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中国の自動運転の現状は?実証実験や実例、事故など気になるポイントを解説

更新日: 2025/7/30投稿日: 2025/7/30

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中国の自動運転の現状は?実証実験や実例、事故など気になるポイントを解説

「中国の自動運転って、今どこまで進んでいるの?」
「事故のリスクは?本当に安全なの?」

近年、中国では自動運転の実証実験や実用化が急速に進んでおり、北京や上海などの都市では無人タクシー(ロボタクシー)が実際に走行しています。

一方で、技術の発展と同時に事故の報告もあり、安全性への懸念も根強いのが現状です。

この記事では、中国の自動運転技術の最新動向をはじめ、注目されている実証実験の内容や実際の事例、さらに事故や課題についても詳しく解説します。

中国の自動運転の「今」が気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

自動運転に関わる主な中国企業

自動運転に関わる主な中国企業は、以下の3つです。

  1. Baidu
  2. AutoX
  3. Pony.ai

それぞれどのような企業なのか見ていきましょう。

Baidu

引用:Baidu

中国の検索エンジン最大手Baiduが独自に開発したオープンプラットフォーム「Apollo」は、自動運転開発の基盤として、多くの自動車メーカーやテクノロジー企業と連携しています。

中でも、自動運転タクシー「Apollo Go(蘿蔔快跑)」は、すでにドライバー不在の完全無人運行を実現し、2025年5月時点で累計1,100万回以上の乗車実績を有しています。

稼働車両は1,000台を超え、安全性と信頼性を兼ね備えた「Apollo ADFM」という自社AIモデルも搭載されており、高度な運行を実現。

さらに、Baiduは香港やドバイへの進出、Uberとの連携など、グローバル展開にも積極的です。

AutoX

引用:AutoX

AutoXは2016年にシリコンバレーで設立され、「誰でも享受できる自動運転」というビジョンを掲げています。

米国ではWaymoに次ぐ早さで完全無人運転の旅客輸送許可を取得し、その技術力は国際的にも高く評価されています。

中国国内では深センや上海といった都市を中心に自動運転実証を進めており、グローバルでは13都市での展開実績もあるほどです。

2022年にはロボタクシーのフリートが1,000台を突破し、急成長を遂げました。

特に第5世代の自動運転システム「Gen5」は、NVIDIAの高性能GPUを搭載し、乗用車だけでなく商用車にも対応可能な柔軟なAIプラットフォームとして、業界内で注目を集めています。

Pony.ai

引用:Pony.ai

Pony.aiは、トヨタや広汽集団など国内外の大手自動車メーカーと提携するなど、世界的に注目される自動運転技術企業です。

安全性と効率性を重視したインテリジェントな輸送システムの構築を目指しており、2025年4月時点での累計公道走行距離は3,200万キロメートルを超えています。

トヨタと共同開発した量産型ロボタクシーの発表や、BAIC傘下ARCFOXブランドのEVを活用したモデルの開発など、実用化に向けた取り組みも進めているのがポイント。

また、コスト効率を大幅に高めた第7世代の自動運転システムを開発し、量産と公道試験が同時進行しており、実用段階へと一歩ずつ近づいています。

中国の自動運転の現状

中国の自動運転の現状について、以下の観点で見ていきましょう。

  1. 使われている実例
  2. 実証実験
  3. 自動運転に関する規制
  4. 自動運転に関する事故

それぞれどのような現状なのか、詳しく解説します。

使われている実例

中国では、自動運転技術の実用化が急速に進んでいます。

代表例として、Baiduが提供する自動運転タクシー「Apollo Go」が、北京や武漢などの都市で商用運行されており、多くの市民に日常的に利用されています。

さらに、自動運転バスや物流用途の無人車両、都市間輸送トラックといった多様なモビリティにも自動運転技術が導入されつつあります。

最近では、世界で初めて担当者を介さずに利用できる完全自動のレンタカーサービスも始まりました。

政府も2025年までに自動運転車の販売比率を50%に引き上げるという明確な目標を掲げており、交通インフラの新たな柱として社会実装が加速しています。

実証実験

中国では、多くの企業が自動運転技術の実証実験に取り組んでおり、30社以上が関与しているとされています。

特に注目されているのは、レベル4と呼ばれる特定条件下での完全自動運転の実現を目指す開発です。

たとえば、Pony.aiは北京や上海でロボタクシーの実証運行を行っており、ユーザーからのフィードバックを反映しながら技術を磨いています。

さらに北京市では、「車・道路・クラウド」の三位一体で管理する実証エリアが600平方キロメートルに拡張され、都市全体での技術検証が可能になっています。

国家レベルでもテスト拠点の整備が進んでおり、大規模運用を見据えた基盤構築が加速中です。

自動運転に関する規制

自動運転の普及に伴い、中国政府は安全性と信頼性を高めるための規制整備も進めています。

2025年4月からは、自動運転関連の広告に「自動運転」や「スマートドライビング」といった表現を使うことが禁止されました。

これは、Xiaomi製EVによる死亡事故などを背景に、誇大広告による誤解を防ぐための措置です。

また、ソフトウェアのアップデートによって新機能を追加する際にも、事前の政府承認が義務化されました。

さらに、北京市では全国初となる自動運転車専用の地方条例が施行され、法的な枠組みのもとでの運用が始まっています。

自動運転に関する事故

自動運転技術の進展に伴い、中国でも関連する事故が発生しています。

2025年3月には、Xiaomi製EVが運転支援機能を使用中に高速道路で衝突し、3名が死亡する重大事故が起きました。

この事件は、自動運転技術の限界と安全性への懸念を浮き彫りにしました。

また、同年5月にはPony.aiのロボタクシーが火災を起こし、2024年にもBaidu車両による衝突事故が報告されています。

こうした事例により、中国国内では技術の透明性と説明責任が課題として浮上しており、今後は情報開示のあり方や第三者機関による評価体制の強化が求められています。

安全性と信頼性の両立が、自動運転の社会受容には欠かせないテーマとなっています。

中国の自動運転に関する2025年最新ニュース3選

中国の自動運転に関する2025年最新ニュース3選として、以下をピックアップしました。

  • 中国の自動運転車レンタルサービスが「無人でサービス完結」を実現
  • 中国BaiduとUberが数千台の自動運転タクシーを世界に展開
  • 広州市の自動運転バスが初めて市中心部の幹線道路で走行

どのような内容なのか、詳しく解説します。

中国の自動運転車レンタルサービスが「無人でサービス完結」を実現

2025年、中国では世界初となる完全無人の自動運転レンタカーサービスが始動しました。

この革新的なサービスは、検索エンジン大手Baiduの自動運転技術「Apollo」と、中国最大手のレンタカー企業CAR Inc.の戦略的提携によって実現されたものです。

2025年5月に両社が正式に業務提携を発表し、その後短期間で実装に至りました。

18歳以上であれば、スマートフォンからの予約・乗車・返却まで、すべて無人で完結する仕組みとなっており、人との接触を最小限に抑えた利便性の高い体験が可能です。

都市部を中心に実証が進んでおり、今後の普及に大きな注目が集まっています。

中国BaiduとUberが数千台の自動運転タクシーを世界に展開

Baiduは2025年、米配車大手Uberとの複数年にわたる戦略提携を発表し、自動運転タクシーの大規模な国際展開に乗り出しました。

両社はまずアジアと中東地域でのサービス開始を予定しており、Baiduの「Apollo Go」はすでに中国国内15都市で1,000台以上を稼働、累計乗車回数は1,100万回を超えています。

特にUAEでは試験運行や法整備との連動が進んでおり、Baiduにとってはグローバル展開の重要な足がかりとなっています。

Uberの配車網とBaiduの自動運転技術を組み合わせることで、交通サービスの効率化と持続可能性が大きく前進すると期待されています。

広州市の自動運転バスが初めて市中心部の幹線道路で走行

中国・広州市では、越秀区を走る自動運転バス「羊城インテリジェントバス」の試験運行が始まりました。

これは市中心部の幹線道路を走行する初の事例であり、約13.6kmのルートを約55分かけて巡回する観光路線として注目を集めています。

試験運行は毎日19時から21時の時間帯に実施され、安全監視員が1名同乗するものの、車両は自動で走行。

乗車定員は6人で、スマートフォン決済に対応しており、利便性も高く設計されています。

市内ではすでにレベル4の自動運転バスが50両導入され、累計116万人が利用するなど、自動運転の都市実装が急速に進んでいます。

交通と観光を融合させたこのモデルは、今後の都市開発の指標ともなるでしょう。

中国の自動運転に関するよくある質問

中国の自動運転に関するよくある質問として、以下が挙げられます。

  • 中国の自動運転のレベルは?
  • 自動運転が最も進んでいる国は中国なの?
  • 日本でも完全な自動運転は実現しているの?

多くの人が気になりやすい部分について見ていきましょう。

中国の自動運転のレベルは?

中国では、自動運転の実用化が世界でも先行しており、特定の条件下でシステムがすべての運転操作を担う「レベル4」の運行がすでに始まっています。

BaiduやPony.aiといった主要企業は、北京や広州をはじめとする10以上の都市で、自動運転タクシーやバスを営業運転しています。

また、市販車においても「レベル2+」と呼ばれる高度な運転支援技術の開発が加速しており、日常的な利用に向けた取り組みも進んでいます。

さらに、北京市では「車・道路・クラウド」を統合した世界初の高機能自動運転モデルエリアが整備されるなど、インフラ面でも強力な支援が行われている点が特徴です。

自動運転が最も進んでいる国は中国なの?

自動運転技術においては、中国とアメリカが世界をリードする2大勢力とされています。

アメリカではWaymoを中心に、一部の都市で自動運転のサービス展開が進められています。中国は政府の後押しもあり、より多くの都市で大規模かつ迅速な導入が行われているのが現状です。

BaiduやAutoXなどの企業は、自国内の主要都市に加え、中東や欧州への展開も進めており、そのスピードと規模では世界でも際立っています。

また、中国はAI技術を駆使し、複雑な交通環境にも対応できるアルゴリズム開発に注力しており、技術面でも世界の最前線に立っているといえるでしょう。

日本でも完全な自動運転は実現しているの?

日本では、自動運転の最高レベルである「レベル5」はまだ実現していませんが、一部では先進的な取り組みが始まっています。

2023年には福井県において、限られたエリア内で自動運転移動サービスを行う「レベル4」の運用が国内で初めて実施されました。

また、市販車ではホンダや日産が、高速道路など特定条件下で運転を代行する「レベル3」対応車を販売しています。

ただし、国内では安全性への懸念や法制度の整備状況から、導入は慎重に進められており、現状では実証実験が中心です。

アメリカや中国と比較すると、スピードよりも信頼性や社会受容性を重視したアプローチが取られています。

【まとめ】自動運転の最前線に立つ中国の動向は今後も要チェック

中国の自動運転は他国よりも大きく進んでおり、既に自動運転のタクシーが運用されているほどです。

競争も激しく、発展のスピードも速いので今後の動向が見逃せません。

自動運転について気になっている方は、日本だけではなく中国の動向も追いましょう。

今後も当メディアでは、車や自動運転のニュースを取り上げていく予定なので、ぜひ定期的にチェックしてみてください。

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