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【2025年版】カーボンニュートラルと自動車業界の関係は?各メーカーの施策や今後の課題を解説

更新日: 2026/1/5投稿日: 2025/12/24

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【2025年版】カーボンニュートラルと自動車業界の関係は?各メーカーの施策や今後の課題を解説
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「カーボンニュートラルという言葉をよく聞くけれど、自動車業界とどう関係があるの?」

世界的な脱炭素の流れを受け、自動車業界は大変革期の中にあります。

2025年12月現在、電気自動車(EV)への移行だけでなく、ハイブリッド車(HV)の再評価や水素エンジンの開発など、各メーカーが独自戦略でカーボンニュートラル達成を目指しています

しかし、消費者として知りたいのは「結局ガソリン車はいつ乗れなくなるのか」「どのメーカーが環境に良いのか」の2点ではないでしょうか。

そこでこの記事では、カーボンニュートラルの基礎知識から国内主要メーカーの最新施策、ガソリン車の今後などを徹底解説します。

記事を読めば、カーボンニュートラルに向けてどの車種を選択すべきかが確実に分かります。ぜひ、最後までご覧ください。

【基礎知識】カーボンニュートラルとは?概要を解説

「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガスの「排出量」と、森林などによる「吸収・除去量」を均衡させることです。排出される二酸化炭素(CO2)やメタン、フロンガスなどが、実質的にプラスマイナスゼロになっている状態を指します。

重要なのは「排出を完全にゼロにする」という意味ではないという点です。経済活動などでどうしても排出が避けられない分を、植林による吸収やCCUS技術などで相殺することで達成を目指します。

CCUSとは、以下3つの単語の頭文字を取った技術のことです。

  • Carbon dioxide Capture:二酸化炭素の分離・回収
  • Utilization:有効利用
  • Storage:貯留

これは、社会で排出されるCO2を分離・回収し、資源として化学製品や燃料の原料に利用する、安全に保存するなどで、大気中へのCO2排出量を削減する技術の総称を指します。

日本も2050年までにカーボンニュートラルを達成することを宣言しており、政府や自治体を通して社会全体での取り組みが進められています。

カーボンニュートラルと車の関係は?

自動車業界は、カーボンニュートラル達成の鍵を握る重要な産業です。その背景と現状を、以下3つの項目から解説します。

  • 車は大量の二酸化炭素(CO2)を排出する
  • CO2排出量が少ない車が注目されている
  • 自動車メーカー各社がカーボンニュートラルに向けた取り組みをしている

車は大量の二酸化炭素(CO2)を排出する

2023年度の統計によれば、日本国内のCO2排出量のうち、自動車が関係する「運輸部門」は約19.2%を占めています。このうち自家用車からの排出量は約6%、その他運輸車両・船舶の排出量が13.3%であり、これらの割合を減らさない限り、カーボンニュートラル達成はまず不可能です。

引用:環境省

自動車はガソリンや軽油を燃やして走るため、走行中にCO2を直接排出します。1台あたりの量は少なくても、国内で約8,000万台が保有されているため、その総量は膨大です。

さらに、車は走行中だけでなく、製造から廃棄に至るまでの「ライフサイクル全体」でCO2を排出し続けます。この一連の過程での排出削減をいかに行うかが、カーボンニュートラル達成の鍵を握っています。

CO2排出量が少ない車が注目されている

CO2排出量が少ない、あるいはまったく排出せずに走れる車両が「電動車」です。電動車に該当するカテゴリーは、以下のとおりです。

  • ハイブリッド車(HEV/HV)
  • 電気自動車(BEV/EV)
  • プラグインハイブリッド車(PHEV)
  • 燃料電池自動車(FCV)

政府はカーボンニュートラルを達成すべく、補助金や税制優遇を展開し、電動車の普及を後押ししています。

その甲斐あってか、2025年現在、日本国内の乗用車新車販売における電動車の比率はすでに50%を超えましたただし、その大半は依然としてハイブリッド車(HV)が占めているのが現状です。

自動車メーカー各社がカーボンニュートラルに向けた取り組みをしている

世界各国の環境規制や日本政府の「2035年電動車100%」目標に対応するため、国内の自動車メーカー各社は日々取り組みを行っています。

各社の取り組みは、単に「燃費の良い車を作る」だけに留まりません。使用する電力を再生可能エネルギーに切り替える、バッテリーのリサイクル体制を整えるなど、各所で地道な努力が続けられています。

部品調達から製造、輸送、そしてリサイクルまで、自動車のライフサイクル全体における脱炭素化を目指すことが、カーボンニュートラル達成には重要となります。

自動車メーカー各社のカーボンニュートラル施策一覧

日本の主要自動車メーカー6社が掲げる、最新のカーボンニュートラル戦略を紹介します。

  • 日産
  • トヨタ
  • マツダ
  • ホンダ
  • スバル
  • スズキ

日産:2030年早期に主要市場での販売車両をすべてEVに

引用:日産公式サイト

日産は長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を掲げ、ライフサイクル全体でのカーボンニュートラルを目指しています。2030年代早期には、日本や米国などの主要市場に投入する新型車をすべて電動車両(EVおよびe-POWER)にする計画です。

当初、2030年度の電動車販売比率を50%としていましたが、2023年に目標を55%以上へと引き上げました。2026年度までにEV19車種を含む計27車種の電動車を投入し、ラインナップを大幅に強化する予定です。

また、EV普及の鍵となる「全固体電池」の自社開発も進めており、2028年度までの市場投入を目指しています。生産面でも最新技術を導入し、工場の再エネ化やバッテリーの再利用事業を推進しています。

トヨタ:2050年に事業全体でのカーボンニュートラル達成

引用:トヨタ公式サイト

トヨタは「トヨタ環境チャレンジ2050」に基づき、事業全体でのカーボンニュートラルを目指しています。最大の特徴は、国や地域の事情に合わせて最適な解決策を提供する「トヨタマルチパスウェイ」です。

EVに関しては「bZシリーズ」を展開し、2030年までに30車種、年間350万台の販売を計画しています。一方で、現実的な解としてのPHEVやHV、商用車向けのFCEVなど、全方位での技術開発を継続中です。

また、工場でのCO2排出ゼロ目標を2035年に前倒しするなど、生産現場での取り組みも加速させています。

マツダ:顧客ニーズに応じた多様な選択肢でCO2削減

引用:マツダ公式サイト

マツダもトヨタと同様に「マルチソリューション戦略」を採用しています。地域ごとの電力事情や顧客ニーズに応じ、EVやPHEV、HVなどの生産割合を調整する方針を打ち出しました。

電動車開発は段階的に進めており、主力SUVでPHEVを展開したのち、2025年以降にEV専用プラットフォームを本格導入します。その後、2035年までには世界の自社工場でのカーボンニュートラル達成を目指します。

またガソリン車においても、妥協を許しません。エンジンの高効率化を継続しつつ、バイオ燃料などの「カーボンニュートラル燃料」の活用を目指しています。

生産車両の電動化を進めつつも、同時にエンジンの可能性を追求していく点が、実にマツダらしいやり方といえるでしょう。

ホンダ:2040年にはEV・FCEVの比率を100%に

引用:ホンダ公式サイト

ホンダは、2050年に企業活動すべてでカーボンニュートラルを目指す宣言をしています。四輪車においては、2040年に世界での販売比率をEVとFCEVで100%にするという、非常に意欲的な目標を掲げました。

その通過点として、2030年には先進国でのEV・FCEV比率を40%(日本はHV含め電動車100%)にする計画です。2030年度までの10年間で約10兆円を投資し、次世代EV「Honda 0シリーズ」を2026年から投入するなど攻勢を強めています。

また、同時にGMとの提携によるコストダウンや、全固体電池の自社開発も進めています。二輪車や航空機分野でも脱炭素化を進め、モビリティ全体での変革に挑む姿は、ホンダらしい強い意欲の表れです。

スバル:2050年までに徐々にカーボンニュートラルを推進

引用:スバル公式サイト

スバルは2050年に向け、段階的にカーボンニュートラルを推進しています。独自のエンジンや技術に電動化技術を融合させ、スバルらしさと環境性能の両立を図ります。

また、トヨタと共同開発したEV「SOLTERRA(ソルテラ)」に続き、独自のハイブリッドシステム「e-BOXER」の搭載車種を拡大する方針です。当初は2030年にEV販売比率50%と強気の目標を設定していましたが、直近ではハイブリッド需要の高まりを受け、戦略を微修正しました。

このHVの需要増に対応するため、自社開発EVへの量産投資を一部後ろ倒しにするなど、市場動向を見据えた柔軟な対応をとっています。ただし、国内工場では依然2030年代のCO2排出ゼロを目指し、カーボンニュートラルを引き続き推進しています。

スズキ:2050年にグローバル全体でカーボンニュートラル達成

引用:スズキ公式サイト

スズキは他社同様、2050年のグローバルカーボンニュートラル達成を目指していますが、市場ごとに達成時期を変えています。日本や欧州では2050年ですが、最重要市場であるインドでは政府目標に合わせ、2070年の達成を目標としました。

インドではEV投入だけでなく、圧縮天然ガス(CNG)車やバイオ燃料車の普及に尽力しています。特に、牛の糞尿から生成するバイオガスを燃料にするプロジェクトは、現地の資源を活かす独自の取り組みとして注目されています。

また、日本では2024年度に軽商用EVを投入するなど、日本の道路に適した車両の電動化を進めています。このような、地域に適した移動手段を提供しようとする姿勢は、スズキ独自の強みとなるでしょう。

2035年にガソリン車が即廃止されるわけではない?「電動車100%」の誤解

「2035年にガソリン車が販売禁止になる」という情報について、多くの方が誤解を受けている様子が見られます。このことについての定義や、最新の情報について解説します。

  • 「2035年ガソリン車販売禁止」の真相
  • 日本政府の目標は「2035年までに乗用車新車販売で電動車100%」
  • 世界ではガソリン車廃止を見直す動きもある

「2035年ガソリン車販売禁止」の真相

「2035年にガソリン車の新車販売が禁止される」という言説は、もともとEU(欧州連合)やアメリカのカリフォルニア州が打ち出した達成目標が発端です。

しかし2025年12月現在、EUは2035年以降もエンジン車の販売を認める方針へ修正しました。アメリカでもトランプ大統領が誕生したことを受け、カリフォルニア州の独自規制が見直される可能性が非常に高くなっています。

欧州連合(EU)の行政・執行機関である欧州委員会は2025年12月16日、2035年に内燃機関車の新車販売を原則禁止する方針を撤回する案を明らかにした。

引用:Yahoo!ニュース

世界的に見ても「2035年にエンジン車が完全に消滅する」という絶対的なルールはなくなりつつあるといえるでしょう。

日本政府の目標は「2035年までに乗用車新車販売で電動車100%」

日本政府が掲げる目標は、「2035年までに乗用車の新車販売で電動車100%を実現する」というものです。ここで注目すべきなのは「電動車」にはハイブリッド車(HV)も含まれているという点です。

つまり、目標達成により販売されなくなるのは、純粋なガソリンエンジン車のみプリウスのようなHVは、2035年以降も販売されます。

日本政府の目標は「すべての車がコンセントで充電するEVになる」という意味ではないので、この点は安心してください。加えて、このような目標は必ずしも法的な強制力を持つものではありません。

世界ではガソリン車廃止を見直す動きもある

2025年現在、欧州や米国では急速なEVシフトへの反発や見直しが起きています。例えば、イギリスはガソリン車の販売禁止を2030年から2035年に延期し、2035年以降も1割は従来の車両を販売可能としています。

新たな計画では、2035年以降に販売される新車のゼロ・エミッション車の割合を100%ではなく90%にする。残りの10%は、従来のガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車となる可能性がある。

引用:BBC

反発が起きた1番の要因は、充電インフラの不足や電力網への負荷、バッテリー原材料の確保など、EVシフト以前に解決すべき課題が多いためです。

また、エンジン部品メーカーなどの雇用を守るため、地域のニーズに合わせた車種の生産を行う「マルチパスウェイ」を再評価する動きが強まっている点も、理由として挙げられます。

【2035年目標】カーボンニュートラル実現のために自動車業界が克服すべき課題3選

カーボンニュートラルを達成するうえで、自動車業界が直面している3つの課題について解説します。

  1. 高価な車両価格
  2. インフラの整備
  3. サプライチェーンとライフサイクルの課題

1. 高価な車両価格

カーボンニュートラル達成のもっとも大きな課題は、ガソリン車に比べて車両価格が高い点です。

EVやPHEVの車両価格が高い理由は、大容量バッテリーを積んでいるためです。バッテリーはリチウムなどのレアメタルが製造に必要なので、これらの材料費が価格を大きく左右します。

現在は補助金で価格差を埋めていますが、普及のためには補助金なしでもガソリン車と同等の価格で買えることが重要です。現在、各自動車メーカーは、安価なバッテリーの開発や生産効率化によるコストダウンを急いでいます。

2. インフラの整備

EV用の急速充電器は不足しており、特にマンションなどの集合住宅では充電設備の設置が難航しています。充電インフラの整備が不十分な状況では、EVの普及を進めることは困難です。

「充電スポットがないから車が売れない」という悪循環を断ち切るためのインフラ整備は、今後EVを普及させるうえでは急務といえるでしょう。

3. サプライチェーンとライフサイクルの課題

EVの製造から廃棄までには、ガソリン車以上に多くの電力が使われます。製造時のCO2排出量がガソリン車より多い現状では、たとえ走行時の排出量が削減できても、カーボンニュートラル達成は遠い目標と言わざるを得ません。

この課題を解決するには、工場の再エネ化やサプライチェーン全体での脱炭素化が必要です。また、レアメタルの調達リスクや、使用済みバッテリーのリサイクル体制構築も、避けては通れない課題になります。

この点に関しては、ほか2つの課題以上に今後の技術革新が重要となってくるでしょう。

【まとめ】カーボンニュートラル実現には社会全体の協力が不可欠

カーボンニュートラルの実現は、自動車メーカーの努力だけでは不可能です。エネルギー供給やインフラ整備、そして私たち消費者の協力があって初めて達成される目標となっています。

2025年現在、世界的にも極端なEVシフトは見直され、ハイブリッド車などを含めた現実的な移行が進んでいます。結果、カーボンニュートラル達成は少し遠のきましたが、現実的な道筋が見えてきたともいえるでしょう。

ぜひ次の車を選ぶ際は「環境への配慮」という視点も持ちつつ、自分に合った1台を選択してみてください。

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