カーボンニュートラルへの取り組み事例全15選!個人でできる取り組みも合わせて紹介
更新日: 2026/1/5投稿日: 2025/12/22
EV
「カーボンニュートラルに向けて、他の企業や自治体はどんなことをしているの?」
「個人でもできる具体的なアクションプランを知りたい」
2050年の脱炭素社会実現に向け、日本国内でも多くの企業や自治体が独自の取り組みを加速させています。特に、大企業や政府、自治体は、カーボンニュートラルの提唱当初から、多くの取り組みを実施してきました。
この記事では、大企業と中小企業、自治体それぞれの先進的な取り組み事例を厳選して15個まとめました。さらに、今日から家庭で実践できる方法についても紹介しています。
記事を読めば、脱炭素に向けた具体的なヒントが得られます。ぜひ最後までご覧ください。
大企業のカーボンニュートラルに向けた取り組み事例5選

まずは、大企業の先進的な取り組み事例を、以下の5つ紹介します。
- トヨタ:工場CO2ゼロチャレンジ
- 日本製鉄:高炉水素還元技術の確立
- サントリー:国内初のカーボンニュートラル食品工場
- KDDI:再生可能エネルギー導入で温室効果ガス排出削減
- みずほFG:全国200拠点で再エネ導入
1. トヨタ:工場CO2ゼロチャレンジ

トヨタ自動車は、2035年までにグローバル全拠点の工場でカーボンニュートラルを達成する目標「工場CO2ゼロチャレンジ」を推進しています。これは従来の2050年目標を大幅に前倒しした野心的な計画です。
実現の柱となるのは「再生可能エネルギーの導入」と「生産技術の革新による徹底した省エネ」の2点です。工場の屋根への太陽光パネル設置や、電力購入契約を通じた外部からの再エネ調達を積極的に進めています。
また、長年培った「トヨタ生産方式」に基づき、生産ラインのエネルギー消費を徹底的に見直しています。塗装工程の短縮化や、電気を使わずに重力などを利用するライン設計など、現場レベルでの改善も欠かせません。
さらに、工場内の炉の燃料を水素に転換する「水素燃焼技術」の実証など、新技術の導入も加速させています。
2. 日本製鉄:高炉水素還元技術の確立

鉄鋼業は製造プロセスで石炭を大量に使用するため、CO2排出量が極めて多い産業です。そこで日本製鉄は「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」を掲げ、製造プロセスの抜本的な転換に挑んでいます。
最大の注目点は、石炭の代わりに水素を使って鉄鉱石を還元する「高炉水素還元」および「直接水素還元」技術です。既存の高炉設備を活用しつつ、吹き込むコークスの一部を水素に置き換えることで、段階的なCO2削減を目指しています。
また、高炉を使わずに天然ガスや水素で鉄を作る「直接水素還元」は、CO2排出なしでの製鉄を実現する切り札とされています。
日本製鉄はこれらビジョンにより2030年代の技術確立と2050年の社会実装を目指し、政府支援を受けつつ巨額の投資を継続中です。
3. サントリー:国内初のカーボンニュートラル食品工場

サントリーグループは、2050年までにバリューチェーン全体での温室効果ガス排出実質ゼロを目指しています。その象徴的な事例が、長野県にある「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」です。
この工場は、購入電力を100%再生可能エネルギー化し、ボイラー燃料を重油からバイオマス燃料へ転換しました。さらに、地中熱や太陽光熱を活用した空調システムも導入しています。
これらの取り組みにより、2023年には国内の食品工場として初めてカーボンニュートラルを達成したと認定されました。そのため、「CO2排出量ゼロ」と水源保全活動による「CO2吸収」を両立させたモデルケースとして注目されています。
また、グループがここで得た知見は、国内外のビール工場や飲料工場へも水平展開されています。
4. KDDI:再生可能エネルギー導入で温室効果ガス排出削減

通信事業者は基地局やデータセンターで膨大な電力を消費するため、再生可能エネルギーの調達が最重要課題です。KDDIは「KDDI GREEN PLAN 2030」を掲げ、2030年度までに事業活動に伴うCO2排出量を実質ゼロにすることを目指しています。
具体的な取り組みとして、再エネ発電事業者と長期契約を結ぶ「コーポレートPPA」を積極的に推進しています。また、全国の基地局や通信ビルの屋上に太陽光パネルを設置し、自家消費を拡大しています。
さらに技術面では、AIを活用して5G基地局の電力制御を行っている点も注目です。トラフィックが少ない時間帯の消費電力を自動で抑える仕組みを導入し、インフラ全体の省エネ化を図っています。
5. みずほFG:全国200拠点で再エネ導入

みずほフィナンシャルグループは、自社の排出削減と、投融資先の脱炭素支援の両面で取り組んでいます。自社の取り組みとしては、2030年度までに国内全拠点の使用電力を100%再生可能エネルギー化する目標を掲げました。
実際に、2024年度末までに本店ビルや大規模支店を含む全国約200拠点において、再エネ電力への切り替えを完了させました。金融機関としての信頼性を保ちつつ、スピーディーな環境対応を進めています。
また、投融資先に対しては、脱炭素目標の達成度に応じて金利を優遇するローンや、グリーンボンドの発行支援を行っています。
グリーンボンドとは?
地球温暖化対策や再生可能エネルギー導入など、環境分野に特化した資金を調達するために発行される債券全般を指す
これらのことから、みずほのような大手金融機関は、サプライチェーン全体の脱炭素化を後押しするのが1番の役割といえるでしょう。
中小企業のカーボンニュートラルに向けた取り組み事例5選

脱炭素はコストではなく、競争力を高めるチャンスでもあります。独自の技術やアイデアで成果を上げている中小企業の事例を、以下の5つ紹介します。
- 日本テクノ:革新的な熱処理技術開発
- 六甲バター:製造工程の排熱を有効活用
- 大松工業:循環加温ヒートポンプの導入
- 大川印刷:工場の使用電力を100%再エネに
- 原貿易:順次事務所電力を100%再エネに
1. 日本テクノ:革新的な熱処理技術開発

埼玉県の日本テクノは、金属部品の強度を高める熱処理加工を行う企業です。従来、熱処理は炉全体を加熱するため大量のエネルギーを消費していましたが、同社は高周波誘導加熱(IH)を応用した「真空熱処理技術」を開発しました。
この技術は、金属部品の必要な部分だけを急速に加熱・冷却することが可能です。その結果、熱処理工程におけるエネルギー消費量とCO2排出量を最大で約90%削減することに成功しています。
この技術を利用する自動車部品メーカーなどの取引先は、自社製品の製造にかかるCO2排出量を大幅に削減できます。自社の省エネだけでなく、技術革新によって顧客の脱炭素にも貢献する好事例です。
2. 六甲バター:製造工程の排熱を有効活用

チーズの製造は加熱と冷却を繰り返すため、大量の熱エネルギーと冷水を使用します。そこで兵庫県の六甲バターは、製造プロセスを見直すことで省エネを実現しています。
同社は製造工程で発生する「温排水」の熱に着目し、ボイラー給水を温めるエネルギーとして再利用する仕組みを構築しました。これにより、ボイラーで使用する都市ガスの使用量の大幅削減が可能となりました。
また、工場屋上への太陽光発電設備の設置も進めており、エネルギーコスト削減と環境負荷低減を同時に実現しています。
3. 大松工業:循環加温ヒートポンプの導入

愛知県の大松工業は、自動車部品の塗装・乾燥を行う企業です。塗装後の乾燥工程では高温の熱風が必要で、通常であればガスボイラーにより大量の燃料を消費する必要があります。
同社はこれを、電力で稼働する高効率な「循環加温ヒートポンプ」システムに入れ替えました。ヒートポンプは空気中の熱を集めて利用するため、投入した電力の数倍の熱エネルギーを生み出せる効率の良さが魅力です。
この転換により、乾燥工程での化石燃料使用がゼロになり、CO2排出がなくなりました。主要取引先である自動車メーカーからの脱炭素要請に応えるための先行投資として、大きな成果を上げています。
4. 大川印刷:工場の使用電力を100%再エネに

神奈川県の大川印刷は、「環境印刷」を掲げる先進企業です。2019年には国内印刷業界で初めて、自社工場で使用する全ての電力を100%再生可能エネルギーに切り替えました。
そのために、工場の屋上に設置した太陽光パネルによる自家発電と、不足分を補う再エネ100%電力プランの契約を組み合わせています。また、石油系溶剤を含まないインクの標準採用など、資材面でも環境配慮を徹底しています。
また、印刷物の製造工程で排出されるCO2を算定し、クレジット購入で埋め合わせる「カーボンオフセット印刷」も提供。中小企業であっても、強い意志があれば工場の完全再エネ化が可能であると証明した好事例といえるでしょう。
5. 原貿易:順次事務所電力を100%再エネに

神奈川県の原貿易は、繊維原料や化学品を扱う専門商社です。
同社はオフィスビルで使用する電力を、2021年から実質再生可能エネルギー100%に切り替えました。この取り組みを、国内外の支店や事務所にも順次拡大しています。
また、社用車へのEV導入も進めており、身近なところから着実に脱炭素化を図っているのが特徴です。本業においても、リサイクル繊維や植物由来のバイオプラスチックなど、環境配慮型素材の取り扱いを強化しています。
自社のオフィス省エネという着手しやすい施策から始め、ビジネスモデル全体を環境型へシフトさせている点は、見事と言わざるを得ません。
自治体のカーボンニュートラルに向けた取り組み事例5選

地域資源を活かし、住民と一体となって脱炭素を目指す自治体の事例を、以下の5つ紹介します。
- 北海道下川町:ゼロカーボンシティしもかわ
- 富山県富山市:富山市地球温暖化対策推進計画
- 神奈川県横浜市:YOKOHAMA GO GREEN
- 長崎県五島市:ゼロカーボンシティの島へ
- 兵庫県神戸市:神戸市地球温暖化防止実行計画
1. 北海道下川町:ゼロカーボンシティしもかわ

下川町は、町域の9割を占める森林資源を活用した循環型のまちづくりを進めています。
具体例として、間伐などで発生する木材をチップ化しバイオマスボイラーの燃料として利用しています。この熱と電力を公共施設や住宅、ビニールハウスへ供給することで、灯油などの化石燃料への依存度を大幅に下げることに成功しました。
バイオマスボイラーとは?
木くずや食品廃棄物など、従来であれば捨てられてしまうものを燃料として発電するボイラーのこと
森林資源をエネルギーや建築材として余すことなく活用することで、林業の活性化と雇用創出にもつなげています。脱炭素と地域経済の好循環を実現した、地方創生のモデルケースといえるでしょう。
2. 富山県富山市:富山市地球温暖化対策推進計画

富山市は「コンパクトシティ戦略」を掲げ、車に頼りすぎないまちづくりを推進しています。廃線となっていた路線を次世代型の路面電車として再生させ、市内の路面電車網と接続して利便性を向上させました。
こうしてできた電車の駅周辺に住宅や商業施設、病院を集約することで、歩いて暮らせる環境を整備しています。結果、市民が自家用車を使わずに生活できるようになり、結果として運輸部門からのCO2排出削減につながっています。
超高齢社会への対応と脱炭素を同時に進める、先進的な取り組みの好事例です。
3. 神奈川県横浜市:YOKOHAMA GO GREEN

横浜市は大都市特有のエネルギー消費に対応するため、みなとみらいの21地区を脱炭素先行地域として整備しています。冷暖房プラントの燃料を天然ガスから再エネ電力やバイオマスに転換するなど、インフラの脱炭素化を進めています。
また、ビル群全体でエネルギー需給を管理するシステムを導入しました。これにより、電力や熱の供給を最適化しています。
港湾エリアの風力発電で作った「グリーン水素」を市営バスの燃料として活用する実証実験も行っています。大都市の特性を活かし、最先端技術の実装を次々と進めているのが特徴です。
4. 長崎県五島市:ゼロカーボンシティの島へ

五島市は、離島の豊かな風と太陽を活かし「再エネの島」を目指しています。島内には日本初となる商用レベルの浮体式洋上風力発電所が稼働しており、注目を集めています。
これにより、島内で発電した再エネ電力を地域新電力会社を通じて島内の施設や家庭に供給する「エネルギーの地産地消」を実現しました。豊富な再エネ電力を活用するため、公用車へのEV導入や充電インフラの整備も進めています。
本土と送電網が独立している離島の自治体であるがゆえに、エネルギー自給率100%を目指す意義は大きいと言えるでしょう。
5. 兵庫県神戸市:神戸市地球温暖化防止実行計画

神戸市は、下水処理場で発生するバイオガスをエネルギーとして有効活用しています。下水汚泥を発酵させる過程で出るガスを、都市ガスと同等の品質のバイオメタンに精製する技術を確立しました。
このバイオメタンを、一般家庭が使う都市ガス導管に注入する事業を国内で初めて開始したのも神戸市です。バイオメタンは化石燃料である天然ガスの代替として利用されるため、その分のCO2削減に直結します。
都市インフラからエネルギーを生み出すという、ユニークかつ効果的な取り組みです。
カーボンニュートラルに向けて個人でできること5選

私たち個人でも、今日からできる5つの方法を紹介します。
- エコドライブを実践する
- 省エネを意識する
- 食品ロスを削減する
- 「3R」を徹底する
- 電力会社を切り替える
1. エコドライブを実践する
車を運転する際は、以下の4点を意識した「エコドライブ」を実践しましょう。
エコドライブのポイント4線
- アクセルを緩やかに踏む
- 車間距離を十分取り、一定の速度で運転する
- タイヤの空気圧をこまめにチェックする
- エアコンを適切に使用する
特に、発進時にふんわりとアクセルを踏む「eスタート」を心がけるだけで、約10%の燃費改善効果があるとされています。また、走行中は車間距離を十分にとり、無駄な加速や減速を減らすことがポイントです。
エンジンブレーキの活用や、タイヤの空気圧チェックなども欠かさないようにしましょう。少し意識を高く持って運転するだけで、車からのCO2排出量は格段に低下します。
2. 省エネを意識する
家電を使う際は、省エネを意識することが重要です。脱炭素を促進するために、重要なポイントを表にまとめました。
| 家電 | ポイント |
|---|---|
| エアコン | ・設定温度を適切に管理する(夏は28℃、冬は20℃が目安) ・フィルターを月1~2回清掃する ・断熱シートやカーテンで、窓からの暖気・冷気を防ぐ |
| 冷蔵庫 | ・冷蔵室に食品を詰め込みすぎない ・冷凍室は8割以上埋める ・開閉時間と回数を短くする |
| 照明 | ・LED照明に切り替える ・使っていない照明は消す |
また、15年以上買い替えていない家電は、買い替えを検討しましょう。最新の家電は省エネ性能が上がっており、消費電力も少なくなっています。
長い目で見れば今の家電よりお得に使える場合が多いので、ぜひ確認してみてください。
3. 食品ロスを削減する
食べられるのに捨ててしまう食品ロスは、環境に大きな負荷をかけます。買い物に行く前に冷蔵庫を確認し、必要な分だけを買う習慣をつけるのがおすすめです。
また、すぐに食べる商品は棚の手前にある賞味期限の近いものを選ぶ「てまえどり」を意識しましょう。
野菜の皮や芯まで使い切る工夫や、冷凍保存を活用して食材を長持ちさせることも大切です。食べる量だけ作り、残さず食べることは立派なエコ活動です。
4. 「3R」を徹底する
資源を大切に使う「3R」は、脱炭素活動の基本といえます。
3Rとは?
- リデュース (Reduce): ゴミの発生を抑制する
- リユース (Reuse): ものを繰り返し再利用する
- リサイクル (Recycle): ゴミを資源として再生利用する
マイバッグやマイボトルを持ち歩き、使い捨てプラスチックの利用を減らすことは有効なリデュース活動です。また、不要になったものはすぐに捨てず、フリマアプリなどで出品して他の人に譲りましょう。
もしゴミとして出す際は、自治体のルールに従って正しく分別することで、資源効率が向上して脱炭素につながります。
5. 電力会社を切り替える
家庭から出るCO2の約半分は、電気の使用によるものです。そこで、再生可能エネルギー比率の高い電力会社のプランに切り替えることで、CO2排出量が大きく削減できます。
現在では「再エネ100%プラン」などを提供する電力会社も増えており、WEBから簡単に手続きできます。現在のプランを改めて見直し、自分に合った電力会社を選びましょう。
【まとめ】カーボンニュートラルに向けた取り組みは各地で着実に進んでいる

カーボンニュートラル実現には、企業や自治体、個人を問わず、すべての組織と人々が協力する必要があります。いずれかが協力的でない場合、どこかで計画は頓挫してしまうでしょう。
しかし、企業や自治体の取り組みにより、着実にカーボンニュートラルの概念は一般市民に定着しつつあります。このまま着々と浸透していけば、国内でのカーボンニュートラル実現は遠い未来ではないかもしれません。
私たち個人は、この記事で紹介したような今からできることから着手するのが重要です。まずは電力プランの見直しや省エネの意識などから、カーボンニュートラルを始めてみましょう。
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