【2025年版】国や企業のカーボンニュートラルへの取り組み総まとめ|家庭でできる方法も紹介
更新日: 2026/1/5投稿日: 2025/12/23
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「カーボンニュートラルという言葉をよく聞くけれど、具体的に何をすればいいの?」
「国や企業は、実際にどんな対策をしているの?」
2050年の脱炭素社会実現に向け、世界中でカーボンニュートラル達成に向けた取り組みが加速しています。2025年12月現在においても、各国の政策見直しや技術革新により、私たちの生活にも少しずつ変化が現れ始めています。
しかし用語が難しく内容も専門的なので、いまいち自分たちにどう関係するのかイメージしづらいのが現状です。
そこでこの記事では、カーボンニュートラルの基礎知識から世界や日本の最新の取り組み、家庭ですぐに実践できる具体的な方法までを総まとめで解説します。
記事を読めば国や企業の動向だけでなく、私たちがカーボンニュートラルに協力するための具体的な方法が分かります。ぜひ最後までご覧ください。
【基礎知識】カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルとは温室効果ガスの「排出量」と、森林などによる「吸収・除去量」を均衡させ、実質的な排出量をゼロにすることを目指す概念です。対象となる温室効果ガスにはさまざまな種類がありますが、特に取り上げられるのは、排気ガスの多くを占める二酸化炭素(CO2)になります。
重要なのは「排出を完全にゼロにするわけではない」という点です。経済活動や日常生活でどうしても排出されてしまう分については、植林による吸収や新技術による除去で相殺するという考え方に基づいています。
| 方法 | 具体例 |
|---|---|
| 排出削減 | ・電気自動車やヒートポンプ給湯器など、電化の促進 ・太陽光や風力のような再生可能エネルギーへの転換 ・LED照明などエネルギー効率の高いものへの転換 |
| 吸収・除去 | ・植林など森林による吸収 ・海藻など海洋生態系による吸収 ・地中深くなどにCO2を閉じ込めて除去 |
この「排出量」から「吸収・除去量」を差し引いてプラスマイナスゼロにした状態が、カーボンニュートラルというわけです。
カーボンニュートラルが重要視される3つの理由
カーボンニュートラルが世界中で重視されている理由は、主に以下の3つです。
- 気候変動・地球温暖化の深刻化
- 国際的な枠組みの制定
- 経済面・金銭面での課題
まず、気候変動・地球温暖化の深刻化が挙げられます。地球の平均気温は産業革命前からすでに1℃以上上昇しており、このままでは豪雨や干ばつなどの異常気象がさらに激甚化すると予測されています。
これを食い止めるためには、2050年前後に世界のCO2排出量を実質ゼロにする必要があるとされています。
次に、国際的な枠組み「パリ協定」の合意です。世界の平均気温上昇を℃に抑える努力目標が掲げられ、各国がカーボンニュートラルに向けた取り組みを表明・実行することが国際的な責務となりました。
そして最後は、経済・金融面での課題です。現在では、環境への取り組みを評価して投資先を決める「ESG投資」が拡大し、脱炭素に消極的な企業は資金調達が難しくなっています。
また、CO2排出量の多い製品に事実上の関税を課す炭素税がEUで本格化するなど、ビジネスにおいても脱炭素は避けて通れない課題となりつつあります。
日本は2050年までにカーボンニュートラル実現を宣言
2020年10月、日本政府も「2050年までにカーボンニュートラル・脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。これは従来の目標から大きく踏み込んだもので、国際社会に対して日本の明確な意志を示したものです。
さらに中間目標として、「2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減する」という高いハードルを設定し、実現に向けた政策を次々と打ち出しています。
【国別】世界のカーボンニュートラルに対する取り組み一覧

以下の国別に、カーボンニュートラルに対する取り組みを解説します。
- アメリカ
- カナダ
- EU(欧州連合)
- イギリス
- インド
- ドイツ
アメリカ:インフレ削減法による大規模なクリーンエネルギー投資

アメリカのカーボンニュートラル政策の核となっていたのが、2022年に成立した「インフレ削減法(IRA)」です。これは気候変動対策やクリーンエネルギー分野に対し、10年間で約50兆円以上という巨額の予算を投じるものでした。
アメリカの具体的な支援策
- EV購入支援:新車購入時に最大7,500ドルの税額控除
- クリーンエネルギー発電支援:太陽光、風力、地熱などの発電所建設に対し、補助金適用
- 家庭向け支援:家庭の省エネ化・電化に対する税額控除や補助金
しかし、2024年の大統領選を経てトランプ政権に移行したことで、状況は変化しました。前政権が推進したIRAは大幅に見直しが進められ、再生可能エネルギー開発への補助金削減など、一部政策は撤回されています。
これにより、当初掲げていた2050年目標との乖離が懸念されているのが現状です。
カナダ:炭素税導入も事実上の撤廃

カナダは「2030年排出削減計画」を掲げ、2005年比で40%削減を目指しています。その対策の中核だったのが、全国一律の炭素税でした。
しかし、物価高騰に苦しむ国民からの強い反発を受け、方針転換を余儀なくされました。2025年3月の政令により、4月からの炭素税は事実上撤廃状態になっています。
一方で、国民への還付金制度は継続されるなど、制度運用は複雑化しており、環境政策と経済負担のバランスに揺れているのが現状です。
EU(欧州連合):2050年目標を法制化した「欧州グリーンディール」

EUは「欧州グリーンディール」を成長戦略に据え、2050年の気候中立を法的な義務として定めています。2030年の中間目標を「55%削減」に引き上げる政策パッケージ「Fit for 55」を推進してきました。
Fit for 55の主な内容
- EU-ETS(排出量取引制度)の強化: 排出枠の削減ペースを加速させ、対象を海運分野にも拡大。航空分野の無償排出枠も段階的に廃止
- 炭素国境調整措置(CBAM): EU外からの輸入品に対し、炭素税を導入
- 自動車CO2規制の強化: 2035年までに乗用車・小型商用車の新車販売を電動車のみに一本化
ただし、これらに対しても産業界からの反発が強く、2025年に方針の微修正が行われました。2月には産業競争力強化を最優先する「クリーン産業ディール」を発表し、EU内産業への補助金や許認可の効率化を進めています。
また2025年3月には、自動車のCO2規制目標の一部緩和も決定されました。
イギリス:意欲的な中期削減目標(NDC)

イギリスは、世界で初めて2050年カーボンニュートラル達成を法制化した国です。「炭素予算」制度を導入し、5年ごとの排出上限を法的に定めることで、着実な削減を目指しています。
2025年現在は2033~2037年の炭素予算が設定されており、1990年比で78%削減という、高い目標を掲げています。
具体的に進めている施策は、以下のとおりです。
- ZEV(ゼロエミッション車)義務化: 2035年までに乗用車・バンの新車販売をすべて電動車に
- 電力システムの脱炭素化: 2035年までに電力システムを100%脱炭素化する目標設定
- 洋上風力発電の拡大: 洋上風力発電をエネルギー戦略の中核と位置づけ、導入を強力に推進
- UK-ETS(排出量取引制度): 英国独自の排出量取引制度を導入・運用
2024年の政権交代後は政策がさらに加速しており、2025年6月発表の「現代産業戦略」では、クリーンエネルギーを国家成長の中核に据える姿勢を再確認しました。
インド:2070年カーボンニュートラル目標と太陽光発電の急速な拡大

インドは2022年のCOP26において、2070年までのカーボンニュートラル達成を宣言しました。その日照条件の良さを活かし、国家戦略として太陽光発電の導入を最優先で進めています。
インド国内では世界最大級のメガソーラー建設が相次いでおり、2030年までに電力需要の50%を再生可能エネルギーで賄う計画です。2025年10月には新たな削減目標を制定し、原子力発電開発への大規模な予算計上も行いました。
また、フランスと共に「国際太陽光同盟(ISA)」という、太陽光資源が豊富な国々の連携を促し、技術や資金の協力を推進する国際機関を設立しています。
ドイツ:脱原発と再エネの両立

ドイツは「エネルギー転換」政策のもと、「脱原発」と「脱炭素」の同時達成に挑んでいます。実際に、2023年4月には国内最後の原発を停止し、脱原発を完了させました。
現在は原発停止による不足分を補うため、再生可能エネルギーの導入を加速させている最中です。その発展は目覚ましいものがあり、2023年には総電力消費に占める再エネ比率が初めて50%を超えました。
最終的には、2030年までに再エネ比率を80%まで高めることを目指しています。
日本のカーボンニュートラルに対する取り組み一覧

日本国内でも、国や環境省、自治体が連携して脱炭素化を進めています。
日本政府:グリーン成長戦略の推進
日本政府は、経済と環境の好循環を生み出す「グリーン成長戦略」を推進しています。環境対策をコストではなく「成長の機会」と捉え、重要となる14の分野を選定して支援を行っています。
グリーン成長戦略の主な分野
- 洋上風力産業
- 水素・アンモニア産業
- 自動車・蓄電池産業
- 半導体・情報通信産業
- カーボンリサイクル・マテリアル産業
例えば、洋上風力では2040年までに最大4,500万kWの導入、自動車では2035年までに乗用車新車販売の電動車100%実現といった具体的な目標を掲げています。
予算や税制優遇、規制緩和を総動員することで民間投資を促し、成長の機会を伺っているわけです。
環境省:「デコ活」の推進と地域ごとの脱炭素推進
環境省は日本のカーボンニュートラル政策において、国民運動の推進や地域支援、制度設計などを担っています。特筆すべきは、2023年にスタートした「デコ活」です。
デコ活とは「DE(Decarbonization:脱炭素)」「Eco:エコ」に活動の「活」を付けた造語になります。具体的に取るべきアクションは、以下の4つです。
- 家の断熱性を上げる
- 照明など環境負荷の低いものを選ぶ
- 食品ロスを減らす
- テレワークなどで通勤によるCO2排出を減らす
また別の施策としては「脱炭素先行地域」を選定し、地方自治体での再エネ導入や省エネ改修を集中的に支援しています。この地域で成功したモデルを全国に広げることにより、脱炭素化を促進することが目的です。
自治体:1,000以上の自治体が「ゼロカーボンシティ」宣言
国の方針に賛同し、2050年までのCO2排出実質ゼロを表明する「ゼロカーボンシティ」が急増しています。2025年10月末時点で、1188の自治体が宣言を行っており、これは日本の総人口の9割以上をカバーする規模感です。
ゼロカーボンシティを表明する自治体では、例えば以下のような施策が実行されています。
- 公共施設のグリーン化: 市役所、学校、公民館などの公共施設に太陽光発電パネルや蓄電池、高効率な空調設備を導入
- 公共交通のEV化: 公用車へのEV・PHEV導入、コミュニティバスや清掃車へのEVバス・EVトラック導入
- 住民・事業者への支援: 国の補助金に加え、自治体独自の補助金を上乗せして導入を促進
また、地域の資源を活かした「新電力会社」の設立を支援し、エネルギーの地産地消に取り組む事例も増えています。
家庭でできるカーボンニュートラルへの取り組み5選

カーボンニュートラルへの取り組みは、日常生活のなかでも行えます。具体的な取り組みを、以下の5つ紹介しましょう。
- エコドライブを心がける
- 電力プランを見直す
- 「3R」の徹底
- 食品ロスを削減する
- 「デコ活」を生活に取り入れる
1. エコドライブを心がける
自動車を快適かつエコに運転する「エコドライブ」に取り組めば、CO2排出量を削減し、同時に燃費の向上も期待できます。
エコドライブの具体的な例
- アクセルを緩やかに踏む
- 車間距離を十分取り、一定の速度で運転する
- タイヤの空気圧をこまめにチェックする
- エアコンを適切に使用する
特にアクセルを緩やかにスタートする「eスタート」は、これだけで約10%の燃費改善が期待できるほど。燃料費の節約にもなるので、ぜひ今から始めましょう。
2. 電力プランを見直す
家庭からのCO2排出の約半分は、電力使用によるものです。よって、使用する電気そのものを再生可能エネルギー由来のものに変えることが、非常に大きな効果を持ちます。
現在では多くの電力会社が、太陽光や風力で作られた「再エネ100%プラン」や「実質再エネプラン」を提供しています。また、自宅に太陽光パネルや蓄電池を設置し、電気を自給自足することも有効な手段です。
大手電力会社だけでなく地域の「新電力会社」のプランも確認し、最適なものを選んでみましょう。
3. 「3R」の徹底
ゴミを減らし資源を大切にする「3R」は、重要な脱炭素活動です。
3Rとは?
- リデュース (Reduce): ゴミの発生を抑制する
- リユース (Reuse): ものを繰り返し再利用する
- リサイクル (Recycle): ゴミを資源として再生利用する
最も重要なのは、ゴミそのものを出さない「リデュース」です。マイバッグやマイボトルの利用、過剰包装の辞退、長く使える製品を選ぶことなどが挙げられます。
また、不用品を譲り合う「リユース」や正しく分別して資源に戻す「リサイクル」も徹底して行いましょう。
4. 食品ロスを削減する
食べられるのに捨ててしまう食品ロスは、生産や廃棄の過程で多くのエネルギーを無駄にします。買い物では必要な分だけ買い、すぐ使うものは手前から取る「てまえどり」を意識しましょう。
家庭では食材を使い切り、適切に保存して長持ちさせることが大切です。生ゴミを捨てる際は水分をしっかり切ることで焼却効率が上がり、CO2削減になります。
5. 「デコ活」を生活に取り入れる
環境省が推奨する「デコ活」のアクションを生活に取り入れてみましょう。住宅の断熱リフォームやZEH化は、快適性を高めながら光熱費とCO2を大幅に削減できます。
デコ活の具体的な方法
- 家の断熱性を上げる
- 照明など環境負荷の低いものを選ぶ
- 食品ロスを減らす
- テレワークなどで通勤によるCO2排出を減らす
また、移動には公共交通機関や自転車を利用する、テレワークを活用するのも良い方法です。まずはできるところから、デコ活を始めてみましょう。
【まとめ】カーボンニュートラル実現には社会全体の協力が不可欠

カーボンニュートラルの実現は、国や企業だけでなく、私たち一人ひとりの協力があって初めて達成されます。2025年現在、世界情勢の変化により政策の揺り戻しはあるものの、脱炭素という大きな流れは変わりません。
まずは家庭の電力プランの見直しやエコドライブの意識など、身近なところからアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。みんなが少しずつ意識を高めることで、カーボンニュートラル達成は着実に近づきます。
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