モビリティとは簡単に言うとどういう意味?3つの種類や環境との関係・事例について解説
更新日: 2025/3/26投稿日: 2025/3/26
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モビリティ(Mobility)とは「移動」や「移動性」を指す言葉です。モビリティには大きく分けて「パーソナルモビリティ」「スマートモビリティ」「パブリックモビリティ」の3種類があり、それぞれが環境問題や都市の交通インフラと深く関わっています。
今回の記事では、モビリティの意味や種類、環境との関係、そして最新の事例について詳しく解説します。今後の移動のあり方を考えるヒントとして、ぜひチェックしてみてください。
モビリティとは?簡単に概要を解説

モビリティとは、移動や交通にかかわる手段や技術、サービスを総称した言葉です。従来の自動車や電車、バスなどの公共交通機関はもちろん、最近は電動キックボードやeバイクなど、より手軽に利用できるパーソナルな乗り物も含まれています。
単に「移動する方法」を指すだけでなく、移動をより自由かつ効率的に行うためのサービスや技術開発を含めて「モビリティ」と呼ぶケースが増えました。急速に進む都市化や環境意識の高まりとともに、モビリティのあり方も多様化し、私たちの生活スタイルを大きく変えつつあります。
モビリティの主な種類を3つ解説

モビリティの主な種類は、以下の通りです。
- パーソナルモビリティ
- スマートモビリティ
- パブリックモビリティ
それぞれの種類ごとの特徴を見ていきましょう。
1.パーソナルモビリティ
パーソナルモビリティとは、個人が使用する小型で機動力の高い移動手段を指します。代表的なものとして、電動キックボードやeバイクが挙げられますが、最近では小型電気自動車、電動車いすなどもパーソナルモビリティの一種として注目されています。
都市部では短距離の移動が多く、電車やバスよりも気軽に使える手段として人気が拡大してきました。電動式であることから排気ガスを出さず、環境に優しい移動手段としても評価が高まっています。さらに、シェアリングサービスが広がっていることもあり「必要なときだけ手軽に使える」という便利さがユーザーに受け入れられ、導入例が続々と増加している点も見逃せません。
また、注目されているのがグリーンスローモビリティという考え方です。これは、最高速度20km/h未満で公道を走行できる超小型モビリティを指し、地域コミュニティや観光地などでの移動をスムーズにする取り組みとして注目を集めています。高齢者や観光客も安全に移動しやすいことから、社会的に受け入れられやすいモビリティの一種といえるでしょう。
2.スマートモビリティ
AIやIoT技術を駆使し、移動を効率化かつ安全化する次世代型のモビリティを総称して「スマートモビリティ」と呼びます。自動運転車や複数の移動手段をひとつのサービスとして統合するMaaS(Mobility as a Service)などが代表例として挙げられ、都市や地域の交通状況を分析し、最適なルートや運行スケジュールを組むことで、渋滞や移動時間の削減、事故予防が期待されています。
自動運転は人手不足や高齢化が進む社会において、大きな助けとなる技術です。同時にデータを活用して需要を予測し、オンデマンドでバスやタクシーを動かすことで、無駄のない運行が可能になる点も魅力といえるでしょう。
3.パブリックモビリティ
バスや電車、地下鉄など、不特定多数の人が利用する公共交通機関は「パブリックモビリティ」として位置づけられます。都市インフラとして欠かせない存在であり、社会の基盤を支える重要な役割を果たしているのがポイントです。
近年ではアプリと連携して運行状況をリアルタイムで提供するなど、利便性の向上に関する取り組みが進められ、利用者にとってのさらに便利なものになっています。また、パブリックモビリティは多くの人が同時に移動するという特性上、環境への負荷が相対的に低い移動手段としても注目されている点も見逃せません。
モビリティと環境の関係

モビリティと環境の関係として、以下3つが挙げられます。
- 公共交通への支出は減少傾向にある
- 物流では小口輸送が増加している
- モビリティサービスは多様化が進む
今後の展望に大きくかかわる部分なので、ぜひチェックしてみてください。
公共交通への支出は減少傾向にある
公共交通機関を支える予算や利用者数は、全国的に縮小しつつあります。たとえば、令和2年度(2020年度)のバス輸送人員は31億2,055万人で、前年度の42億5,765万人から26.7%減少しました。
参照:公益社団法人日本バス協会
背景には、自家用車の利用だけでなく、カーシェア、ライドシェアなど多様な移動手段が普及してきたことが挙げられます。特に都市部では、駅から自宅やオフィスまでの短距離移動を電動キックボードなどのパーソナルモビリティで済ませる人が少しずつ増えてきました。
その結果、公共交通が担っていた利用者が分散し、減収が続けば輸送サービスの維持が難しくなる懸念があります。公共交通が衰退すると、一人ひとりが個別に車両を使うケースが増え、CO2の排出量や渋滞リスクがさらに高まる恐れがあるなど、環境対策の面でも大きな課題です。
物流では小口輸送が増加している
ネット通販が盛んになるにつれ、小口の荷物を頻繁に届けるニーズが急速に増えました。対応する形で、軽量の電動トラックやバイク、さらにはドローン配送といった新たな物流ソリューションが導入され始めています。これらはエンジン車に比べると排気ガスの抑制が期待できますが、配送の件数自体が多ければ、総合的なCO2排出量は必ずしも減らない可能性があります。
さらに、荷物の量と配送ルートの管理が複雑化することで、従来の一括輸送と比べ効率が下がる側面も否定できません。環境負荷を抑えながら持続的に小口輸送を行うためには、AIなどを活用した最適ルートの選定や、地域拠点ごとの集約など総合的な対策が欠かせなくなっています。
モビリティサービスは多様化が進む
昨今、カーシェアや自転車シェアが普及し、電動キックボードや電動バイクのシェアリングも登場するなど、人々のライフスタイルに合わせたモビリティサービスが次々と登場しています。モビリティサービスの多様化が移動の選択肢を増やし、便利さをもたらしました。一方、歩道や車道をどう使うか、利用ルールをいかに整備するかなど、都市計画やインフラ整備にかかわる課題も浮上しているのも事実です。
また、電気エネルギーを活用するモビリティの利用が拡大しているとはいえ、発電時のCO2排出や充電設備の設置場所などを総合的に考慮する必要があります。多様化と環境負荷低減の両立をめざし、自治体や企業が協力してルール作りや公共空間の整備を進めることが、より持続可能なモビリティ社会の実現につながるでしょう。
モビリティサービスの事例

モビリティサービスの事例として、以下をご紹介します。
- LUUP(ループ)
- MONET Technologies
- BRT(バス・ラピッド・トランジット)
近年注目を集めているサービスをピックアップしているので、ぜひ参考にしてみてください。
LUUP(ループ)

引用:LUUP(ループ)
LUUPは国内のスタートアップ企業で、電動キックボードやeバイクのシェアリングサービスを展開しています。都市部の短距離移動をターゲットとし、専用ポートを多数設置することで誰でも気軽に乗りやすい環境を整えているのが特徴です。
スマートフォンのアプリから手続きを行うだけで簡単に借りられるため、気軽に使いやすいのがポイント。CO2排出を抑えられるだけでなく、交通渋滞の緩和などにもつながるため、多くの企業や自治体が注目を集めています。
MONET Technologies

MONET Technologiesは、トヨタ自動車とソフトバンクが共同出資で設立した次世代モビリティサービスの提供企業です。オンデマンド交通やデータ活用による移動の最適化を進めることで、社会が抱える交通課題に挑戦しています。
具体的にはMaaSや自動運転車を活用した移動サービスの構築を目指し、高齢化対策や地方創生にも貢献できる仕組みづくりを進めています。また、大企業のリソースとITのノウハウを結集していることから、全国各地への展開が期待されているサービスです。
BRT(バス・ラピッド・トランジット)

BRTとはバス専用レーンや優先信号を組み合わせることで、高速かつ定時運行を実現するバスシステムです。鉄道のようなレールは敷設しない一方で、道路空間をうまく活用して走行効率を高めるため、建設コストを抑えながら高い利便性を提供できるのが強みといえます。
日本では震災後の復興支援としてBRTが導入され、地域住民の生活を支える重要な交通手段になっている例も見られます。鉄道と比較するとやや輸送力は劣るものの、導入のスピードやコストパフォーマンスの良さから、さまざまな地域で期待が寄せられています。
モビリティサービスの未来とは

モビリティサービスの未来として、以下3つを考察しました。
- 過疎地での移動課題の解決策として導入が期待される
- 移動のワンストップ化
- 電動モビリティの拡大
ぜひ今後の参考にしてみてください。
過疎地での移動課題の解決策として導入が期待される
過疎地では高齢化と若年層の都市部流出が深刻化し、日常の買い物や通院などに支障が生じるケースが増えています。従来の公共交通機関も採算が合わないなどの理由で路線の廃止や減便が相次ぎ、いわゆる“交通弱者”が生まれているのが現状です。
そこで、新たな解決策として注目を集めるのが自動運転バスやオンデマンド交通の導入です。たとえば、一定の時間帯に合わせてバスやタクシーを呼び出せるシステムを整備すれば、効率的な運用と利用者の利便性向上を両立できます。
加えて、地域住民との連携による持続可能なモビリティサービスの開発も重要です。地元のニーズを反映した仕組みを共同で考案することで、地域資源の活性化や生活の質の向上が見込まれるでしょう。
移動のワンストップ化
MaaS(Mobility as a Service)の概念が広がるにつれ、バスや電車、タクシー、シェアリングサービスなど、複数の交通手段をまとめて予約・決済できる仕組みが普及し始めました。目的地に合わせて最適な移動方法を提案できるようになり、乗り換えや支払いもスマートフォン一つで済むようになるでしょう。
また、利用者の移動データを分析して混雑の予測や運行管理に反映することで、社会全体の交通効率が上がるだけでなく、一人ひとりのニーズに合わせたパーソナルな移動プランの提供も可能になることが予想されます。シームレスなサービスが一般化すれば、車を所有しなくても快適に移動できる都市や地域が増え、さらなる暮らしやすさの向上が期待できます。
電動モビリティの拡大
環境問題への関心が高まるなか、LOOPなどの電動キックボードや電気自動車といった“電動モビリティ”の存在感はますます大きくなっています。エンジンを使わないことから排気ガスを減らせるだけでなく、再生可能エネルギーで充電すれば、CO2排出量を大幅に抑えることも可能です。
自治体が導入に積極的な政策を打ち出したり、購入・利用に対する補助金を提供したりといった動きが広がれば、利用者の増加は加速度的に進むでしょう。また、駐車場や充電インフラの整備が進むほど、電動モビリティの利便性は高まります。今後は都市部だけでなく、郊外や過疎地にも広く普及していくことで、新しい移動スタイルが社会全体に根づくことが予想されるでしょう。
モビリティサービスと関連性の深い用語

モビリティサービスと関連性の深い用語として、以下3つをピックアップしました。
- MaaS(Mobility as a Service)
- 自動運転
- ラストワンマイル
モビリティサービスへの理解を深めるためにも、ぜひチェックしてみてください。
MaaS(Mobility as a Service)
MaaSはICTを活用してさまざまな移動手段を統合・最適化し、利用者にとってシームレスな移動を提供する概念です。具体的にはバスや電車、タクシー、カーシェア、自転車シェアなど複数の交通手段を一つのアプリやプラットフォームで予約・決済できるようにすることで、利便性を高めています。
マイカー所有が前提ではないこの仕組みにより、交通渋滞の緩和や駐車スペースの問題解消にもつながると期待されています。世界各都市で実証実験が進んでおり、日本国内でも官民連携を通じてサービスの検討が進んでいくことが予想されるでしょう。
自動運転
自動運転は、人の操作を必要とせずに車両が自律的に走行する技術です。センサーやカメラ、AIなどを組み合わせて車両が周囲の状況を認識・判断し、アクセルやブレーキ、ハンドル操作を行います。人為的なミスを大幅に減らせるため、交通事故削減や高齢者・障がい者の移動支援など、多方面での活用が期待されています。
さらに、MaaSと組み合わせることで、完全自動化された移動サービスの実現も視野に入ってきました。自動運転が普及すれば、車内空間を娯楽や仕事の場として活用する発想も生まれ、社会のライフスタイルやビジネスチャンスが一変する可能性があります。
ラストワンマイル
ラストワンマイルとは、駅やバス停から目的地までの最後の短距離移動を指す用語です。たとえば、電車で目的地の近くまで行っても、そこから徒歩圏内でない場合にラストワンマイルの移動手段が必要になります。
MaaSが普及すると、この部分を自転車シェアや電動キックボードなどでカバーし、公共交通をより使いやすくすることが可能です。効率的なラストワンマイルの仕組みが整えば、車での移動を減らし、交通渋滞の緩和や環境負荷の軽減が期待できるでしょう。
【まとめ】モビリティの最新動向を追って理解を深めよう

現在ではさまざまな移動手段が確立され、ますます多様化が進んでいます。LUUPなどの新しい移動手段も今後さらに出てくる可能性があるため、今後の情報に対するキャッチアップが欠かせません。
今後も当メディアでは、EVやモビリティなどに関するニュースをまとめて発信していきます。EVやモビリティなどに関する最新情報が気になる場合は、ぜひ定期的にチェックしてみてください。
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