【2025年版】EVバスとは?日本国内の導入事例や主要メーカーまで徹底網羅
更新日: 2026/1/5投稿日: 2025/12/25
EV
2025年12月現在、日本のカーボンニュートラルの実現に向けた動きは日々加速しています。その中核を担う存在として注目されているのが「EVバス」です。
特に、公共交通が抱える人材不足や環境負荷を解決する切り札として、自動運転技術を搭載したEVバスの営業運行には、大きな注目が集まっています。
そこでこの記事では、EVバスの基礎知識から導入のメリット・デメリット、最新の導入事例や政府の支援策までをプロの視点で徹底的に解説します。
ぜひ最後まで記事を読み、EVバスについての知見を深めてください。
EVバスとは?主な特徴を解説

EVバスとは、電気を動力源として走行するバスのことです。一般的には「電気バス」とも呼ばれ、主に大容量のバッテリーに蓄えられた電力を使用する「バッテリー式(BEV)」が現在の主流となっています。
従来のディーゼルバスと比較した最大のメリットは、走行中に二酸化炭素(CO2)などの排出ガスをいっさい出さない「ゼロエミッション」である点です。これは現在課題となっている環境問題を解決するための、大きな足がかりとなります。
また、エンジンを搭載しない構造のため、走行中の騒音や振動が極めて少ないのも特徴です。これにより、快適な走行が実現するだけでなく、早朝や深夜の運行時における近隣住民への騒音被害も大幅な低減が可能です。
EVバスの日本国内の現状を専門家が解説

2025年現在、日本国内におけるEVバスの導入台数は、数年前と比較して飛躍的に増加しています。ここでは、普及が加速している背景や市場の現状について、以下4つの項目から解説します。
- 自治体による導入が加速する背景
- 国の強力な補助金制度
- 日本国内のシェアは中国産が圧倒的
- 国産メーカー各社の開発状況と今後の展望
自治体による導入が加速する背景
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の達成に向け、多くの自治体が「ゼロカーボンシティ宣言」を表明しています。
ゼロカーボンシティ宣言とは?
各地方自治体が政府の方針に則って「2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする」目標を公表すること。宣言後は目標達成のための具体的な方法を策定し、再生可能エネルギー導入や省エネ推進など、施策を進める必要がある。
公共交通機関は、CO2排出量の削減が求められる主要分野です。よって、走行時にCO2を排出しないEVバスの導入は、具体的な実行策として最適です。
また、多くのEVバスは外部給電機能を搭載しており、停電時には避難所へ派遣されて「移動式の非常用電源」や冷暖房完備の避難スペースとして機能します。
特に台風などの災害が多い九州においては、この非常用電源としての役割を活かした運用が注目されつつあります。
国の強力な補助金制度
EVバスは車体価格が高額ですが、導入を後押しするために国や都道府県が手厚い補助金・助成金制度を用意しています。
環境省の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」や、国土交通省の「地域交通グリーン化事業」などを自治体が活用することにより、導入コストを大幅に軽減可能です。
加えて、ランニングコストの削減も期待されています。価格高騰が続く軽油に対し、EVバスは夜間電力などを活用して充電することで、燃料費(電気代)を安価に抑えられる可能性がある点も魅力です。
日本国内のシェアは中国産が圧倒的
2025年12月現在、日本のEVバス市場は中国メーカー「BYD」がシェア全体の約7割強を担っています。BYDは2015年に日本市場へ参入して以降、品質とコスト競争力、そして豊富なラインナップを武器に導入数を伸ばしてきました。
BYDのEVバスは、2015年に初めて日本市場に導入してから、これまでに累計350台のEVバスを全国のお客様にお届けしてまいりました。現在、日本国内のEVバス市場における販売シェアは、7割強を占めるまでに成長し、長年にわたるBYDブランドの「信頼」と「実績」を積み重ねてまいりました。
引用:BYD公式サイト
特に、2025年秋からは日本市場専用設計の中型バス「J7」の納車も開始されており、国内メーカーが手薄だった市場を席巻しています。
ただし、この状況に対して国内企業も黙って見ているわけではありません。現に、国内のベンチャー企業「EVモーターズ・ジャパン」は急速に導入数を伸ばし、体制を整えつつあります。
国産メーカー各社の開発状況と今後の展望
中国メーカーが先行する中、EVモーターズ・ジャパン以外の国内大手メーカー各社も、開発と市場投入を本格化させています。
例えば、いすゞ自動車は2024年、国産初のバッテリー式大型路線バス「エルガEV」を発売しました。エルガEVは専用の設計を採用し、車内後方まで段差のない「フルフラットフロア」を実現した点が最大の特徴です。
また、日野自動車はいすゞとの協業を進めつつ、小型EVトラック分野での展開も加速させています。このように各社とも開発を進めていることから、2026年以降はますます国内の競争が激化していくでしょう。
EVバスを手掛ける企業と主要車種一覧

日本国内でEVバスを展開する主要4社の特徴と、代表的な車種をそれぞれ紹介します。
- BYD
- EVモーターズ・ジャパン
- いすゞ自動車
- 日野自動車
BYD

BYDの主な車種一覧
- K8(大型路線バス):乗車定員80名の都市型バス。京成グループや神奈川中央交通などで導入
- J6(小型バス):コミュニティバスに最適なモデル。JR九州のBRTや埼玉県鴻巣市など全国で多数稼働
- J7(中型路線バス):日本の道路事情に合わせて車幅を2.3mに抑えた新型モデル
BYDは、中国に本社を置く世界最大手のEVメーカーです。日本国内でも、EVバス市場の約7割強という圧倒的なシェア率を誇ります。
普及率の最大の理由は、圧倒的に車体価格が安い点にあります。通常の国産大型EVバスは6,000万円以上が主流ですが、BYDの大型EVバスは4,000万円ほどで購入が可能です。
またBYDは、全車種で安全性の高いリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用。日本の公共充電設備に多く採用されている「CHAdeMO」規格にも対応しています。
EVモーターズ・ジャパン

EVモーターズ・ジャパンの主な車種一覧
- F8 series2-City Bus(大型路線バス):ノンステップ仕様で、伊予鉄バスや大分バスなどで導入実績あり
- F8 series4-Mini Bus(小型コミュニティバス):東京都港区の「ちぃばす」などで採用
- F8 series-6 Coach(中型観光バス):国内初のEV観光バスモデルで、災害時の電源車としても活用
福岡県北九州市に本社を置く、日本のEVベンチャー企業です。「国内生産」にこだわり、北九州市若松区に最終組立工場を建設、稼働させています。
独自技術「アクティブ・インバータ」によるエネルギー効率の良さが強みです。この技術により、バッテリーの長寿命化や航続距離の延長を実現しています。
国内メーカーのため、日本の道路事情や需要に合わせたサイズ展開も魅力的。2025年現在、すでに多くのバス会社や自治体で導入されています。
いすゞ自動車

いすゞ自動車の主な車種一覧
- エルガEV(大型路線バス):車内後方まで完全なフルフラットフロアを実現し、V2L機能も標準搭載
いすゞ自動車は日本のバス市場全体を支える、代表的な国内メーカーです。2024年に投入した「エルガEV」により、国産EVバス市場に参入しました。
2025年12月現在、導入されているのはエルガの1車種のみです。価格は約6,500万円で、外部給電(V2L)機能を標準搭載しています。
車内に段差がない「フルフラットフロア」仕様により、子どもや高齢者でも乗りやすいのが最大の魅力です。ドライバー異常時対応システム(EDSS)や、死角を検知するブラインドスポットモニターなど、最新技術も標準装備されています。
日野自動車

日野自動車の主な車種一覧
- 日野ポンチョZ EV(小型コミュニティバス):国内EVバスの草分け的存在。 東京都羽村市や港区などで長期間の運行実績あり
日野自動車は、いすゞ自動車と並んで日本のバス市場を支える大手メーカーです。現在はいすゞ自動車と提携し「J-BUS」としての事業を展開しています。
EVバスに関しては、唯一生産されている「日野ポンチョZ EV」が、自治体のコミュニティバスとして活躍しています。ただし2025年現在は、いすゞ自動車との統合会社J-BUSがEVバス事業の主体です。
国内EVバスの草分け的存在であり、今後も業界の発展に寄与していくでしょう。
EVバスを導入している自治体5選|事例とともに紹介

日本各地で実際にEVバスを導入し、地域の課題解決に取り組んでいる以下5つの事例を紹介します。
- 東京都港区:コミュニティバス「ちいばす」
- 茨城県古河市:循環バス「ぐるりん号」
- 埼玉県鴻巣市:コミュニティバス「フラワー号」
- 鹿児島県知名町:九電でんきバスサービス
- 長野県伊那市・栃木県那須塩原市:小型電気バス「e-JEST」
1. 東京都港区:コミュニティバス「ちぃばす」

東京都港区は早くからEVバス導入に積極的で、2017年からコミュニティバス「ちぃばす」にて、日野ポンチョEVを運用してきました。また2023年1月には、芝ルートへEVモーターズ・ジャパン製の小型EVバスを追加導入しています。
芝ルートとは?
新橋駅、虎ノ門ヒルズ、港区役所、田町駅東口、みなとパーク芝浦などを結ぶ、区内の主要拠点を循環する重要路線
高層ビルが立ち並ぶ都心部において、走行音が静かで排ガスが出ないEVバスは、都市環境の改善に大きく貢献しているといえます。
2. 茨城県古河市:循環バス「ぐるりん号」

2020年に「ゼロカーボンシティ宣言」を表明した古河市では、EVモーターズ・ジャパン製の小型EVバスを導入しました。また、運行を委託しているバス事業者の営業所には急速充電器も設置され、インフラ整備も同時に進められています。
2025年12月時点でも市の公式サイトで運行案内が更新されており、地域交通として定着しています。導入されたEVバスは「走る広告塔」として、市の環境政策を強くアピールしているといえるでしょう。
3. 埼玉県鴻巣市:コミュニティバス「フラワー号」

鴻巣市は2023年5月、コミュニティバス「フラワー号」の1台としてBYD製の小型電気バス「J6」を導入しました。環境負荷低減と市民の利便性向上を目的に、EV化が行われた形となります。
コンパクトな車体と十分な航続距離を持つBYDの「J6」は、細い路地の多いコミュニティバス路線に適しており、スムーズな運行を実現しています。その利便性が認められたためか、2024年3月には2台目のJ6が導入されました。
4. 鹿児島県知名町:九電でんきバスサービス

2024年5月、九州電力グループが提供するサブスクリプションサービス「九電でんきバスサービス」の第1号として、知名町にEVバスが導入されました。導入されたのはEVモーターズ・ジャパン製の小型バスで、町営ホテルの送迎用として空港や港を結んでいます。
九電でんきバスサービスは、車両や充電設備、メンテナンスなどを、サブスクでパッケージ提供するものです。対象地域であれば、初期投資を抑えつつEVバスを導入できるメリットがあります。
離島における脱炭素化の取り組みとして、特に注目すべき事例といえるでしょう。
5. 長野県伊那市・栃木県那須塩原市:小型電気バス「e-JEST」

長野県伊那市および栃木県那須塩原市の事例は、欧州で実績のあるトルコ製の小型EVバス「e-JEST」が、日本で初めて導入されたものとなります。
e-JESTは、長野県伊那市ではコミュニティバス「イーナちゃんバス」、栃木県那須塩原市では地域バス「ゆーバス」として運行されています。全長約6mというコンパクトなサイズと、BMW製の強力なモーターによる登坂能力が特徴です。
日本の道路幅が狭く坂道の多い地域では、小型バスにも一定の馬力が必要です。その需要をうまく満たすe-JESTは、今後ますます日本のEVバス導入を促進する起爆剤になる可能性があります。
多くの国産EVバスを手掛ける企業「EVモーターズ・ジャパン」とは?

国内シェアを急拡大させている注目企業「EVモーターズ・ジャパン」について、その実態を解説します。
会社概要
| 創立日 | 2019年4月1日 |
| 代表取締役 | 佐藤 裕之 |
| 主な事業 | ・EV及び充電設備の販売・メンテナンス ・レベル4自動運転バスの開発 ・EVのリースやレンタル ・蓄電池やPVを活用した再生可能エネルギー事業 |
EVモーターズ・ジャパンは2019年に設立された、福岡県北九州市に本社を置くスタートアップ企業です。バスだけでなくトラックやトライクなど幅広い商用EVを開発しており、独自技術による「低電力消費」を最大の強みとしています。
本社がある北九州市に「ゼロエミッション e-PARK」という組立工場を建設しており、2025年12月現在は第二期工事までが完了。もしこの工場が完成すれば、年間1,600台のEVバス生産が可能とされています。
EVモーターズ・ジャパンの親会社
EVモーターズ・ジャパンは、特定の「親会社」は持たない独立系のベンチャー企業です。ですが、その技術力に期待する多くの大手企業が、資本参加しています。
資本参加している出資企業の例は、以下のとおりです。
- 住友商事株式会社
- 豊田合成株式会社
- 関西電力グループ
- りそなキャピタル株式会社 など
具体的には、住友商事が早期から出資しているほか、2024年12月には豊田合成が資本参加を発表しました。豊田合成の自動車部品技術と同社の車両開発ノウハウを組み合わせ、さらなる性能向上を目指しています。
また、2023年度決算では売上高が前年比約44倍を記録するなど、業績も急成長している様子です。
「やばい」と言われる理由
EVモーターズ・ジャパンについての検索ワードで「やばい」と出てくる背景には、2025年に発生した大規模な不具合問題があります。
事例では、同社が輸入販売した中国製車両においてブレーキホースの損傷や重要部品の脱落といった重大な不具合が相次いで報告されました。
EVMJをめぐっては、全国で販売した317台のうち3割超の113台でブレーキ部品の損傷などの不具合が確認されたことが、同社から国交省への報告で明らかとなっている。
引用:朝日新聞
これを受け、国土交通省は2025年9月に総点検を指示し、同年10月20日には本社への立入検査を実施しました。この影響により、自治体や事業者は現在、同社製車両の導入に対して慎重な姿勢を見せています。
EVバスに関するよくある質問

EVバスについて、よく挙がる疑問への回答を掲載します。
はい、2025年に重大な不具合事例が発生しています。大阪・関西万博の会場内で走行中の車両が停止したほか、全国に納入された車両の3割以上でブレーキ関連の損傷が見つかりました。
これらはEVモーターズ・ジャパンが輸入した特定の車種で発生したもので、現在は国交省の指導のもと、原因究明と対策が進められています。
はい、すでに実用化され導入が始まっています。
これまでは航続距離の課題から路線バスが中心でしたが、技術革新により観光利用が可能になりました。国内初のEV観光バス「F8 series-6 Coach」は280kmの航続距離を持ち、座席にはUSBポートも完備されています。
災害時には電源車としても使えるため、観光地での新たな付加価値として注目されています。
車種やメーカーによりますが、いすゞの大型路線バス「エルガEV」は約6,578万円、BYDの中型バス「J7」は約4,015万円が希望小売価格となっています。そのため、従来のディーゼルバス(約2,500万円〜)と比較すると、現状ではまだまだ導入コストが高くなっています。
よって、多くの自治体で導入を進めるには、今後の技術革新による低価格化が大きな課題です。
【まとめ】EVバスは日本の公共交通のスタンダードになり得る

EVバスは、日本の脱炭素社会を実現するために欠かせない存在です。ただし2025年12月現在、車両コストや一部メーカーでの不具合問題など、解決すべき課題は多く残されています。
一方、国による手厚い補助金制度や、いすゞ自動車などの国産メーカーによる本格参入により、導入のハードルは着実に下がりつつあります。
今後、技術の成熟とともに信頼性が向上すれば、日本の公共交通の新たなスタンダードとして定着していく可能性は高いでしょう。ぜひ、お住まいの都道府県や自治体の動向を、チェックしてみてくださいね。
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