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世界初の「自動運転システムの遠隔サポート」に関する国際規格が日本主導で発行

更新日: 2025/6/16投稿日: 2025/6/16

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世界初の「自動運転システムの遠隔サポート」に関する国際規格が日本主導で発行

低速自動車(時速32km以下)の自動運転について、遠隔のセンターから遠隔サポートを行う以下の3つのシステムに対する世界で初めての国際規格が、日本主導のもとISO(国際標準化機構)から発行されました。

  • 遠隔監視(remote monitoring)
  • 遠隔アシスト(remote assistance)
  • 遠隔運転(remote driving)

今回発行された国際規格 ISO 7856では、世界で初めて、上記3つの自動運転遠隔サポートシステムを定義しました。

この記事では、今回発行された国際規格ISO 7856の詳細を紹介します。

ISO 7856の概要

引用:経済産業省

ISO 7856は、「低速自動走行システムの遠隔サポート」に関する国際規格です。

「低速自動走行システム」とは、時速32km以下の速度で決められた経路を無人で走行する、安全で省エネルギーな移動手段のことです。
複数の車両を少人数で遠隔支援によって運用することで、費用を抑えた自動運転サービスを提供できます。

ISO 7856が定めている要件は、おもに以下の項目です。

ISO 7856の内容

  • 安全な遠隔支援の実現に必要となる車載カメラの検知範囲等、車両側の要件
  • 車両とコントロールセンター間の通信内容と通信品質に関する要件
  • これらの要求事項が満足できていることを確認するための試験法

「低速自動走行システムの遠隔サポート」では、オペレーターが配置されたコントロールセンターから、通信によって車両を監視します。

監視によって、例えば以下のような内容を実施します。

  • 停留所での停止時や、発進時における周囲の人又は車両についての情報提供
  • 強い雨や霧によって安全な自動走行が継続できない場合の安全な場所への退避や停止等の遠隔運転操作

ISO 7856は、「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」等の成果に基づき、2025年6月3日に、国際規格として発行されました。

ISO 7856発行の背景

高齢化・過疎化が進行している日本では、公共交通の維持が難しい地域における移動手段の確保や、ドライバー不足の解消が大きな課題となっています。

将来的には、運転手不在でも動作可能な「自動運転レベル4」の車両の導入が必要不可欠となっているのが現状です。

【自動運転のレベル分類】

レベル内容
0完全な人力での運転
1システムが縦方向(加速・減速) もしくは横方向(ハンドル操作)のいずれか一方を制御する「運転支援」
2システムが縦方向と横方向の両方を、限定された状況で実行する「部分運転自動化」
3システムが特定の条件下ですべての運転を実行し、運転手が運転以外のことをできる「条件付き運転自動化」
4システムが特定の条件下ですべての運転を実行し、運転手不在でも動作可能な「高度運転自動化」
5あらゆる条件下でシステムが自動運転する「完全運転自動化」

運転手不在の車両を運用するには、遠隔監視システムの導入が欠かせません。

車両の周辺状況を正確に把握する、遅延なく情報提供や操作ができるなど、高い品質の遠隔システムを提供できるようにするために、ISO 7856が発行されました。

ISO 7856により、自動運転レベル4の車両を使った交通システムの社会実装が促進され、人々が自由に移動できる持続可能な社会の実現が期待されています。

参考:
世界初の「自動運転システムの遠隔サポート(遠隔監視、遠隔アシスト、遠隔運転)」に関する国際規格(ISO7856)が日本主導で刊行 – PR Times
日本発の「低速自動走行システムの遠隔支援」に関する国際規格が発行されました – 経済産業省

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