自動運転のレベルってなに?それぞれの車種一覧やレベル5の実現可能性について言及
更新日: 2025/7/8投稿日: 2025/5/31
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自動運転機能付き車両の購入を検討している方にとって、搭載されている自動運転機能のレベルは重要な判断材料の1つです。
レベルが高いほど、高度な自動運転機能がついています。しかし一概に「レベル2」といわれても、どの程度の運転アシストがなされるのか、よくわからないですよね。
自動運転機能付き車両はどれも相応の価格なので、購入する際は後悔しないように選びたいですよね。
そこでこの記事では、自動運転レベルの詳細や、各レベルに対応している機能について徹底解説します。記事を読めば、自動運転技術の現状と将来性が分かり、車選びがスムーズに進みます。
自動運転車の購入を検討している方や自動運転技術について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【基礎知識】自動運転の定義やレベルについて解説

まず自動運転の定義やレベルについて、以下2つの項で解説します。
- 自動運転の定義とレベル
- 日本の自動運転はどのレベルまで?
自動運転の定義とレベル
自動運転とは、車両がシステムやAIを駆使してドライバーの運転を支援、あるいはドライバーの代わりに運転する技術です。
自動運転には0から5まで6段階の「レベル」が定義されています。レベルの数字が大きいほど、人間の介入なしで運転が可能となります。
レベルを定めたのは誰?
レベルはアメリカのSAE International(自動車技術者協会)という非営利団体により、2014年に定められました。現在では、世界共通の基準として使用されています。
2025年現在、自動運転は「レベル4」まで実用化されています。もっとも、レベル4に該当するのは自動運転バスやタクシーなど公共交通機関のみであり、一般車両は該当しません。
経済産業省と国土交通省が進める「デジタル田園都市国家構想総合戦略」における取り組みの1つとして、茨城県日立市で中型バスを用いたレベル4自動運転を進めています。2025年1月24日までに各種許認可を取得し、2025年2月3日から国内初となるレベル4自動運転を開始しました。
また一般車両の最高レベルであるレベル3に該当する車両も、2025年5月末現在では以下の4車種のみ。
- ホンダ「LEGEND(レジェンド)」
- メルセデスベンツ「EQSセダン」
- メルセデスベンツ「Sクラス」
- BMW「7シリーズ」
「レベル4」以降の一般車両については実証実験段階であり、今後の製品化に注目されています。
日本の自動運転はどのレベルまで?
日本では2020年の道路交通法改正により、高速道路など一定の条件下でレベル3の公道走行が可能になりました。また2023年には公安委員会の許可制により、レベル4の公道走行も可能になっています。
国土交通省中部運輸局は、福井県永平寺町で運行する車両について、全国で初めて、道路運送車両法に基づき、運転者を必要としない自動運転車(レベル4)として認可しました。
ただし、現在においてもレベル4相当の自動運転車両は一般販売されていません。
レベル3以降の自動運転はまだ発展途上です。自動運転は技術面だけでなく、社会的・法律的にも課題が多いため、今後はいかに多くの課題を解決していくかが鍵です。
【レベル別】自動運転によって実現する技術

ここからは各自動運転レベルごとに、実現する技術について解説します。
自動運転レベル0
従来通り、ドライバーが運転のすべてを担当する場合は「レベル0」に該当します。
後方死角検知機能やABS(アンチロック・ブレーキシステム)などはレベル0の機能です。これらの機能はドライバーの運転に直接介入せず、ドライバーに警告を促すに留まるためです。
自動運転レベル1
「レベル1」は「運転支援(ADAS)」に該当し、システムがアクセル・ブレーキ操作もしくはハンドル操作のいずれか一方を制御する自動車が当てはまります。
レベル1に該当する機能には、以下のようなものがあります。
- 各種自動ブレーキ機能
- 前の車に付いて走る:ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)
- 車線中央を走るのをステアリング操作で支援:LKAS(車線維持支援システム)
- 車線変更時の死角を検知:ブラインドスポットモニター
- バックで出庫するときの衝突を回避:後方出庫サポート
- 駐車操作の一部をサポート:パーキングサポート
近年の新型車によく搭載されている「運転支援システム」と呼称される機能はレベル1です。
自動運転レベル2
「レベル2」は「特定条件下での自動運転機能」です。レベル1と異なり、システムがアクセル・ブレーキ操作とハンドル操作の両方を支援する車両がレベル2に該当します。
2025年5月末現在、レベル2は一般販売されている車両に付く運転支援機能としては、業界最高水準となっています。レベル2の主な機能は、以下のとおりです。
- 渋滞時に前方車の追従を支援するシステム
- 車間距離を維持するシステムと車線逸脱を補正するシステムが両方付いた車種:LKAS+ACC
レベル2はレベル1と比較すると、システムが担当する操作の割合は大幅に増加しています。しかし、あくまで操作の大部分はドライバーが行うため、つねにドライバーは周囲に注意を払う必要があります。
自動運転レベル3
レベル3は「条件付運転自動化」となり、限定条件下(主に高速道路)においてシステムがすべての操作を担当します。ただし、緊急時や自動運転システムが機能不全に陥った場合に備え、ドライバーはつねに運転席にいなくてはいけません。
多くの方が想像する「ハンズフリーでの自動運転」は、このレベル3からになります。レベル3に該当する車両は、2025年5月末において以下の4車種のみです。
- ホンダ「LEGEND(レジェンド)」:システム名「Honda SENSING Elite」
- メルセデスベンツ「EQSセダン」:システム名「Drive Pilot」
- メルセデスベンツ「Sクラス」:システム名「Drive Pilot」
- BMW「7シリーズ」:システム名「BMW Personal Pilot L3」
レベル3以降の機能は発展途上であり、各自動車メーカーは目下の完全自動運転実現に向け、開発競争を激化させています。
自動運転レベル4
レベル4は「特定条件下における完全自動運転」に該当し、特定の場所やルートにおいて完全自動運転を実行します。
レベル4以降は完全自動運転なので、ドライバーが不要です。2025年5月末現在の道路交通法上では、レベル4車両の乗組員はドライバーに該当しないため、車両内に運転免許を持つ人間がいなくとも問題ありません。
ただし2025年5月末現在、国内外ともに一般販売されているレベル4車両は存在しません。米Waymoの自動運転タクシーや各地の自動運転バスなど、公共交通機関での利用のみに留まります。
自動運転レベル5
レベル5は「完全自動運転」であり、完全無人での公道走行が可能な車両のみが該当します。
走行エリアの制限がない状態での自動運転でなければ、レベル5に該当しません。自動運転レベル5は現在実証実験中であり、依然として実現の兆しは見えない状態です。
日本政府は、自動運転レベル5の実証実験を横浜市で27年に開催される「国際園芸博覧会」での実施を計画する。国内の自動車メーカーやサプライヤーなど企業の参加を募り、実証実験を通して完全自動運転の社会実装の可否を探る考えだ。
自動運転レベル5が実現すれば、機能的にハンドルやアクセルが不要になります。そのため、さながら「動く家」のように使える、安全性と快適性を兼ね備えた車両となることが期待されています。
【疑問】自動運転レベル5が実現するのはいつごろ?

自動運転レベル5については、多くの企業や政府が2030年代の実現を目標に掲げてきました。しかし結論としては、レベル5実現にはまだまだ走行技術の発達が不可欠であり、少なくとも2030年代の実現は望めないとされています。
レベル5は、いかなる環境においても自動運転を実現する必要があります。たとえ自動運転車両が1度も走行したことがない道や、Googleマップに載っていない道であっても対応しなくてはいけません。
レベル5実現のハードルは非常に高く、自動運転分野で先行する米Waymoの初代CEOを務めたジョン・クラフチック氏が2018年、講演で「完璧な自動運転は実現しない」と発言したほどです。そのため自動車業界では「レベル5実現は実質不可能なのでは?」ともいわれています。
Krafcik氏によると、ドライバー不要の自動車は「確かに実現している」が、まだ広く普及する段階には至っていないという。そして同氏は、この業界が今後、どの季節でも、どんな天気でも、どのような条件下でも運転できる最高レベルの運転技術を達成することは決してないだろうと考えている。
現在、各自動車メーカーはレベル4車両の一般販売段階で困難に直面しており、まずはレベル4車両の普及が当面の最重要課題です。
【2025年】レベル2自動運転機能と車種一覧

2025年現在、一般販売されている国内車に付帯しているレベル2自動運転機能について、メーカー別に解説します。
1. 日産「ProPILOT 2.0」
2. ホンダ「Honda SENSING」
3. トヨタ「Advanced Drive」
4. SUBARU「アイサイト」「アイサイトX」
5. マツダ「i-ACTIVSENSE」
1. 日産「ProPILOT 2.0」

日産の「ProPILOT 2.0」は、高速道路での運転をより快適かつ安全に行う運転支援システムです。高速道路においてナビと連動し、出口までの車線変更や追い越しを含む運転操作を支援してくれます。
一定のハンズオフ走行も可能ですが、ドライバーはつねに前方を確認し、緊急時には即座にハンドル操作できるように、ハンドルに手を置いておかなくてはいけません。アイズオフが認められていないため、自動運転レベル2に分類されています。
しかしながら、ある意味「レベル2.5」に等しい先進技術であり、高性能な運転支援システムです。
◯車種一覧
軽自動車 | サクラ |
クロスオーバー/SUV | アリア |
EVハッチバック | リーフ |
コンパクトカー/ハッチバック | ノート ノート オーラ |
SUV | キックス エクストレイル |
ミニバン | セレナ |
ワゴン | ルークス デイズ |
2. ホンダ「Honda SENSING」

「Honda Sensing」は、ホンダが開発した先進の安全運転支援システムで、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせて車両周辺の状況を検知し、さまざまなシーンにおける運転を支援します。
Honda Sensingの主な機能は、以下のとおりです。
- 衝突軽減ブレーキ(CMBS):前方車両や歩行者との衝突の危険性を検知し、必要に応じてブレーキを自動制御
- アダプティブクルーズコントロール(ACC):設定速度での走行中に、前方車両との適切な車間距離を維持
- 車線維持支援システム(LKAS):車両が車線から外れないようにハンドル操作を支援
- 誤発進抑制機能:停車時や低速走行時に、アクセルの踏み間違いによる急発進を抑制
- 標識認識機能:道路標識をカメラで検知し、制限速度などの情報をディスプレイに表示
Honda Sensingは予防安全技術による運転支援システムとして、最高水準を誇ります。
◯車種一覧
軽自動車 | N-BOX N-WGN N-ONE N-VAN N-VAN e |
コンパクトカー | フィット |
ミニバン | フリード ステップワゴン オデッセイ |
SUV | ヴェゼル CR-V e WR-V ZR-V |
セダン | アコード |
スポーツカー | シビック シビック タイプR |
3. トヨタ「Advanced Drive」

「Advanced Drive(渋滞時支援)」は、高速道路や自動車専用道路での渋滞時のドライビングをサポートする、トヨタのレベル2自動運転技術です。低速走行時に一定の条件を満たすとシステムが作動し、渋滞時の再発進をドライバーの操作なしで実行可能です。
また使用中にドライバー異常を検知した場合、音と表示と緩減速による警告でドライバーに操作を促します。車外に異常を知らせつつ停車し、事故防止に努めます。
周囲のみならず、ドライバーの安全を守ることにも寄与する、最先端の渋滞支援システムです。
◯車種一覧
ミニバン | アルファード ヴェルファイア ヴォクシー ノア |
SUV | ランドクルーザー”250″ |
クロスオーバー/セダン/スポーツカー/エステート | クラウン |
セダン | MIRAI センチュリー |
4. SUBARU「アイサイト」「アイサイトX」

SUBARUの「アイサイト」と「アイサイトX」は、ステレオカメラを活用した先進運転支援システムです。カメラを活用し、さまざまなシーンにおける安全運転が可能です。
アイサイトとアイサイトXの主な機能は、以下のとおりです。
- プリクラッシュブレーキ:前方車両や歩行者との衝突の危険性を検知し、警報を発するとともに、必要に応じて自動的にブレーキを作動
- 全車速追従機能付きクルーズコントロール:設定速度と車間距離を維持し、渋滞時の再発進をサポート
- 車線逸脱警報:車線からの逸脱を検知し、ドライバーに警告
- 誤発進抑制制御:停車時に前方に障害物がある場合、アクセルの踏み間違いを防止
- ドライバー異常時対応:ドライバーのハンドル操作が困難になった際に、停車を支援
最新バージョン「アイサイトX」ではこれらの機能に加えて、高速道路でのハンズオフ走行支援や渋滞時の高度な運転支援など、より高度な運転支援機能が搭載されています。
また、現在はバージョンアップした「新世代アイサイト」として、3つのカメラ(ステレオカメラ+広角単眼カメラ)を搭載したモデルも登場しています。
◯車種一覧
アイサイト | レイバック インプレッサ レガシィ アウトバック クロストレック レヴォーグ フォレスター WRX S4 SUBARU BRZ |
アイサイトX | レイバック レガシィ アウトバック レヴォーグ WRX S4 |
5. マツダ「i-ACTIVSENSE」

マツダの「i-ACTIVSENSE」は危険な状況に陥ってから対処するのではなく、危険自体を回避するという安全思想のもと、開発された運転支援システムです。
あらゆるシーンにおいてドライバーを徹底サポートすることで、事故のリスクを最小限に抑えることを目的としています。
i-ACTIVSENSEの主な機能は、以下のとおりです。
- アドバンストSCBS:前方車両や歩行者との衝突の危険性を検知し、警報を発するとともに、必要に応じて自動的にブレーキを作動
- スマート・ブレーキ・サポート(SBS):高速走行時に前方車両との衝突危険性を検知
- AT誤発進抑制制御:アクセルの踏み間違いによる急発進や急後退を抑制
- スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS R):後退時に車両や障害物を検知し、自動的にブレーキを作動
- アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH):夜間走行時に光量を自動調整
- ブラインド・スポット・モニタリング(BSM):車線変更時に後方から接近する車両を検知して、ドライバーに注意喚起
- レーンキープ・アシスト・システム(LAS):車線を感知して逸脱を防止
- マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC):前方車両との適切な車間距離を維持
i-ACTIVSENSEは安全運転に必要な機能がすべて詰め込まれた、最新鋭の運転支援システムといえます。
◯車種一覧
コンパクトカー | MAZDA2 |
SUV | CX-3 CX-30 CX-5 CX-60 CX-80 MX-30 MX-30 EV MODEL MX-30 ROTARY-EV |
セダン | MAZDA3 MAZDA6 |
スポーツカー | MAZDA3 ROADSTER MAZDA ROADSTER RF |
【2025年】レベル3自動運転機能と車種一覧

現在、一般販売されている車両に付帯したレベル3自動運転機能は、以下の3種類です。
1. ホンダ「Honda SENSING Elite」
2. メルセデス「Drive Pilot」
3. BMW「BMW Personal Pilot L3」
1. ホンダ「Honda SENSING Elite」

「Honda SENSING Elite」はホンダの最新AI技術を活用したシステムで、レベル3に該当する機能は「トラフィックジャムパイロット」と呼ばれています。
高速道路で渋滞に遭遇すると、アクセル・ブレーキとハンドル操作を自動操作します。動作中はハンズオフ運転が可能なので、DVDやスマホを観ていても、道路交通法上は問題ありません。
ただし、システムから要請があれば、ドライバーが操作を代わる必要があります。
2. メルセデス「Drive Pilot」

「Drive Pilot」は、メルセデス・ベンツ「Sシリーズ」と「EQSセダン」に搭載されている機能です。
オプション機能としてサブスク制で利用可能で、年間利用料は年間2,500ドル(約38万円)となっています。現在ではアメリカのカリフォルニア州とネバダ州でのみ利用可能です。
また、2025年初頭に販売開始した最新バージョンでは、高速道路で最大95km/hまでの速度で前方車両に追従できるようになりました。
3. BMW「BMW Personal Pilot L3」

「BMW Personal Pilot L3」はBMWの自動運転機能で、ドイツ国内限定のオプション機能として年間6,000ユーロ(約98万円)で提供されています。
BMW Personal Pilot L3では、高速道路上で60km/hまでの速度で、ハンズオフおよびアイズオフ走行が可能です。従来のカメラ技術に加えて、最新世代の超音波センサーやレーダーセンサー、高感度3D LiDARを装備し、車両周辺や道路状況のモニタリングをつねに行います。
ドライバー自身での運転が必要になった際は、ディスプレイやハンドルのライト点灯と警告音で知らせます。この状態でもドライバーの応答がない場合は車両が自動停止するため、安全設計も十分です。
【まとめ】完全自動運転の実現は今後の技術向上次第

自動運転技術は着実に進歩しており、現在はレベル3まで実用化されています。しかし、完全自動運転であるレベル5の実現には、まだ多くの技術的・社会的課題が残されているのが現状です。
レベル2の運転支援システムは多くの車種に搭載され、日常の運転をより安全で快適にしています。レベル3については限られた車種のみですが、技術は着々と進歩しているため、今後の展開が待ち望まれます。
自動運転技術の発達は、ドライバーと歩行者の双方の交通安全を守る礎となります。悲惨な交通事故をなくすためにも、今後の技術向上に期待しましょう。
参考記事:自動運転バスの実証実験を一覧でご紹介!自動運転レベルや技術の解説も!
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