっては、自宅での充電を断念する必要があるかもしれません。
電気自動車(EV)のデメリットを軽減する解決策5選

上記のEVのデメリットを軽減する解決策をまとめたので、参考にしてください。
1. 車両価格:補助金や優遇税制を活用する
2. 充電時間の長さ:夜間での充電やタイマー機能を活用する
3. 充電待ち:あらかじめ十分に充電する
4. 走行距離:購入前に主な使用用途を確認する
5. 充電設備:近所の充電スポットを確認する
1. 車両価格:補助金や減税制度を活用する
EVの車両価格の高さは、補助金や減税制度で軽減できます。
補助金は国からの補助金のほか、地方自治体から出る場合もあります。
詳しい補助金や減税制度の金額は次世代自動車振興センターのWebサイトに記載されているため、ぜひ参考にしてください。
2. 充電時間の長さ:夜間での充電やタイマー機能を活用する
EVを自宅で満充電するには、多大な時間がかかります。
そこで忘れずにしておきたいのが、夜間に充電することです。眠っている間に充電すれば、時間を気にせず充電できます。
また、EVにはタイマー機能が実装されている場合が多く、充電開始時刻と終了時刻を設定可能です。タイマー機能を使えば計画的な充電ができるだけでなく、電気代のコントロールにも一役買うでしょう。
3. 充電待ち:あらかじめ十分に充電する
充電待ちの対処法としては、あらかじめ自宅で十分な充電をしておくのが最も有効です。
長距離運転が必要なことがわかっている場合、自宅で前日の充電を長めに行い、翌日に備えてください。
また、旅行などで長距離の往復が必要な際は、EVの充電スタンドや充電設備がある宿泊施設を確認しておきましょう。
4. 走行距離:購入前に主な使用用途を確認する
走行距離の対策としては、計画的な充電も大事ですが、購入する車種も重要です。EVを購入する前に、自分の使用用途に合っているか必ず確認しましょう。
例えば、『日産サクラ』の一充電走行距離は180kmです。日常的な通勤や買い物、子どもの送り迎えなどでは十分な性能を持ちますが、ドライブが趣味の人には物足りないかもしれません。
ドライブ好きの人はリーフの60kWhモデルを選択するなど、自身の用途に合った車種やモデルを選択しましょう。
5. 充電設備:近所の充電スポットを確認する
自宅に充電設備を設置できない人は、必然的に近隣の充電スポットを利用することになります。
せっかくEVを購入しても、充電スポットが少ないと有効活用できません。購入前に、必ず近隣の充電スポットを確認してください。
EVの充電スポットは「GoGoEV」というサイトで確認できます。車両購入前だけでなく、旅行や引っ越しの際にも役立つので、ぜひ有効活用してください。
【まとめ】電気自動車(EV)にはメリット・デメリットが存在|でもデメリットはある程度カバーできる!

EVには多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。予算や自宅の状態によっては、無視できないデメリットを抱える必要があるかもしれません。
ですが、デメリットを理解したうえで適切な対策をすれば、メリットを最大限享受して快適なEVライフを送れます!
購入を検討している人は、この記事で紹介したポイントを参考に、自身のライフスタイルに合ったEVを選びましょう。
関連コラム

EV
MaaS(マース)とは?詳しい定義やメリット・導入事例を徹底解説

EV
モビリティとは簡単に言うとどういう意味?3つの種類や環境との関係・事例について解説

EV
日本の自動運転はどこまで進んでる?自動運転のメリット・デメリットや今後の課題にも言及

EV
【2025年】日本や世界の電気自動車(EV)の普及率は?普及への取り組みや今後の課題にも言及

EV
話題のカーボンニュートラルとは?定義や各自動車メーカーの取り組みを交えて解説

EV