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EV(電気自動車)軽トラの車種や選び方を一挙紹介!メーカーごとの今後の展開も解説

更新日: 2025/12/3投稿日: 2025/11/28

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EV(電気自動車)軽トラの車種や選び方を一挙紹介!メーカーごとの今後の展開も解説

「仕事で使う軽トラも、そろそろEVにしたほうがいいのかな?」
「ガソリン代より燃料費が安いって聞いてEV軽トラが気になるけど、実際のところどうなの?」

2025年11月現在、EV軽トラの選択肢はまだまだ限られています。ですが、水面下では各メーカーによる開発が急速に進み、期待が高まっています。

EV軽トラに関する今後の展開を予測しておくことは、事業者にとって非常に重要です。

そこでこの記事では、EV軽トラの基礎知識から選び方、おすすめ5車種などを解説します。

EV軽トラの現状や今後について直感的に分かる内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください。

【2025年】EVの軽トラとは?概要や現状を総まとめ

まずEV軽トラの基本的な特徴や、市場の現状について解説します。

EV軽トラの概要

EV軽トラとは、EV(電気自動車)として設計された軽トラックです。

バッテリーとモーターで走行するため、ガソリン車と比較して以下のようなメリットを持ちます

  • 燃料費の大幅削減:電気で走るため、ガソリン車と比較してランニングコストが低い
  • 高い静音性:エンジン音がないため、騒音を気にせず走れる
  • 力強い走り:モーターは加速性能が高く、重い荷物を積んでいてもスムーズに走れる

農業や配送業など、小回りの利く車両が求められる現場との相性が良く、今後の展開が期待されています。

EV軽トラの選択肢は少ない

2025年11月現在、市場に出回っているEV軽トラの車種は非常に少なく、選択肢が限られているのが現状です。

まず、新車で購入できる国産メーカーの軽トラはほとんど存在しません。かつて販売されていた三菱自動車性「ミニキャブ・ミーブ トラック」も、現在では生産終了しています。

すぐに必要な場合でなければ、各メーカーから今後リリースされるモデルを待つのも、賢い選択肢の一つと言えるでしょう。

イベントで各社のEV軽トラが公開されている

市販モデルこそ少ないものの、EV軽トラの今後には、世間の注目が集まっています。

近年では「Japan Mobility Show(JMS)」のような大型展示会において、各社がコンセプトカーや試作車としてのEV軽トラをたびたび展示しています。

例えばJMS2025では、EV開発を専門に行う企業「ASF株式会社」が、新型EV軽トラ「ASF2.0PT」を発表しました。

 ASF2.0は日本企業のASFが企画開発と販売を行い、中国の柳州五菱新能源汽車が製造するEV(BEV)の軽バンです。全長3395mm・全幅1475mmという外寸は、まさに日本の軽自動車企画に合致しており、日本の路上で使うための設計が施されています。

引用:Yahoo!ニュース

EV軽トラの現場ニーズに合わせた開発は日進月歩で進んでいるため、今後の展開次第では、EV軽トラが普及する可能性は十分にあります。

EVの軽トラの価格相場は250~350万円台

2025年11月現在のEV軽トラの価格相場は、およそ250~350万円が目安です。

ガソリン車で最も普及台数が多い「ダイハツ ハイゼットトラック」が約116万円(税込)となっており、比較すると2~3倍の価格帯となります。

また、現在販売されている、もしくは販売予定の主な車種の価格は、以下のとおりです。

メーカー車種価格(税込)
HW ELECTROELEMO-K ピックアップ SPEC II3,278,000円
HW ELECTROELEMO-K ボックス SPEC II3,410,000円
ASFASF 2.0 PT未定(予想:約250万円前後)

ASFのモデルに関しては、ベースとなる軽バン「ASF 2.0」が約237万円(税込)であることを踏まえると、軽トラモデルの価格は250万円前後と予想されます。

EV軽トラの選び方は?5つのポイントをチェック

EV軽トラを買う際は、以下5つのポイントをチェックしておきましょう。

  1. 航続距離の確認
  2. 充電にかかる時間
  3. 積載能力
  4. 駆動方式
  5. コストパフォーマンス

1. 航続距離の確認

最も重要なのが「1回の充電でどれだけ走れるか」です。

配送ルートや農作業の移動範囲など、用途に応じた航続距離が確保されているかを確認してください。

長距離移動が多い方であれば、途中での充電切れが懸念事項です。より長い航続距離を持つモデルを選びましょう。

また、EVの航続距離は気温や積載量の影響を大きく受けます。寒冷地での使用や、重い荷物を多く運ぶ方は、カタログスペックギリギリでなく、航続距離に余裕のあるモデルを選ぶべきです。

2. 充電にかかる時間

充電時間は、EV全体の大きなネックです。

例えば、HWの「ELEMO-K」を満充電する場合、100V普通充電でも最低4時間半ほど必要となります。加えて、現在のモデルでは、急速充電に対応していません。

この長い充電時間をカバーするには、以下のような対策が有効です。

  • 夜間に充電しておく
  • 自宅や拠点の充電を増設する

もし現在購入を考えているモデルでは性能が不十分の場合、他モデルの購入も考えましょう。

3. 積載能力

軽トラとして現在の用途に耐えうる積載能力があるかも、必ず確認しておきましょう。

例えば、ELEMO-Kの最大積載量は、他軽商用車と同程度の350kgです。このぐらいであれば、通常の軽トラとして十分運用できます。

ただし、EVは積載量が航続距離に大きく影響します。航続距離との兼ね合いを考えつつ、適切なモデルを選んでください。

4. 駆動方式

FF(前輪駆動)やMR(後輪駆動)など、モデルによって駆動方式が異なります。自分の用途に適しているか確認しましょう。

また、2025年11月現在、4WD(四輪駆動)に対応したEV軽トラは極めて少ないのが現状です。悪路や雪道で多用する場合は、馬力が足りなくなるおそれがあります。

5. コストパフォーマンス

EV軽トラの運用を考える際は、車体価格のみでなくトータルコストを考える必要があります。

EV軽トラにかかる代表的なコストをまとめると、以下の5種類です。

  • 車体価格
  • 自動車税
  • 車検・メンテナンス費用
  • 充電設備の設置費用
  • 電気代

ただし、車体価格や車検費用は、国や地方自治体の補助金・税制優遇により軽減できる可能性があります。

ここでは事業者が「ELEMO-K SPECII」を購入する際の補助金・税制優遇をまとめたので、参考にしてください。

項目金額
LEVO補助金(政府・自動車向け)最大約106万円
CEV補助金各自治体により異なる
自動車重量税0円(免税)
環境性能割0円(非課税)
軽自動車税(翌年度)約1,000円(75%減税)

また、東京都など独自の税制優遇を受けられる自治体であれば、さらに負担を軽減可能です。詳しくは「一般社団法人 次世代自動車振興センター」をご覧ください。

【2025年版】おすすめのEV軽トラ・軽バン5選

ここではおすすめEV軽トラ2車種と、代替案として有力なEV軽バン3車種をそれぞれ解説します。

  1. HW ELECTRO:ELEMO-K SPECII
  2. ASF:ASF2.0 PT
  3. 三菱自動車:ミニキャブEV
  4. ホンダ:N-VAN e:
  5. 日産:クリッパーEV

1. HW ELECTRO:ELEMO-K SPECII

引用:HWE公式サイト
項目内容
発売時期2021年11月
価格(税込)3,278,000円~
航続距離(WLTCモード時)188km~

HW ELECTROが販売する「ELEMO-K(エレモ・ケイ)」は、日本市場向けに最適化されたEV軽トラです。

荷台のバリエーションとして、フラットな「ピックアップ」と、箱型の「ボックス」が選べます。

インターネット経由で車両の状態を管理できるコネクテッド機能を備えており、災害時には「走る蓄電池」としても活用できるのが強みです。

2. ASF:ASF2.0 PT

引用:ASF公式サイト
項目内容
発売時期2025年度予定
価格(税込)未定(予想:250万円前後)
航続距離(WLTCモード時)未定

「ASF2.0 PT」は、佐川急便などの運送会社と共同開発されている、ASF株式会社が手掛ける軽トラモデルです。

物流現場の声を取り入れて開発されており、ドライバーの負担軽減や作業効率の向上を重視した設計が特徴です。

詳細なスペックや価格の発表はこれからですが、現場目線の使い勝手の良さに期待が集まっています

3. 三菱自動車:ミニキャブEV

引用:三菱自動車公式サイト
項目内容
発売時期2023年12月
価格(税込)2,431,000円~
航続距離(WLTCモード時)180km~

三菱自動車から販売されているEV軽バンの代表格が「ミニキャブEV」です。かつての「ミニキャブ・ミーブ」からバッテリー容量を拡大し、航続距離が180km(WLTCモード)へと大幅に向上しました。

長年培ったEV技術による信頼性の高さと、商用車としてのタフな作りが魅力です。軽トラではありませんが、配送業務には最適な一台です。

4. ホンダ:N-VAN e:

引用:ホンダ公式サイト
項目内容
発売時期2024年10月
価格(税込)2,699,400円~
航続距離(WLTCモード時)245km~

大ヒットの軽バン「N-VAN」をベースにしたEVモデルです。

床下にバッテリーを薄く配置することで、N-VAN特有の「低床・大空間」と「助手席側ピラーレス」を実現しています。

荷物の積み降ろしが非常に楽で、配送だけでなく移動店舗や趣味の車としても使える汎用性の高さが強みです。

5. 日産:クリッパーEV

引用:日産公式サイト
項目内容
発売時期2024年2月
価格(税込)2,865,500円~
航続距離(WLTCモード時)180km~

日産が販売するEV軽バンです。三菱のミニキャブEVのOEM供給を受けているモデルであるため、基本性能はミニキャブEVと同等です。

日産の先進技術と充実したアフターサービス網を利用できる点がメリット。力強い走りと十分な積載量を兼ね備えており、都市部での配送業務に適しています

EV軽トラは今後いつ発売される?メーカーごとの動向を専門家が調査・大胆予想

EV軽トラの今後の動向について、各メーカーごとの調査・予想をまとめました。

  1. スズキ
  2. ダイハツ

1. スズキ

スズキは、EV軽トラの一般流通に向けて現在もっとも力を入れているメーカーです。

2025年4月には、同社の看板車種である軽トラ「キャリイ」をベースにしたEVモデルの試作車を公開しました。現在では、静岡県や熊本県などの実際の農業現場にて、農家の方に車両を貸し出す大規模な実証実験を開始しています。

スズキ株式会社は、軽トラック「キャリイ」をベースにした電気自動車(以下、BEV軽トラック)を製作し、農業を営むユーザーに一定期間※1貸し出し、使用していただく実証実験を、静岡県浜松市、静岡県湖西市、愛知県豊川市、熊本県阿蘇郡の各地で2025年度中に開始する予定です。

引用:スズキ公式サイト

スズキは、この実証実験で得られたデータをもとに市販モデルを開発するとみられます。実験期間は1年を予定しており、早ければ2027年度中には一般販売が開始されるかもしれません

2. ダイハツ

ダイハツは、親会社であるトヨタとスズキとの3社連合で、EV軽商用車の共同開発を進めています。

スズキ株式会社(以下、スズキ)、ダイハツ工業株式会社(以下、ダイハツ)、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、商用軽バン電気自動車(以下、BEV商用軽バン)について、2025年度中にそれぞれの導入を目指すことを決定しました。

引用:スズキ公式サイト

ダイハツは、2023年4月に起こした認証不正問題の影響で、新車開発に遅れが生じていました。ですが現在は「e-ハイゼットカーゴ」などのEV軽バンを、2026年初頭に発売する予定です。

2025年11月時点で、ダイハツのEV軽トラに関する具体的な発売日の発表はありません。しかし、軽バンEVの発売に続いて、そう遠くない未来にEV軽トラが投入される可能性は非常に高いと見られています。

EV軽トラが欲しい方からよくある質問

EV軽トラを検討する方から、よくある質問をまとめました。

Q:4WDのEV軽トラはある?

2025年11月現在、新車で販売されているEV軽トラに4WDのモデルはありません。HW ELECTROやASFなどの現行・発売予定モデルは、すべて2WDです。

農作業や山間部、降雪地域での使用を前提としている方にとって、4WDが選べないことは導入の大きな障壁となっています。

今後の期待としては、スズキが現在実証実験を行っている「キャリイ」ベースの市販モデルにおいて、4WDが設定されるかどうかが大きな焦点となります。

Q:現在販売されている三菱のEV軽トラはある?

2025年11月現在、三菱自動車から新車で販売されているEV軽トラはありません。

かつては世界初の量産EV軽トラとして「ミニキャブ・ミーブ トラック」が販売されていましたが、このモデルは2021年3月をもって生産を終了しています。

もし三菱製のEV軽トラが必要な方は、中古車市場でミニキャブ・ミーブ トラックを探す必要があります。

【まとめ】EV軽トラは用途やスペックをよく確認して決めよう

EV軽トラはガソリン車と比較しても、燃料費の削減や静音性などの大きなメリットがあります。しかし、航続距離や車種の選択肢が少ないことなど、クリアすべき課題があるのも事実です。

これらの課題を解決すべく、大手メーカー各社の開発は急速に進んでいます。そのため、1年後、2年後には大きく市場が変化している可能性は高いです。

EV軽トラはご自身の業務内容や走行ルート、必要な積載量などをしっかりと見極め、最適なタイミングで購入を決断しましょう!

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