フェリス女学院大学文化表現学科 中西宣人准教授とスズキ株式会社が連携。レベル4自動運転車の動作や状態をドライバーや歩行者に伝えるサウンドデザインの共同研究を実施
更新日: 2025/6/5投稿日: 2025/5/25
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フェリス女学院大学文化表現学科 音楽・身体表現専攻 中西宣人准教授とスズキ株式会社(横浜研究所)は、レベル4自動運転車の動作や状態を、歩行者など周囲の人々に伝える新たな車外報知音のデザインに共同で取り組みました。
この記事では、研究の内容や開発された車外報知音の使用先などを紹介します。
サウンドデザインの共同研究の背景や内容

レベル4の自動運転車は運転手が乗車しないため、車両自体が「停止します」「曲がります」といった動作を、自ら周囲に伝える必要があります。
このようなコミュニケーションには、ディスプレイを用いた視覚的な情報や、音声による情報が提案され、研究が進んでいます。
特に、視覚障がい者や視界が悪い環境でも情報が届くように、音声によるコミュニケーションは欠かせません。
そのため研究チームでは、安全性や親しみやすさ、先進性と明瞭さなど複数の観点から音を設計しました。例えば、走行開始・停止やドア開閉、停留所での停車・発車、緊急停止など、場面ごとに報知音を作り分け、安全かつ明瞭に状況を伝達できるよう工夫しています。
開発された音が有効かどうかを検証するために、VR(仮想現実)ヘッドセットを用いた報知音の評価実験を実施しています。
様々な年齢層・性別の被験者に、自動運転車と出会う場面をVR映像で体験してもらい、それぞれの音について、以下の軸で評価を受けました。
- 安心・危険の印象
- 明瞭さ
- 心地よさ など
幅広い年代層に聞き取りやすい音を目指し、試作音源の作成と評価を繰り返して調整を実施。このように産学連携の研究を通じて、自動運転車と人々をつなぐ先進的なサウンドデザインが具体化されました。
開発されたサウンドは自動運転実証実験で使用

共同研究で開発された報知音は、浜松市で実施された自動運転サービスの実証実験で実際に使用されました。
この実証実験は「浜松自動運転やらまいかプロジェクト」の第5回目にあたります。
路線バス廃止で生じた、公共交通が途絶えた地域での住民の移動手段を確保する取り組みとして行われたものです。
スズキ株式会社は2017年からこのプロジェクトに継続参加しており、各回で地域住民の意見を踏まえて、サービスの受容性や車両の使い勝手を検証してきました。
第5回実証実験は2024年11月から翌2025年1月にかけて、浜松市中央区で約3か月間行われ、スズキの小型車自動車ソソリオバンディットを改造した自動運転車両(レベル2相当)が、定時ルートで運行されました。当該車両に共同研究で開発された報知音を搭載し、停車や発進時に音で周囲へ状況を知らせ、有効性を実環境で検証しています。
自動運転車の「レベル」とは

自動運転には0から5まで6段階の「レベル」が定義されています。この数字が大きいほど人間の介入が少なくなり、完全な自動運転に近づきます。
自動運転レベルはアメリカの非営利団体「SAE International(自動車技術者協会)」によって定められており、その内容は以下のとおりです。
レベル | 内容 |
---|---|
0 | 完全な人力での運転 |
1 | システムが縦方向(加速・減速) もしくは横方向(ハンドル操作)のいずれか一方を制御する「運転支援」 |
2 | システムが縦方向と横方向の両方を、限定された状況で実行する「部分運転自動化」 |
3 | システムが特定の条件下ですべての運転を実行し、運転手が運転以外のことをできる「条件付き運転自動化」 |
4 | システムが特定の条件下ですべての運転を実行し、運転手不在でも動作可能な「高度運転自動化」 |
5 | あらゆる条件下でシステムが自動運転する「完全運転自動化」 |
レベル4以降については、現時点では実証実験段階ではありますが、今後の展開を考えると、サウンドデザインなどの研究は必要不可欠なものだと考えられます。
参考:
フェリス女学院大学中西准教授とスズキ株式会社が、レベル4自動運転車の動作や状態をドライバーや歩行者に伝えるサウンドデザインの共同研究を実施
スズキ、浜松自動運転やらまいかプロジェクト第5回実証実験に参加
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