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自動運転の開発が一番進んでるメーカーはどこ?国内と海外の自動運転関連企業を紹介

更新日: 2025/7/30投稿日: 2025/7/30

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自動運転の開発が一番進んでるメーカーはどこ?国内と海外の自動運転関連企業を紹介

「自動運転ってどこのメーカーが進んでいるのかわからない」
「自動運転ができる車を買いたいのだけど、おすすめの車種ってあるの?」

という疑問をお持ちではないでしょうか?

本記事では「高度な運転支援装置を備えた自動車を発売している」「世界で初めて無人運転を実現した」などの切り口から、自動運転の技術開発をリードしている国内外の企業を紹介します。ぜひ最後までお読みください。

【まずは確認】自動運転のレベルは6段階で分かれている

自動車の自動運転には、レベル0~5までの段階があり、数字が大きいほど、システムによる運転操作への介入が大きくなります。自動運転レベルはアメリカの非営利団体「SAE International(自動車技術者協会)」によって定められており、その内容は以下のとおりです。

レベル内容
0完全な人力での運転
1システムが縦方向(加速・減速) もしくは横方向(ハンドル操作)のいずれか一方を制御する「運転支援」
2システムが縦方向と横方向の両方を、限定された状況で実行する「部分運転自動化」
3システムが特定の条件下ですべての運転を実行し、運転手が運転以外のことをできる「条件付き運転自動化」
4システムが特定の条件下ですべての運転を実行し、運転手不在でも動作可能な「高度運転自動化」
5あらゆる条件下でシステムが自動運転する「完全運転自動化」

レベル2以下の自動運転機能は、あくまで運転を行うのは人間と位置付けられており、システムはドライバーの運転操作を「支援」するにとどまります。

一方、レベル3以上の自動運転では、システムが主体となって運転を行います。ドライバーは、ハンドルから手を離すことはもちろん、目線を前方から離すことも可能です(アイズオフ)。ただし、システムがドライバーに運転操作を行うように要求する場合があります。

レベル4以上の自動運転では、運転に人間が介入しないことを前提としています。したがって、ドライバーが不在の無人運転も可能です

次項からは、以下の切り口から、開発が進んでいると認められるメーカーを紹介します。

  • レベル2の自動運転を高機能で実現している
  • レベル3・レベル4の自動運転を実現している

日本国内メーカーの自動運転の進捗状況を紹介

こちらでは、日本国内のメーカーについて、自動運転の進捗状況を解説します。

国産車の運転支援機能は日産の評価が高い

日産プロパイロット2.0
引用:プロパイロット 2.0 (インテリジェント高速道路ルート走行) 日産自動車企業情報サイト

日本で主流となっているのは、自動運転レベル2に該当する自動車です。

レベル2に相当する運転支援装置であるACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)とLKAS(レーンキープアシストシステム)は、多くのメーカーの自動車で一般的な装備となりつつあります。

その状況下で、日産の一部車種に搭載されている「プロパイロット2.0」は、レベル2に相当するシステムの中でも、市場での評価が高い傾向にあります。

プロパイロット2.0は、ナビゲーションシステムで目的地を設定しておくと、ナビと連動して高速道路を走行する機能を持っています。分岐部でのルートの選択や、先行車の追い越しの提案も行い、ドライバーがボタン操作で承認すると、自動で車線変更を行ってくれます。

2025年7月時点では、プロパイロット2.0搭載車は「日産アリア」と「セレナ」です。

ただし、プロパイロット2.0をはじめとした各メーカーの運転支援装置は、あくまで人間のドライバーが責任をもって運転することを前提としています。脇見運転などは厳禁です。

世界で初めて自動運転レベル3の乗用車を発売したのはホンダ

Honda LEGEND
引用:Honda SENSING Elite 搭載 新型「LEGEND」を発売 | Honda 企業情報サイト

2021年3月に発売されたホンダの「レジェンド」は、世界の市販車で初めて自動運転レベル3を実現しました。

2021年モデルのレジェンドに搭載された「トラフィックジャムパイロット」は、渋滞中の高速道路でドライバーに代わってアクセル、ブレーキ、ステアリング操作を行う装置です。運転支援装置とは異なり、ドライバーはテレビやDVDの視聴、カーナビの操作といった行為が可能となります。

参考:トラフィックジャムパイロット|Honda公式サイト

ただし、トラフィックジャムパイロットを搭載したレジェンドの生産数は100台に限定されており、既に販売されていません。そして、国内で発売された自動運転レベル3対応の乗用車は、レジェンドが唯一となっています。

日本初の自動運転レベル4の路線バスのシステムはBOLDLYが開発

自動運転バス
引用:全国初「自動運転レベル4」完全自動運転 路線バス | 伊予鉄

日本初の自動運転レベル4による旅客輸送は、2023年5月から福井県永平寺町で走行している電動カートによって行われています。産業技術総合研究所、ヤマハ、三菱電機、ソリトンシステムズといった組織が共同で実現しました。

ただし、永平寺町で運行されている電動カートの最高速度は時速12kmです。また、道路に設けられた電磁誘導線に沿ってカートが走る方式のため、多くの人が想像するような自動運転システムとは言えません。

電磁誘導線を使用しない自動運転レベル4での運行は、2024年12月に愛媛県松山市の伊予鉄バスの路線で行われたのが最初です。伊予鉄バスの自動運転車に搭載されている自動運転システムは、通信大手のソフトバンク系列の企業であるBOLDLY(ボードリー)が開発しました。

高浜駅から松山観光港までの往復1.6kmの路線で、一部の便がオペレーターの乗務する自動運転バスによって運行されています。

海外メーカーの自動運転の進捗状況を紹介

こちらでは、海外メーカーの自動運転の進捗状況について紹介します。

米国のウェイモは世界初の自動運転タクシーを2018年から運行中

グーグル(Google)の親会社であるアルファベット(Alphabet)の傘下企業「ウェイモ(Waymo)」は、世界初の自動運転タクシーを2018年から運行しています。

ウェイモは2018年に、世界初となる自動運転車を配車する商用サービスである「Waymo One」を、米国アリゾナ州フェニックスで開始しました。当初は不測の事態に備えてセーフティー・ドライバーが乗務していましたが、2019年末頃からは乗務員のいない状態での運転を実施しています。

米国では毎週、ウェイモの自動運転車が25万回利用されて、160万km以上の距離を走行しています。また、ウェイモによると「同じ距離を人間が運転した場合と比べて、負傷を伴う衝突事故を78%削減している」とのことです。

ウェイモは東京に上陸することを2024年に発表しました。2025年現在は、タクシー会社大手の日本交通と提携して、ウェイモの自動運転車両のテスト走行を都内の道路で行っています。都内の道路のデータを得ることで、ウェイモの自動運転技術を東京の公道でも通用するものにすることが目的です。

参考:Waymo 日本版

なお、ウェイモの国外進出は、東京が初めてです。米国と異なり左側通行であり、狭い道路が多いなど自動運転には過酷な環境が見受けられることから、ウェイモが東京で得られる経験は大きいと考えられます。

また、人口密度が高く、自動運転タクシーが商業的にうまくいきそうな都市であることも、東京が初の国外進出先に選ばれた一因でしょう。

ウェイモは世界で初めて商用での自動運転レベル4・無人運転を実現した高い技術力を持っていることに加えて、自動運転を商用展開する力も世界トップクラスであるといえます。

中国のバイドゥは無人運転タクシーを2021年から運行中

中国のバイドゥ(百度)は、2022年に無人運転タクシーサービスプラットフォームである「Apollo Go」の提供を、湖北省武漢市で開始しました。

バイドゥは中国で最も利用されている検索エンジンを提供している企業で、世界的にもグーグルに次いで2番目に利用されています。自動運転の開発も行っていることから「中国のグーグル」と呼んでも過言ではありません。

2025年3月にはApollo Goが中東・アラブ首長国連邦(UAE)のドバイと首都のアブダビへ進出することを発表しています。

また、2025年7月には米国の配車大手であるウーバー・テクノロジーズと、自動運転タクシーの世界展開で提携することを発表しました。今後の動向が注目されます。

ドイツのメルセデス・ベンツとBMWはレベル3対応車を発売

ベンツ EQS
引用:The EQS

ドイツのメルセデス・ベンツは、2022年5月にドイツで、次いで2023年後半に米国ネバダ州とカリフォルニア州で、レベル3対応車を発売しました。対応車種は「Sクラス」と「EQS」です。

また、ドイツのBMWは、2024年3月に「7シリーズ」のレベル3相当のオプション機能として「BMW Personal Pilot L3」をドイツ国内で発売しました。

メルセデス・ベンツもBMWも、提供しているレベル3相当の機能はホンダのレジェンドと同等です。高速道路の渋滞時に、同一車線上を時速60km(米国では時速40マイル)以下で自動運転を行う機能となっています。

米国のテスラはレベル5の実現を公言している

自動運転レベル5の実現は技術的ハードルが相当高く、実現を公言している企業は多くありません。しかしそのような情勢の中で、米国のテスラ(Tesla)は、レベル5の実現を公言しています。

ただし2025年現在では、レベル2に相当する運転支援機能のみが実用化されているのが現状です。

例えばテスラの市販車に実装されている「フルセルフドライビング(FSD)」は、交差点で信号機や一時停止標識に従って停止する、交差点を通過する、高速道路に出入りするなどの機能を備えています。非常に高度な機能ではありますが、あくまでもレベル2相当のシステムです。

レベル5の実現はまだまだ先になると考えられているものの、テスラのカメラとAIを駆使した自動運転へのユニークなアプローチ手法は注目を集めています。自動運転業界において一目置かれている存在であることは間違いありません。

【まとめ】自動運転が一番進んでいるメーカーはウェイモ

サンフランシスコのWaymo

自動運転の進捗状況はメーカーによって様々です。その中でも、世界に先駆けて自動運転タクシーのサービスを開始したことと、サービスを広範に展開していることの2点において、ウェイモが最も自動運転をリードしている企業であると考えられます。

記事中でも紹介したように、ウェイモは東京への進出を目指しています。今後数年以内に、東京でも自動運転タクシーに乗れるようになるかもしれません。日本の人々が自動運転に向ける目線は、大きく変わることでしょう。

今後も当メディアでは、自動運転やEVなどのモビリティなどに関するニュースをまとめて発信していきます。最新情報が気になる場合は、ぜひ定期的にチェックしてみてください。

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