電気自動車(EV)の電気代の目安は?ガソリン車との比較や安く抑えるポイントも解説
更新日: 2025/5/9投稿日: 2025/5/9
EV
電気自動車(以下EV)は、バッテリーに充電した電気でモーターを駆動させて走る車です。質量が大きい物体を動かすので、それだけ多くのエネルギーを消費します。
EVの充電にかかる電気代は、オーナーの環境や生活スタイルにより大きく異なります。安く抑えるには、まず自分の充電環境の把握が欠かせません。
そこでこの記事では、EVの1ヶ月あたりの電気代の目安を、よくある3パターンに分けて解説します。
ガソリン車とのランニングコストの比較や電気代を安く抑えるコツも合わせて紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
電気自動車(EV)の満充電にかかる電気代の目安は?

EVの満充電にかかる電気代の目安は、自宅充電と外部充電で異なります。
この記事では、もっともオーソドックスな「日産リーフ」の40kWhモデルを題材に、以下の2パターンに分けて解説しますので参考にしてください。
- 自宅充電の場合は最大2,000円程度
- 外部充電の場合はプランにより変動あり
自宅充電の場合は最大2,000円程度
電気代は契約している事業者により異なるため、目安として公益社団法人「全国家庭電気製品公正取引協議会」が公表している「31円/kWh(税込)」を用います。
電力料金は、ご契約の小売電気事業者により異なります。そのため、家電公取協では、「電力取引報告」(「経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会」公表)における全小売電気事業者の販売電力量・販売額の集計値などに基づき、目安単価を算出しています。
なお、現在の目安単価は、令和4年7月22日に改定された31円/kWh(税込)です。引用:よくある質問 Q&A
仮に0%から100%(40kWh)までフル充電をしたとして、計算式は以下のとおりです。
40kWh × 31円 = 1,240円
ただし、この1,240円というのは単純計算なので、以下の要素で変動します。
- 充電時のロス(10~20%程度)
- 電力会社ごとの金額の差
上記2つを加味しても、最大2,000円程度に収まる計算です。
外部充電の場合はプランにより変動あり
全国各所にある充電スポットの利用料は、日産やe-Mobility Powerが提供しているプランに入っているか否かで大きく変動します。
ここでは日産の「ゼロエミッションサポートプログラム3(以下ZESP3)」を挙げます。ZESP3のプランを表にまとめると、以下のとおりです。
プラン名 | プレミアム100 | プレミアム200 | プレミアム400 | シンプル |
---|---|---|---|---|
月額基本料金 | 4,400円(税込) | 6,600円(税込) | 11,000円(税込) | 1,100円(税込) |
プランに含まれる 充電分数 | 急速充電:100分 普通充電:600分 | 急速充電:200分 普通充電:600分 | 急速充電:400分 普通充電:600分 | 従量課金 |
プラン以上に 充電する場合 | 急速充電:44円(税込)/分 普通充電:3.3円(税込)/分 | 急速充電:38.5円(税込)/分 普通充電:3.3円(税込)/分 | 急速充電:33円(税込)/分 普通充電:3.3円(税込)/分 | 急速充電:99円(税込)/分 普通充電:3.3円(税込)/分 |
たとえば「プレミアム100」では、普通充電600分と急速充電100分を月額4,400円(税込)で利用可能です。ここで普通充電を6kWh、急速充電を50kWhで統一すると、1ヶ月に充電できる合計量は以下のようになります。
- 普通充電:6kW ×(600/60)= 60kWh
- 急速充電:50kW ×(100/60)= 約83kWh
あくまで単純計算ですが、これだけの電力を月額4,400円で充電可能です。つまり、外部充電を多用する人は、基本的にプランに入ったほうがおトクです。
一方、充電はほとんど自宅で行い、スポット的に外部充電を利用するだけであれば、ビジター利用がおすすめです。同等の電力量をe-Mobility Powerのビジター料金で賄おうとすると、以下の料金がかかります。
充電の種類 | 電力 | 充電料金 | 合計料金 |
---|---|---|---|
普通充電 | 6kW | 8.8円(税込)/分 | 5,280円(税込) |
急速充電 | 50kW | 55円(税込)/分 | 5,478円(税込) |
上記の内容から、外部充電を多用する場合は、日産やe-Mobility Powerなどのプランに加入しましょう。
【結論】電気自動車(EV)の1ヶ月あたりの電気代の目安は?3パターンで解説

ここからは、EVの1ヶ月あたりの電気代の目安を、以下の3パターンに分けて解説します。
1. すべて自宅充電の場合
2. すべて外部充電でプラン料金の場合
3. すべて外部充電でビジター料金の場合
参照する車種・電費・走行距離
車種は「日産リーフ」の40kWhモデルとし、電費はカタログスペックで8km/kWhです。月間走行距離は、一般社団法人日本自動車工業会「2023年度乗用車市場動向調査」の統計から、平均値の362kmとします。
1. すべて自宅充電の場合
リーフが362km走るのに必要な電力量は、以下のとおりです。
362km / 8kWh = 45.25kWh
上記の電力量に、電気代の平均値である31円/kWhをかけると、以下のようになります。
45.25kWh × 31円 = 約1,402円
これが、すべて自宅充電の場合の1ヶ月あたりの充電料金です。ただし上記の数値は単純計算なので、実際には10~20%ほどのロスがある点に注意してください。
2. すべて外部充電でプラン料金の場合
外部充電の料金はプランや電力値により異なるため、以下の3つの計算方法を記載します。
ZESP3:シンプルプラン
e-Mobility Power会員:普通充電プラン
e-Mobility Power会員:急速・普通併用プラン
あくまで単純計算で、すべて同じ電力で計算した場合である点を留意してご覧ください。
ZESP3:シンプルプラン
ZESP3の「シンプルプラン」で従量課金の普通充電をする場合は、以下の料金がかかります。
- 月額料金:1,100円(税込)
- 普通充電料金:3.3円(税込)/分
リーフが362km走るのに必要な電力量は 362 / 8 = 45.25kWh です。この電力量を普通充電6kWhですべて賄う際は、以下のような計算になります。
- 6kWhあたりの充電料金:3.3円 × 60分 = 198円
- 1kWhあたりの充電料金:198円 / 6kWh = 33円
- (45.25 × 33)+ 1,100円 = 約2,593円
ZESP3は「プレミアム100」プランでも月額4,400円(税込)なので、クルマの使用頻度が通学・通勤に使うレベルであれば、従量課金プランのほうがおトクという結果になりました。
e-Mobility Power会員:普通充電プラン
e-Mobility Power会員「普通充電プラン」であれば、以下の料金がかかります。
- 月額料金:1,540円(税込)
- 普通充電料金:3.85円(税込)/分
よって、普通充電6kWで電力量を賄う場合、以下のような計算になります。
- 6kWhあたりの充電料金:3.85円 × 60分 = 231円
- 1kWhあたりの充電料金:231円 / 6kWh = 38.5円
- (45.25 × 38.5)+ 1,540円 = 約3,282円
e-Mobility Power会員の場合、ZESP3と同様の電力・充電量でも料金は高めです。
e-Mobility Power会員:急速・普通併用プラン
e-Mobility Power会員「急速・普通併用プラン」で急速充電50kWを利用する際は、以下の料金がかかります。
- 月額料金:4,180円(税込)
- 急速充電料金:27.5円(税込)/分
よって、急速充電50kWで電力量を賄う場合は、以下のとおりです。
- 50kWhあたりの充電料金:27.5円 × 60分 = 1,650円
- 1kWhあたりの充電料金:1,650円 / 50kWh = 33円
- (45.25 × 33)+ 4,180円 = 約5,673円
急速充電が使えるプランでは、普通充電プランより月額料金が高くなります。充電速度はかなり早まるため、充電時間を短く済ませたい方におすすめです。
3. すべて外部充電でビジター料金の場合
日産「ZESP3」にはビジター充電がないので「e-Mobility Power会員」の料金で比較します。
すべて普通充電6kWの場合
普通充電6kWで充電する際は8.8円(税込)/分の充電料金になります。つまり1kWあたりの充電料金は、以下の計算式のとおりです。
- 6kWhあたりの充電料金:8.8円 × 60分 = 528円(税込)
- 1kWhあたりの充電料金:528円 / 6kWh = 88円(税込)
リーフが362km走るのに必要な電力量は45.25kWhです。よって、普通充電6kWのビジター料金で充電し切るのに必要な料金は、以下のようになります。
45.25kWh × 88円 = 約3,982円
e-Mobility Power会員の「普通充電プラン」加入時の料金である約3,282円(税込)と比較すると、やはりプランに入ったほうが多少おトクです。
すべて急速充電50kWの場合
急速充電50kWの充電料金は55円(税込)/分です。よって1kWあたりの充電料金は、以下の計算になります。
- 50kWhあたりの充電料金:55円 × 60分 = 3,300円(税込)
- 1kWhあたりの充電料金:3,300円 / 50kWh = 66円(税込)
リーフが362km走るのに必要な電力量は45.25kWhなので、急速充電50kWのビジター料金で充電し切るのに必要な料金は、以下のとおりです。
45.25kWh × 66円 = 約2,986円
急速充電50kWのビジター料金に限っていえば、単純計算では普通充電より安いという結果になりました。ただし急速充電ができるスポットは、普通充電スポットより少ない点に注意が必要です。
電気自動車(EV)の電気代とガソリン車の燃料費はどちらが安い?1万kmあたりのランニングコストで比較

まず、EVとガソリン車の燃費・電費と燃料価格を、以下のように定めます。EVの充電は、すべて自宅充電を想定しました。
項目 | 数値 | 参考資料 |
---|---|---|
EVの電費 | 8km/kWh | 「日産リーフ」のカタログスペック |
電気代 | 31円/kWh | 公益社団法人「全国家庭電気製品公正取引協議」公表の目安単価 |
ガソリン車の燃費平均値 | 19.4km/L | 国土交通省「自動車燃費一覧(令和6年3月)」 |
ガソリン価格 | 180円/L | gogo.gs「都道府県平均 ガソリン価格ランキング」より(2025年4月12日時点) |
ともに1万kmの走行を仮定すると、必要なガソリンあるいは電力の量は、それぞれ以下のとおりです。
- ガソリン車:10,000 / 19.4 = 約515.46L
- EV:10,000 / 8 = 1250kWh
上記の条件で算出した、ガソリン車とEVのランニングコストは以下のようになります。
- ガソリン車:515.46 × 180 = 約92,783円
- EV:1250 × 31円 = 38,750円
ガソリン車とEVでは、ランニングコストに2.5倍近い差があります。燃料費の面では、EVを選ぶほうが圧倒的におトクです。
電気自動車(EV)の電気代を安く抑えるポイント5選

EVの電気代を安く抑えるには、以下の5つのポイントを意識するのが重要です。
1. なるべく自宅で充電する
2. エコドライブを意識する
3. 自身の走行距離や車種に適したプランを選ぶ
4. 電費の良い車を選ぶ
5. 無料で充電できるスポットを利用する
1. なるべく自宅で充電する
自宅に充電設備がある人は、なるべく自宅で充電することで、電気代を最小限に抑えられます。
自宅充電と外部充電では、充電料金に2倍近い差が出ます。たとえば、日産リーフの40kWhモデルをフル充電するのにかかる充電料金は、それぞれ以下のとおりです。
- 自宅充電:1,240~円
- 外部充電(ZESP3 シンプルプラン):約2,593円(税込)
自宅充電は充電時間が長い点がネックですが、外出しない日や就寝中の充電を心がければ、このデメリットをうまくカバーできます。
充電に行く手間も省けるので、ぜひ導入できる環境であれば、充電設備の増設を検討してください。
2. エコドライブを意識する
「エコドライブ」とは環境省が提唱する、地球温暖化抑制につながる運転技術や心がけを指します。
エコドライブとは、燃料消費量やCO2排出量を減らし、地球温暖化防止につなげる”運転技術”や”心がけ”です。
引用:エコドライブ10のすすめ
エコドライブを実行するにあたり、重要なポイントは以下の9つです。
- 自分の燃費を把握する
- 余裕を持ったアクセル・ブレーキを心がける
- 車間距離にゆとりを持つ
- エアコンの温度を上げ(下げ)すぎない
- 無駄なアイドリングを控える
- 渋滞を避ける
- タイヤの空気圧チェックを習慣づける
- なるべく積載物を軽くする
- 迷惑駐車をしない
エコドライブは環境負荷が小さいだけでなく、EVの無駄な消費電力をカットできるため、電費改善につながります。
とくにEVは車体コントロールがガソリン車より容易なので、エコドライブの実施がしやすくなっています。機動性が向上したEVを有効活用するうえでは、エコドライブは欠かせない要素です。
3. 自身の走行距離や車種に適したプランを選ぶ
EVの充電スポットは全国に点在しており、使える充電カードも無数に存在します。自分の走行距離や車種に適した充電カード・プランを選択すれば、外部充電のコスパが格段に上がります。
生活スタイルに合わせたカードやプランとは、具体的には以下のような感じです。
- 通勤利用などで走行距離が長い人:外部充電機会が多いため定額のプランを選択
- 買い物などの普段使いのみの人:自宅充電メインで外部充電は従量課金制のプランを選択
各種充電カードによりプランや料金はさまざまで、走行距離ごとに適したものは異なるため、しっかり比較検討しましょう。
4. 電費の良い車を選ぶ
電費とは、1kWあたりの走行距離のこと。電気代を抑えるには、電費を考慮した車選びも重要な要素です。
代表的なEVと、そのカタログスペック上の電費を掲載するので、参考にしてください。
車種 | 電費(WLTCモード) |
---|---|
日産 リーフ Gグレード | 8km/kWh |
日産 サクラ Gグレード | 9km/kWh |
三菱 eKクロス EV | 9km/kWh |
トヨタ bZ4X Gグレード(FWD) | 約7.94km/kWh |
レクサス RZ 300e | 約8.39km/kWh |
電費の数値が高いほど、1回の充電で走れる距離が長くなります。より電気代を安くしたい方は、電費の良い車種を選びましょう。
5. 無料で充電できるスポットを利用する
有料駐車場や公共施設、商業施設などには、無料で充電できるスポットがあります。なかには急速充電に対応している場所もあるため、有効活用すべきです。
無料充電スポットは「GoGoEV」のEV充電マップで、絞り込み条件「充電無料」にチェックを入れて検索すると見つかります。

ただし、無料で使える充電スポットは数が少なく、1箇所あたりのスタンドの本数も少ないので注意してください。あくまで「空いてたらラッキー」ぐらいの気持ちで使いましょう。
電気自動車(EV)の電気代に関するよくある質問と回答

ここからは、EVの電気代に関するよくある質問とその回答を、以下の4つ紹介します。
1. 電気自動車の無料充電スポットはなぜある?
2. 電気自動車の自宅充電設備の設置費用の目安は?
3. 電気自動車の満充電にかかる時間の目安は?
4. 電気自動車の充電スポットはどこにある?
細かい疑問点があれば、ぜひ参考にしてください。
1. 電気自動車の無料充電スポットはなぜある?
市役所などの公共施設やディーラー、商業施設には、無料のEV充電スポットがあります。わざわざ無料の充電スポットを置く理由は、施設によりさまざまです。
- 公共施設の場合:電気自動車の普及やGX化推進のため
- ディーラーの場合:電気自動車の普及による売上拡大のため
- 商業施設の場合:無料充電が目的の顧客取り込み・利益拡大のため
それぞれ明確な目的のもとに設置されており、利用しない手はありません。外出先で利用機会があれば、遠慮なく使いましょう。
2. 電気自動車の自宅充電設備の設置費用の目安は?
EV自宅充電設備の設置費用は、工事費用と本体費用の合計で決まります。
充電設備には多くのタイプが存在し、本体費用+工事費用の目安は、それぞれ以下のとおりです。
- 壁付けコンセントタイプ:4~12万円程度
- 壁付けタイプ:20万円程度
- スタンドタイプ:20万円程度
- V2H機器タイプ:50万円以上
古い住宅だと電圧が足りないことがあるため、工事費用が多少変動します。
自宅充電設備の有無は日々のランニングコストに大きく影響するので、EVオーナーになる際は設置を考えたほうがよいでしょう。
3. 電気自動車の満充電にかかる時間の目安は?
EVの満充電までにかかる時間は、バッテリー容量により異なります。ここでは日産リーフの40kWhモデルで説明します。
計算式は「(バッテリー容量)/(出力)=(充電時間)」です。普通充電と急速充電の充電速度の目安は、それぞれ以下のとおりです。
- 普通充電3kW:40kWh / 3kW = 13.3333 ≒ 約13時間20分
- 急速充電50kW:40kWh / 50kW = 0.8 ≒ 約48分
急速充電は充電料金が高くなりやすい分、充電時間が大幅に短縮されます。急ぎの充電が必要な際は、急速充電スポットを探して利用しましょう。
4. 電気自動車の充電スポットはどこにある?
EVの充電スポットは、主に以下のような場所に分布しています。
- 高速道路のSAやPA
- 道の駅
- ガソリンスタンド
- 商業施設
- 宿泊施設(ホテルなど)
- カーディーラー
- 急速充電スタンド
- 公園 など
「GoGoEV」をはじめとした充電マップサイトで確認できるので、旅行や出張の際は必ず確認しておいてください。
【まとめ】電気自動車(EV)の電気代はガソリン車よりもランニングコストが安い!

EVは、多くの場合ガソリン車よりもランニングコストが安くなります。
車両価格の高さや自宅充電設備の設置など、いくつか購入のための障壁はありますが、乗り越えられれば多くの人にとって最適な選択肢となり得ます。
電気代を安く抑えるには、以下に挙げるようないくつかのコツを把握し、実行することが重要です。
- 自宅で充電する
- エコドライブを徹底する
- 自分の走行距離や車種に適したプランを選ぶ
- 電費の良い車を選ぶ
- 無料充電スポットを活用する
この記事の内容を熟知すれば、さらなるランニングコスト改善が見込めるでしょう。現在EVオーナーの方は、ぜひ自分の充電環境を今一度見直してみてください。
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