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日本の自動運転の現状とは?世界と比べた最新の動向について解説

更新日: 2025/11/3投稿日: 2025/9/27

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日本の自動運転の現状とは?世界と比べた最新の動向について解説
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「日本の自動運転技術は実際どこまで進んでいるのか?」
「世界と比べて遅れているって本当?」
「自社の物流やモビリティサービスに導入できるのはいつ?」

自動運転への期待が高まる一方で、具体的な実用化の時期や日本の技術水準について正確な情報を求めている方は多いのではないでしょうか。

特に、企業で物流効率化やモビリティサービス導入を検討している担当者の方は、実証段階から実用段階への移行時期が気になるところです。

2025年現在、日本ではレベル4自動運転の実証実験が複数の地域で運行中です。一部地域では既に定常運行が開始されており、「実証段階」から「実用段階」への移行が始まっています。

一方、一般消費者が購入できる市販車はレベル2までとなっており、完全自動運転の一般普及にはまだ時間を要します。

本記事では、日本における自動運転の最新状況を詳しく解説します。

  • 日本で進行中のレベル4実証実験の具体的な事例と運行状況
  • 一般消費者が自動運転車を購入・利用できる時期の見通し
  • 米国・中国と比較した日本の自動運転技術の立ち位置と課題
  • 国内主要メーカーの運転支援システムの機能比較
  • 企業が自動運転を導入する際の技術的・法的なポイント

【2025年現在】日本での自動運転の現状を解説

【2025年現在】日本での自動運転の現状を解説

現状は「自動運転レベル4」の実証実験が進んでいる

日本では2025年現在、自動運転レベル4の実証実験が全国の限定エリアで実施中です。自動運転技術はレベル0からレベル5まで6段階に分類され、数字が大きいほど自動化の度合いが高まります。

この分類は、米国の自動車技術者協会(SAE)が策定した国際基準に基づいています。

各レベルの定義と運転主体は以下のとおりです。

レベル名称運転の主体概要実用化状況(日本)
レベル0運転自動化なしドライバーすべての運転操作をドライバーが実施
レベル1運転支援ドライバー加速・減速またはハンドル操作のいずれかをシステムが支援普及済み
レベル2部分運転自動化ドライバー加速・減速とハンドル操作の両方をシステムが支援市販車で普及中
レベル3条件付き運転自動化システム(条件付)特定条件下でシステムが運転操作を実施。緊急時はドライバーが対応2020年法整備完了、販売終了
レベル4高度運転自動化システム特定条件下でシステムがすべての運転操作を実施。緊急時もシステムが対応実証実験・一部運行中
レベル5完全運転自動化システムあらゆる条件下でシステムがすべての運転操作を実施実証実験予定(2027年)

レベル4が社会実装されれば、特定エリア内で完全無人運転が実現します。ドライバーが一切操作しなくても、システムが安全に目的地まで乗客を運ぶ段階です。

この「特定エリア」は技術的にはODD(Operational Design Domain:運行設計領域)と呼ばれ、走行可能な道路の種類、速度範囲、気象条件などで構成されます。

レベル5については、2027年に開催予定の「大阪・関西万博」での実証実験が計画されています。ただし、あらゆる天候・道路条件・交通状況に対応する必要があるため、社会実装の具体的な時期は未定です。

日本で行われている自動運転レベル4の事例

全国で実施されているレベル4自動運転の主な事例を紹介します。運行形態や技術方式にも注目してください。

実施地域運行形態実施内容運行状況技術的特徴
福井県永平寺町自動運転バスヤマハ製7人乗り電動カート「AR-07」を使用。曹洞宗大本山永平寺の参道入口と周辺施設を結ぶ約2kmの区間で運行定常運行中(2024年4月〜)電磁誘導線方式、最高速度時速12km
東京都大田区自動運転バスHICity内や羽田空港第3ターミナルを結ぶ公道の一部で運行。2024年6月に民間企業として初の公道レベル4運行許可を取得実証実験中GPSとセンサー融合型
長野県塩尻市自動運転バスJR塩尻駅と市役所を結ぶ区間を含む公道を時速35kmで走行する日本初の認可事例実証実験中高速走行対応型
愛媛県松山市自動運転バス(伊予鉄)電磁誘導線を使用しない自動運転レベル4での路線バス運行2024年12月運行開始完全自律走行型

永平寺町では2024年4月から定常運行を開始しており、実証段階から実用段階へ移行中の段階です。地方の交通課題解決に向けた先進事例として注目されています。

ただし、現状では電磁誘導線方式という制約があり、一般的にイメージされる「完全自動運転」とは技術方式が異なる点に注意が必要です。

一方、愛媛県松山市の伊予鉄バスでは、電磁誘導線を使用しない完全自律走行型のレベル4運行が実現しており、より実用的な自動運転の形として期待されています。

レベル4自動運転の詳細については、以下の記事もご確認ください。

自動運転レベル4とは?普及や仕組み、活用事例について解説

投稿日: 2025/8/26更新日: 2025/9/4

自動運転レベル4とは?普及や仕組み、活用事例について解説

現行の市販車では「レベル2」が最高

2025年現在、一般消費者が購入できる新車の自動運転レベルはレベル2が最高水準です。レベル2は「部分運転自動化」に分類され、ドライバーが常に運転の主体となり、周囲の状況を監視する必要があります。

2021年3月、ホンダが世界初のレベル3自動運転機能搭載車「レジェンド」をリース販売しましたが、100台限定かつ法人向けリースのみで、車両価格が約1,100万円と高額だったため普及には至りませんでした。

現在は販売終了しており、再販の予定も発表されていません。この事例は、コスト面が自動運転普及の大きな障壁であることを示しています。

世界的に見ても、量産市販車の最高レベルはレベル2であり、日本メーカーが技術的に遅れているわけではありません。

むしろ、多くのグローバルメーカーは「レベル2.5」と呼ばれる高度なレベル2の開発に注力しており、コストと性能のバランスを重視した段階的なアプローチを取っています。

日本で自動運転が実現するのはいつから?政府ロードマップを解説

日本で自動運転が実現するのはいつから?政府ロードマップを解説

日本政府は「官民ITS構想・ロードマップ」を策定し、自動運転の段階的な実現を目指しています。2025年は「社会実装元年」と位置づけられており、複数の領域で実用化が進む重要な年です。

政府が定める自動運転実現の目標年度

目標年度区分目標内容現状(2025年)
2025年目処自家用車(オーナーカー)高速道路での自動運転レベル4の実現実証実験段階
2025年以降物流サービス高速道路でのトラックのレベル4実現実証実験進行中(2024年問題対応)
2025年以降移動サービス(サービスカー)限定地域での無人自動運転移動サービス(レベル4)一部地域で定常運行開始
2030年目標市場シェアSDV(Software Defined Vehicle)市場で30%シェア獲得開発推進中

2025年現在、高速道路でのトラック自動運転の実証実験が複数の事業者により実施されています。

物流業界の深刻なドライバー不足(いわゆる2024年問題)解消に向けた実用化が期待されており、政府も「自動運転2.0」という新たな推進プログラムを立ち上げて支援を強化中です。

「サービスカー」と「オーナーカー」で異なる実用化の道筋

日本政府は自動運転を2つの領域に分けて推進しています。

サービスカー(公共交通・物流)

タクシー、バス、配送トラックなど事業用車両を指します。限定されたエリアやルートでの運行が中心となるため、ODDを明確に設定しやすく、レベル4の実用化が先行しています。

前述の永平寺町や羽田空港周辺での運行が該当し、2025年中に複数の地域でサービス開始が見込まれています。

オーナーカー(自家用車)

一般消費者が所有・使用する乗用車を指します。あらゆる道路環境に対応する必要があるため、技術的ハードルが高く、多くの日系メーカーはコストに見合った形で段階的に高度化する方針を取っています。

当面は高度なレベル2(レベル2.5)の普及が中心です。一般消費者が自家用車として自動運転車を自由に購入できる段階には至っていません。

法整備、保険制度の整備、インフラ構築、コスト低減など、解決すべき課題が残っており、実用化にはさらに数年を要する見通しです。

自動運転を支える技術システムとは?企業導入の技術ポイント

自動運転を支える技術システムとは?企業導入の技術ポイント

自動運転の実現には、ハードウェアとソフトウェアの高度な統合が不可欠です。企業が自動運転システムを導入する際に理解しておくべき技術要素を解説します。

自動運転システムの3つの核心技術

1. センシング技術(認知)

カメラ、LiDAR(光レーダー)、ミリ波レーダー、超音波センサーなど複数のセンサーを組み合わせて周囲の状況を認識します。

日本特有の課題として、雨天や霧、降雪時のセンサー性能低下が挙げられます。梅雨、台風、豪雪など気象条件の変化が激しい日本では、センサーの冗長性(複数センサーの組み合わせ)が特に重要です。

2. AI演算処理(判断)

自動運転システムの頭脳である演算ユニットには、一般的なCPUではなくGPU(Graphics Processing Unit)が使用されます。

GPUは1秒間に1億回以上の演算が可能で、高性能CPUの2〜3倍以上の処理能力があるのです。刻々と変化する道路状況を膨大な電気信号に変換し、瞬時に次の行動を決定します。

3. クラウド基盤とデータ管理(運用)

自動運転車は走行中に膨大なデータを生成します。このデータをリアルタイムで解析し、車両の状態監視、ルート最適化、遠隔監視を行うには、高性能なクラウド基盤とデータ管理システムが不可欠です。

特にレベル4以上では、複数車両の一元管理や緊急時の遠隔対応が求められるため、クラウドインフラの重要性が増します。

企業が自動運転を導入する際の法的・技術的ポイント

企業が自動運転システムを導入する際には、以下のポイントを押さえる必要があります。

法的要件

  • 2020年4月施行の改正道路交通法により、レベル3以上の自動運転には「作動状態記録装置」の搭載が義務化
  • レベル4の公道走行には、国土交通省への許可申請と走行エリア(ODD)の明確な設定が必要
  • 事故発生時の責任範囲を明確にする保険制度の整備が必要

技術的要件

  • 高精度3Dマップ(HDマップ)の整備と定期更新
  • 5G通信インフラとV2X(Vehicle to Everything)通信対応
  • サイバーセキュリティ対策(外部からの不正アクセス防止)
  • バックアップシステムの構築(メインシステム故障時の安全確保)

日本メーカーの自動運転対応車種を紹介

日本メーカーの自動運転対応車種を紹介

「レベル3の市販車は購入できないの?」と疑問を持つ方もいるかもしれませんが、2025年現在、一般販売されている新車でレベル3は存在しません。

ここでは、国内主要メーカーが販売するレベル2運転支援機能搭載車種と、各システムの特徴を解説します。企業で社用車や営業車の導入を検討される際の参考にしてください。

トヨタ

システム名主な機能対応車種(一例)
Advanced Drive高速道路・自動車専用道路で、ナビ設定した目的地までドライバー監視下でシステムが運転を支援。車線変更支援、渋滞時追従機能を搭載アルファード、ヴェルファイア、ヴォクシー、ノア、クラウン、MIRAI、ランドクルーザー、センチュリー
Toyota Safety Sense衝突回避支援、車線逸脱警報、標識認識など、予防安全機能のパッケージ上記車種に加え、カローラ、グランエース、シエンタ、ハイエース ワゴンなど幅広い車種に搭載

※車種・グレードにより搭載機能は異なります。詳細は各車種のカタログをご確認ください。

Toyota Safety Senseは軽自動車を除くほぼ全車種に標準装備またはオプション設定されており、予算に応じて選択可能です。特に商用車として人気のハイエースにも搭載されており、企業の安全運転管理に貢献します。

ホンダ

システム名主な機能対応車種(一例)
Honda SENSING衝突軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、車線維持支援、標識認識機能など基本的な運転支援N-VAN、N-BOX、N-WGN、N-ONE、フィット、オデッセイ、ステップワゴン、フリード、ヴェゼル、ZR-V、WR-V、シビック、プレリュード
Honda SENSING 360全方位センシングによる高度な運転支援。交差点事故低減、後方誤発進抑制など追加機能を搭載アコード(HEV)
Honda SENSING 360+360の機能に加え、高速道路・自動車専用道路でのハンズオフ機能を搭載アコード(HEV 360+仕様)

Honda SENSINGは軽自動車からミニバンまで幅広い車種に搭載されており、コンパクトカーや軽自動車でも高度な運転支援を利用できます。

特に、軽商用車のN-VANにも搭載されており、配送業務の安全性向上に寄与します。

日産

システム名主な機能対応車種(一例)
ProPILOT先行車追従、停止保持、ハンドル操作支援。一部車種ではナビ連動機能により制限速度やカーブに応じた速度制御が可能日産アリア、日産リーフ、日産サクラ、ノート、エクストレイル、キックス、セレナ、ルークス、デイズ
ProPILOT 2.0高速道路でのハンズオフ機能、車線変更支援、追い越し支援、360°センシング機能を搭載日産アリア、セレナ
ProPILOT Park駐車時のハンドル・アクセル・ブレーキ操作を自動制御日産アリア、日産リーフ、日産サクラ、エクストレイル、セレナ

ProPILOT 2.0は高速道路でのハンズオフ走行が可能な日本メーカー初のシステムとして注目されています。ただし、ドライバーは常に前方を注視し、システムの要請に応じて即座に運転に戻る必要があります。

三菱

【e-Assist 対応車種(一例)】

  • eKクロス
  • eKワゴン
  • eKスペース
  • eKクロスEV
  • デリカ
  • トライトン
  • ミニキャブEV

ダイハツ

【スマートアシスト 対応車種(一例)】

  • ミライース
  • タフト
  • ムーヴ
  • タント
  • ロッキー
  • トール
  • アトレー
  • ハイゼット
  • グランマックス

軽自動車でも先進的な運転支援機能を標準装備しており、購入価格を抑えながら安全性を確保可能です。

特に、ハイゼットやグランマックスといった商用軽バンにも搭載されており、配送業務での事故防止に貢献します。

スズキ

スズキは「スズキセーフティサポート」を展開しています。街中での運転や駐車時に20種類以上の支援機能を提供します。

【スズキセーフティサポート 対応車種(一例)】

  • e ビターラ
  • ラパン
  • アルト
  • ワゴンR
  • スペーシア
  • ソリオ
  • スイフト
  • フロンクス

マツダ

マツダは「i-ACTIVSENSE」を展開しています。ドライバーの認知・判断・操作をサポートし、事故リスクを最小化する設計思想が特徴です。

【i-ACTIVSENSE 対応車種(一例)】

  • MAZDA2
  • MAZDA3
  • MAZDA CX-3
  • MAZDA CX-30
  • MAZDA CX-5
  • MAZDA CX-60
  • MAZDA MX-30
  • MAZDA ROADSTER

スバル

スバルは「アイサイト」を長年展開しています。ステレオカメラによる高精度な認識技術が特徴で、追突事故発生率0.06%という実績を持つ、国内トップクラスの安全性能を誇ります。

【アイサイト 対応車種(一例)】

  • レイバック
  • インプレッサ
  • クロストレック
  • レヴォーグ
  • フォレスター
  • WRX S4
  • SUBARU BRZ

アイサイトはステレオカメラによる立体認識が強みで、歩行者や障害物の距離を正確に把握できます。

特に、営業車や社用車として人気のレヴォーグやフォレスターに搭載されており、企業の安全運転管理に貢献します。

日本は遅れている?世界の自動運転車の開発状況

日本は遅れている?世界の自動運転車の開発状況

世界的には、米国と中国が自動運転技術の先進国有名です。両国では既にレベル4自動運転車が複数都市で商用運行されており、一般利用者が日常的に無人タクシーを利用できる段階に達しています。

海外主要企業の自動運転サービス展開状況

企業名サービス内容展開地域運行規模技術的特徴
米国Waymo(Google系列)完全無人タクシーサービスフェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルス等週10万回以上の配車実績完全自律走行、セーフティドライバー不在
中国百度(Baidu)無人タクシー「Apollo Go」北京、上海、深セン、武漢等累計600万回以上の走行、1日7万回配車AI活用、大規模データ学習
中国AutoX完全無人タクシーサービス深セン、上海等複数都市で展開都市部特化型

Waymoは米国で最も先行しており、セーフティドライバー不在の完全無人での商用サービスを複数都市で展開しています。

一般利用者がスマートフォンアプリで無人タクシーを呼び出し、日常的に利用できる段階です。2019年から本格的なサービスを開始し、既に数百万回の走行実績を持ちます。

中国の百度は「Apollo Go」として累計600万回以上の自動運転走行を実施しており、北京や武漢などの主要都市で一般利用が可能です。

2024年には1日あたり7万回以上の配車を記録しており、既に市民の日常的な移動手段として定着しつつあります。

日本が「遅れている」と言われる3つの理由

海外と比較すると、日本の自動運転市場は実用化のスピードで遅れを取っていると言えます。主な要因は以下の3点です。

1. 社会の受容性と安全基準の違い

日本では自動運転技術への慎重な姿勢が強く、安全性への要求水準が極めて高い状況です。法規制も段階的に整備される方針であり、慎重なアプローチが実用化のスピードに影響しています。

一方、米国では「まず走らせてデータを収集し、改善する」という実践的なアプローチが取られています。

2. 日本特有の気象・道路環境

日本は梅雨、台風、降雪など天候変化が激しく、自動運転システムが対応すべき状況が多岐にわたります。

LiDARやカメラなどのセンサー性能は雨や霧で大幅に低下するため、あらゆる気象条件への対応が技術的課題です。

米国西海岸(カリフォルニア、アリゾナ)や中国の主要都市は天候が安定しており、自動運転システムの開発・実証環境として有利な条件を備えています。

3. 法整備とインフラ投資のスピード

中国では政府主導で5G通信インフラやスマートシティ構想が急速に整備されており、自動運転に適した環境が構築されています。

日本でも整備は進んでいますが、既存インフラとの調整や地域間格差があり、全国展開には時間が必要です。

日本の強みと独自の戦略

ただし、日本メーカーが技術力で劣っているわけではありません。トヨタ、ホンダ、日産は高い品質管理能力と安全性重視の開発姿勢を持っており、信頼性の高いシステム構築を進めています。

実用化のスピードは遅れていますが、日本の気象条件に適応した堅牢なシステム開発という独自の強みを持っています。

また、日本は「段階的・確実な実用化」という戦略を取っており、まずは限定エリアでの実証を重ね、徐々に拡大していく方針です。

これは、長期的には社会の信頼を獲得し、持続可能な自動運転社会を構築する上で有効なアプローチです。

さらに、日本政府は「自動運転2.0」プログラムを立ち上げ、海外の先進技術も積極的に取り入れる方針を打ち出しています。

実際、Waymoの日本進出も検討されており、今後数年で状況が大きく変わる可能性があります。

自動運転導入を検討する企業が押さえるべき3つのポイント

自動運転導入を検討する企業が押さえるべき3つのポイント

企業が自動運転技術の導入を検討する際、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

1. 目的とODD(運行設計領域)の明確化

自動運転は「どこで、どのように使うか」を明確にすることが成功の鍵です。

例えば、工場内や倉庫内での搬送、空港や大規模施設内での移動サービス、限定された配送ルートでの物流など、ODDを明確に設定できる用途から導入を検討することが現実的です。

2. データ基盤とクラウドインフラの整備

自動運転車は走行中に膨大なデータを生成します。このデータを蓄積・解析し、システムの継続的な改善に活用するには、高性能なクラウド基盤とデータ管理システムが不可欠です。

特に、複数車両を運用する場合は、一元的な運行管理プラットフォームの構築が求められます。

3. 段階的な導入とROIの検証

ホンダ レジェンドの事例が示すように、コストは自動運転普及の大きな障壁です。いきなり大規模な導入を行うのではなく、小規模な実証実験から始め、効果を検証しながら段階的に拡大することが重要です。

特に、ドライバー人件費の削減、事故率の低減、運行効率の向上など、定量的なROI(投資対効果)を測定することが求められます。

日本の自動運転は着実に進展している!2025年は社会実装元年

日本の自動運転は着実に進展している!2025年は社会実装元年

日本では2025年現在、自動運転レベル4の実証実験が全国複数地域で実施中です。

永平寺町では定常運行が開始され、愛媛県松山市では電磁誘導線を使用しない完全自律走行型のレベル4運行が実現しており、実証段階から実用段階への移行が着実に進んでいます。

一般消費者が購入できる市販車はレベル2が最高水準ですが、トヨタ、ホンダ、日産をはじめとする日本メーカーは高度な運転支援機能を搭載した車両を販売しており、安全性能は年々向上中です。

多くのメーカーは「レベル2.5」と呼ばれる高度な運転支援システムの開発に注力し、コストと性能のバランスを重視した現実的なアプローチを取っています。

自動運転技術は実証段階から実用段階への移行期にあります。政府が「社会実装元年」と位置づける2025年は、企業の物流効率化や地方の移動サービス改善に向けた重要な転換点です。

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