電気自動車(EV)の充電時間の目安は?充電の種類や時間短縮の方法も解説
更新日: 2025/6/22投稿日: 2025/5/28
EV
電気自動車(以下EV)の購入を検討している方や、すでにEVを所有している方にとって、充電時間は懸念事項の1つです。
とくにEVを購入する前の方のなかには、満充電までどれぐらいかかるのか気になる方は多いことでしょう。
EVの充電時間は、車種や充電器の出力により大きく異なります。大容量バッテリーを積むEVであれば、満充電までに8~10時間近くかかる場合も珍しくありません。
できれば、自身の環境における充電時間を把握した状態で、EVを活用したいですよね。
そこでこの記事ではEVの充電時間の目安や、充電時間短縮の方法などを解説します。記事を読めば、賢くEVを充電する方法が分かり、EVの利便性をさらに上げられます。
今よりEVを活用したい方や、買ったそばから賢くEVを利用したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
電気自動車(EV)を満タンに充電するまでの時間の目安とは

EVの満充電時間の目安は、普通充電と急速充電で大きく異なります。この記事では、それぞれの項目に分けて解説します。
普通充電の場合
「普通充電」とは、出力が3~6kWの充電器のこと。自宅やホテルで充電する場合は、基本的に普通充電となります。
もっとも普及しているEVである「日産リーフ」のバッテリー容量が60kWhモデルを例に出します。仮に出力3kWで0%から満充電するとなると、かかる時間は以下のとおりです。
60kWh / 3kW = 20時間
上記の結果より、普通充電にて満充電するには多大な時間を要することが分かります。ただし、充電率が完全にゼロの状態から満充電をする場面に遭遇することは、あまりありません。
加えて、充電時間は車種やバッテリー容量、充電器出力により大きく異なる点も注意してください。
急速充電の場合
高速道路のサービスエリアや専用の充電スタンドには、出力が大きい「急速充電」が用意されている場合があります。出力は充電器によって20~150kWとばらつきがありますが、いずれも普通充電よりも、充電時間は大幅に縮まります。
たとえば30kW急速充電器であれば、単純計算でも3kW普通充電器の10倍の速度で充電が可能です。日産リーフの60kWhモデルであれば、0%から満充電までわずか2時間の計算です。
ただし日本国内の急速充電器の多くは、バッテリーへの負担軽減や過充電防止のため、1回に利用できる時間が原則「最大30分」というルールが定められています。
そのため急速充電器は、あくまでつなぎ充電の目的で設置されている点を覚えておきましょう。
電気自動車(EV)の急速充電はどこでできる?

急速充電器が設置されているのは、主に以下のような場所です。
- 高速道路のSAやPA
- 道の駅
- ガソリンスタンド
- 商業施設
- 宿泊施設(ホテルなど)
- カーディーラー
- 急速充電スタンド
- 公園 など
急速充電器の設置場所は「GoGOEV」のEV充電マップで確認できます。「充電タイプ」の「CHAdeMO(急速)」にチェックを入れれば、利用可能な急速充電器がすべて表示されます。

充電器タイプから、出力ごとに表示する充電器を絞ることもできるので、ぜひ活用してください。
人気の電気自動車3車種で具体的な充電時間を比較

EVの具体的な充電時間を、以下3つの人気車種を例に解説します。
1. 三菱 eKクロス EV(20kWh)
2. 日産 リーフ(40kWhモデル)
3. テスラ モデル3 スタンダードレンジ プラス(約54kWh)
1. 三菱 eKクロス EV(20kWh)

「三菱 eKクロス EV」は、三菱自動車が販売しているEVです。軽自動車のため、バッテリー容量は20kWhと少なめです。
より現実的な状況に近づけるため、それぞれバッテリー残量を10%から80%に充電することを想定して、充電時間を計算します。
また計算結果はあくまで理論値であり、実際には10%ほどの電力のロスが発生します。そのため、現実の充電時間はもう少し長くなる点に留意してください。
◯普通充電の場合
eKクロスは6kW充電未対応のモデルです。よって、3kW普通充電での充電時間のみを割り出します。
14kWh / 3kW = 4.666… ≒ 4時間40分
◯急速充電の場合
eKクロスの最大受入能力は30kWなので、ここでは30kW急速充電での充電時間を計算します。
14kWh / 30kW = 0.666… ≒ 40分
eKクロスのバッテリー容量であれば、出先でも1回の充電器利用で、相応の容量が充電可能です。
2. 日産 リーフ(40kWhモデル)

「日産 リーフ」は日産自動車が販売している、国内シェアNo.1のEVです。今回は、もっともオーソドックスな容量である40kWhモデルを例に挙げます。
残量10%から80%までの充電とし、充電時の電力ロスは計算しません。そのため、現実の充電時間はもう少し遅くなる可能性があります。
◯普通充電の場合
リーフは6kW充電に対応しているため、3kWと6kWの両方を計算します。
- 3kw充電:28kWh / 3kW = 9.333… ≒ 9時間20分
- 6kw充電:28kWh / 6kW = 4.666… ≒ 4時間40分
リーフはeKクロスよりも容量が大きい分、就寝中の充電など、日常での充電には工夫が必要です。
◯急速充電の場合
リーフの受入最大能力は50kWなので、50kWの急速充電時の時間を計算します。
28kWh / 50kW = 0.56 ≒ 33分
高出力の充電器であれば、約30分で十分な充電が可能です。
3. テスラ モデル3 スタンダードレンジ プラス(54kWh)

「テスラ モデル3 スタンダードレンジ プラス」は、テスラ社から発売されたEVです。54kWhの大容量バッテリーを搭載しており、長距離走行を可能としています。
残量10%から80%までの充電とし、充電時の電力ロスは計算しません。そのため、現実の充電時間はもう少し遅くなる可能性があります。
◯普通充電の場合
テスラモデル3は6kW充電に対応しているため、3kWと6kWの両方を計算します。
- 3kw充電:37.8kWh / 3kW = 12.6 ≒ 12時間36分
- 6kw充電:37.8kWh / 6kW = 6.3 ≒ 6時間18分
54kWhと大容量のバッテリーを積んでいるため、十分な充電には相応の時間が必要です。
◯急速充電の場合
テスラモデル3は、テスラ専用の「スーパーチャージャー」に対応しており、最大250kWもの超高速充電が可能です。
ここでは50kWと150kW、そして250kWでの充電時間を計算します。
- 50kW充電:37.8kWh / 50kW = 0.756 ≒ 45分
- 150kW充電:37.8kWh / 150kW = 0.252 ≒ 15分
- 250kW充電:37.8kWh / 250kW = 0.1512 ≒ 9分
ちなみにスーパーチャージャーの250kW充電であれば、0%からの満充電であっても、約20分で充電が終わる計算です。
電気自動車(EV)の「普通充電」の時間を短縮する3つの方法

EVの普通充電時間を短縮する具体的な方法は、以下の3つです。
1. 6kW普通充電を利用する
2. V2H機器を設置する
3. タイマー機能を活用する
1. 6kW普通充電を利用する
自宅の充電器をコンセント型の3kWから、壁掛け型などの6kW設備に変更すれば、計算上は2倍の速度で充電が可能です。
ただし6kW普通充電設備には、以下3つの注意点があります。
- 6kW充電に対応していない車種あり(例:日産eKクロス EV)
- 自宅が定格60Aである必要あり
- 自宅が単相3線式の配電方式である必要あり
比較的新しい住宅であれば、アンペア数と配線方式に関しては問題なく利用できる場合が多いですが、念のため確認しておきましょう。
2. V2H機器を設置する
V2H(Vehicle to Home)機器とは、EVの大容量バッテリーを家庭で利用可能とする設備です。V2H機器は6kW充電に対応しているため、設置すればコンセント型の3kW充電器よりも早く充電できます。
加えてV2H機器は、EVバッテリーに蓄えられた電気を家庭のブレーカーへ送電できます。災害時などにEVバッテリーをV2H機器に接続すれば、非常用電源として利用可能です。
ただし、V2Hに対応した車種でないと利用できないので注意してください。
3. タイマー機能を活用する
多くのEVには、充電の開始時刻と終了時刻を決められる「タイマー機能」が実装されています。
タイマー機能を設定して充電器につなげておけば、つねに同じ時間内でのみ充電が可能です。車を利用しない夜間などに設定すれば、寝てる間に効率良く充電できます。
また充電時間をコントロールできるため、電気代の把握と節約にも便利な方法です。
電気自動車(EV)の「急速充電」の時間を短縮する3つの方法

急速充電は通常利用でも十分な充電速度を有しますが、さらに短縮する方法を3つ紹介します。
1. 出力の大きい充電器を使う
2. 満充電に近いときは充電を控える
3. 充電器の空き状況を確認する
1. 出力の大きい充電器を使う
当たり前のことですが、出力が大きい充電器は早く充電できます。充電スポットを検索できるサイトやアプリを使って、出力の大きい充電器の場所を調べておきましょう。
「GoGOEV」の充電マップでは、調べたい出力の充電器のみを検索できます。高出力充電器の場所が知りたいときは「高速(40 – 89kW)」と「超高速(90kW以上)」にチェックを入れて検索してください。

自宅周辺の高出力充電器の場所を押さえておけば、急な充電が必要な際に安心できます。
2. 満充電に近いときは充電を控える
EVバッテリーは、充電率がおよそ80%を超えると充電速度を意図的に低下させ、バッテリーを保護します。これは、バッテリーの寿命を伸ばすための組み込み機能です。
よって、急速充電で満充電を行うのは現実的ではありません。バッテリーの劣化も早まるため、80%程度で充電を切り上げましょう。
ただし、長距離移動および緊急時には、100%まで充電しても問題ありません。現代のEVバッテリーであれば、ときどきの満充電には耐えうるように設計されています。
3. 充電器の空き状況を確認する
単純なことですが「充電場所を探す手間」さえ省ければ、結果的に充電に使う時間は減少します。充電器の空き状況を確認する方法を知っておきましょう。
充電器の場所や空き状況を調べるのに便利なのが「EV充電スポット」というアプリです。マップ形式で充電器の場所を確認でき、一部の充電器は空き情報も見られます。


また「経路検索」という便利機能があり、利用したい充電器の出力を指定すると、充電スポットを含めた経路を案内してくれます。
EV利用者必携のアプリとなっているので、ぜひ活用してみてください。
電気自動車(EV)を充電する際に意識したいポイント3選

EVを充電する際は、以下3つのポイントを意識しておきましょう。
1. 車種ごとのバッテリー容量と航続距離を確認する
2. 無料で充電できる場所がある
3. 充電は80%程度に留める
1. 車種ごとのバッテリー容量と航続距離を確認する
車種ごとのバッテリー容量と航続距離を押さえておけば、自分の用途に合った車の選択が可能です。
近年のEVは電費の改善により、満充電の航続距離が200kmを超えるものが多くあります。加えて、バッテリー容量が少ないものは、満充電までの時間も少なく済みます。
たとえば、買い物など日常的な足としてEVを使う場合は「サクラ」のような200km前後の車種でも十分です。反対に、ドライブが趣味の人や遠方に行くことが多い人は、航続距離が400km以上のものを選ぶとよいでしょう。
EVを購入する際はディーラーと相談しつつ、自分に合ったバッテリー容量と航続距離の車を選ぶべきです。
2. 無料で充電できる場所がある
有料駐車場や公共施設には、EVを無料充電できるスポットが存在します。なかには急速充電に対応している場合もあるため、有効活用しましょう。
無料充電スポットは「GoGOEV」で「充電無料」にチェックを入れて検索すると見つかります。

ただし無料充電スポットは数が少なく、1箇所あたりの本数も多くありません。無料のため、利用者が多い点にも注意してください。
3. 充電は80%程度に留める
EVバッテリーを長持ちさせたい場合、充電率は80%程度に留めましょう。Eリチウムイオンバッテリーは特性上、過充電を行うと劣化が早まるためです。
各自動車メーカーも、充電率は80%程度を推奨しています。とくに、急速充電は高い電圧によりバッテリーに大きな負担がかかるため、一層注意が必要です。
電気自動車(EV)の充電時間に関するよくある質問と回答

EVの充電時間に関するよくある質問と回答をまとめました。細かい疑問点があれば、ぜひ参考にしてください。
全国に充電スポットはどれぐらいある?
「GoGOEV」の最新の統計によると、2025年5月末時点でのEVの充電スポット数は26,881箇所です。
ここ数年ほどで、充電スポットの設置はハイペースで行われており、今後もますます増加が見込まれます。
急速充電の繰り返しはバッテリーの劣化につながる?
急速充電は大きな負荷をバッテリーにかけるため、普通充電よりもバッテリーの温度が上昇します。リチウムイオンバッテリーは熱に弱いため、温度が上がると、原理上は劣化が進む原因となります。
車のバッテリーは大きく丈夫なので、少しの熱であれば劣化は急速に進みません。ですが積み重ねていくと、大きな負担となるのは間違いないでしょう。
あくまで急速充電は長距離運転のつなぎとして利用し、通常時は自宅の普通充電器で充電するのがおすすめです。
電気自動車のバッテリー消費を抑えるコツは?
EVバッテリーの消費を抑えるには、エコドライブを意識しましょう。エコドライブとは、主に以下のような運転方法です。
- 急激なストップ&コ゚ーを控える
- 加速・減速が少ない運転をする
- 不要なアイドリングをしない
- エコモードがあればONにする など
エコドライブは消費電力を抑えられるため、バッテリーが長持ちします。
【まとめ】電気自動車(EV)の充電時間は車種や充電器により大きく異なる

EVの充電時間は、車種や使用する充電器により大きく左右されます。利用している車種によっては、高出力の充電器が使えない場合があるため注意が必要です。
EVを効率よく充電するには、急速充電器の利用や、充電時間を工夫するのがおすすめです。賢く充電することで、ガソリン車以上の利便性をEVに見出すことができるでしょう。
自分に合った車種や充電器を導入し、快適なEVライフを送ってくださいね!
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