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自動運転のレベル5はいつ実現する?主要国の現状や課題を徹底解説

更新日: 2025/10/1投稿日: 2025/9/29

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自動運転のレベル5はいつ実現する?主要国の現状や課題を徹底解説

「自動運転のレベル5って本当に実現するの?」
「完全自動運転の車が買えるのはいつ頃なんだろう?」

自動運転レベル5が実現すれば、運転から完全に解放され、移動時間を自由に使えるようになります。ところが2025年時点では自動運転レベル5が実用化されていないため、そのような時代が本当に来るのかは、気になるポイントですよね。

そこでこの記事では、自動運転レベル5について以下の内容を解説します。

  • 自動運転レベル5の定義と他のレベルとの違い
  • 日本・中国・米国・欧州における実現目標と進捗状況
  • レベル5実現に向けた技術面・インフラ面の課題

ぜひ最後までご覧ください。

自動運転のレベルとは?0~5それぞれの概要を解説

自動運転には、運転の自動化度合いに応じて0から5までの6段階のレベルがあります。まずは各レベルの定義を理解しておきましょう。

以下の表に、自動運転レベル0から5までの概要をまとめました。

レベル名称運転の主体システムの役割
レベル0運転自動化なしドライバー警告のみ
レベル1運転支援ドライバーハンドル操作または加減速のどちらかを支援
レベル2部分運転自動化ドライバーハンドル操作と加減速の両方を支援
レベル3条件付運転自動化システム(条件付き)特定条件下でシステムが運転、緊急時は人間が対応
レベル4高度運転自動化システム特定条件下でシステムが全ての運転を実施
レベル5完全運転自動化システムあらゆる条件下でシステムが全ての運転を実施

レベル2までは「運転支援」に分類され、運転の主体はあくまで人間です。ドライバーは常に道路状況を監視し、いつでも運転操作を引き継げる状態でいる必要があります。

レベル3以降が「自動運転」と呼ばれ、システムが運転の主体となります。レベル3では特定の条件下でシステムが運転を担当し、対応できない状況になった際に人間に運転を引き継ぎます。

レベル4では、特定の条件下であればシステムがすべての運転操作を完結することが可能です。例えば、決められたルートを走る自動運転バスや、特定エリア内を走行する自動運転タクシーがレベル4に該当します。

レベル5は「完全自動運転」と呼ばれ、場所や天候、道路状況に関係なく、あらゆる環境下でシステムが全ての運転を実施します。ドライバーが運転に関与する必要は一切なく、ハンドルやペダル操作すら不要になる段階です。

2025年現在、レベル5を実現している市販車は世界中に存在しません。各国の自動車メーカーや技術企業が開発を進めていますが、実用化にはまだ時間がかかる見込みです。

2025年現在の自動運転車の開発状況とは

現時点での自動運転の開発状況は、レベル5どころか、レベル4の市販化もまだ実現していません。

市販車として一般消費者が購入できる最高レベルは、レベル2の運転支援機能です。日本では、トヨタ・日産・ホンダなどが販売する車に、車線維持支援や追従走行機能などのアシスト機能が搭載されています。

なお、2021年にはホンダが世界初のレベル3機能を搭載した市販車「レジェンド」を発売しました。しかし、レジェンドは限定100台の生産に留まり、現在は生産を終了しています。そのため、現在入手できる市販車はレベル2が最高です。

一方市販車ではない分野では、特定エリアでの実証実験や限定運行により、レベル4の自動運転車が稼働しています。中国や米国では、都市部の一部エリアでレベル4の自動運転タクシーが実際に乗客を乗せて運行中です。

日本では、一部のエリアにおいてレベル4の実証実験や導入が始まっている段階です。福井県永平寺町では、自動運転レベル4の7人乗り電動カートが約2kmの区間で運行しているなど、少しずつ導入が始まっています。

レベル5はまだまだ状況が不明瞭ですが、前段階のレベル4については、世界的に普及が進んでいる状態です。

自動運転のレベル5はいつ実現する?主要国の進捗を紹介

自動運転レベル5の実現時期について、各国の状況を見ていきましょう。レベル4もまだ普及段階には至っていないため、レベル5の実現は当面先になる見込みです。

ただし、国によってはレベル5に言及しているケースもあり、実現不可能ではありません。以下では、日本・中国・米国・欧州における進捗状況を紹介します。

日本:2027年に公道実験を開始予定

日本では、2027年に開催される「国際園芸博覧会(花博」で、レベル5の実証実験を実施する予定です。大阪・関西万博に続く大規模イベントでの実証実験となり、国内外から注目を集めています。

政府が2021年に発表した「官民ITS構想・ロードマップ」では、自動運転の実現目標が以下のように定められています。なお、ロードマップにかかれているのはレベル4までで、レベル5については言及がありません。

目標年度区分目標内容
2025年目処自家用車高速道路での自動運転レベル4の実現
2025年以降物流サービス高速道路でのトラックの自動運転レベル4の実現
2025年以降移動サービス限定き域での無人自動運転移動サービス(レベル4)

2025年現在では、高速道路でのトラック自動運転実現に向けた実証実験が進行しています。例えば2025年には、T2と三菱地所が共同で実施した自動運転トラックによる物流施設内の走行実証がスタートするなど、物流分野での実用化が近づいています。

T2と三菱地所が自動運転トラックによる物流施設の「建物内走行」を実証

投稿日: 2025/8/28更新日: 2025/9/4

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レベル4までの計画は比較的順調に進んでいるため、2027年のレベル5実証実験についても期待が持てます。ただし、実証実験から一般への普及までには、さらに数年から10年程度かかる見込みです。

中国:2030年までに新車販売の10%をレベル4~5相当にする予定

中国政府が2015年に発表した「中国製造2025」では、2030年に新車販売の10%をレベル4~5相当にする目標が掲げられています。

自動運転技術において、中国は世界の最前線を走っています。2025年には世界初となる完全無人の自動運転レベル4レンタカーサービスが始動しました。また、百度(Baidu)とUberが提携し、数千台規模の自動運転タクシーを世界各地に展開する計画も進んでいます。中国国内の一部都市では、すでにレベル4の自動運転バスが50両以上導入され、市民の足として活用されています。

中国の自動運転の現状は?実証実験や実例、事故など気になるポイントを解説

投稿日: 2025/7/30更新日: 2025/7/30

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2030年の実現目標を出したのが2015年と10年以上前のため、現時点での詳細な進捗状況は不明です。しかし、自動運転技術の開発スピードと実用化の実績から、レベル5の実現に最も期待が持てる国と言えます。

米国:国としてのレベル5に関する言及はない

米国は、現時点ではレベル5の実現目標や具体的な時期を公式に発表していません。ただし、自動運転技術の開発では世界トップクラスの水準を維持しています。

例えばmWaymoは2018年にレベル4の自動運転タクシーサービスを開始し、完全無人運行も実現済みです。サンフランシスコなどで24時間営業のロボタクシーサービスを提供しており、年間数百万回の乗車実績があります。

また、米国としての公式な目標はありませんが、テスラがレベル5の実現を公言しています。現状はレベル2相当の運転支援機能「Full Self-Driving(FSD)」のみが実用化されている状態ですが、技術力の高い企業のため、今後の期待が持てるでしょう。

欧州:2030年にレベル5を一般化するというロードマップあり

EUが2018年に発表したロードマップでは、2030年にレベル5が標準化した社会を目指す方針が示されました。欧州全体で、自動運転技術の開発と普及を推進する姿勢を明確にしています。

現状では、フランスでレベル4の自動運転バスの実証実験が実施されています。また、ノルウェーやオランダでは自動運転バス「e-ATAK」が実際に運行されており、市民が日常的に利用できる環境が整いつつあります。

2018年のロードマップから7年が経過した2025年現在の進捗は上々と言えますが、2030年までにレベル5を標準化するという目標達成には、さらなる技術革新と法整備が必要です。

自動運転レベル5の実現に向けた3つの課題

自動運転レベル5を実現するには、解決すべき課題が複数あります。主な課題は、技術面・インフラ面・セキュリティ面の3つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.技術面の改善

レベル5を実現するには、現在レベル4に使われているセンサーやAIの判断能力をさらに高める必要があります。

現在の自動運転システムは、カメラ・レーダー・LiDARなどのセンサーで周囲の状況を認識し、AIが運転判断を下しています。レベル4では限定された環境下で高い精度を発揮していますが、レベル5にはさらに高度な認識能力が求められます。

予期せぬ事象や珍しい事例においても適切な判断ができることが、完全自動運転の実現には不可欠です。例えば、以下のような状況での対応が課題となっています。

  • 工事中で一時的に変更された通行ルート
  • 警察官による手信号での交通整理
  • 路上に落ちている予想外の障害物
  • 濃霧や豪雨など視界が極端に悪い状況
  • 歩行者の突然の飛び出しや予測不能な動き

特に日本は狭い道が多く、対向車とのすれ違いや複雑な交差点での判断が難しい場面が頻繁にあります。さらに、日本は世界でも珍しい左側通行の国のため、海外で開発されたシステムをそのまま導入できません。技術の改善には、継続的な実証実験とデータ蓄積が欠かせないでしょう。

2.インフラ整備

自動運転は、手動運転の時代には必要なかったインフラ整備が求められます。具体的には、道路や交通インフラを自動運転に適した状態に整える必要があります。

例えば白線が消えかかっている道路や、木によって隠れている標識がある場合、人間のドライバーは経験と状況判断で対応できますが、AIには困難な場合があります。

そこで、AIがスムーズに判断できるよう道路環境を整えるか、高精度の3次元地図が必要です。しかし、全国の道路を整備し直すには膨大な費用と時間がかかります。

必要なインフラ整備の例を挙げると、以下のようなものがあります。

  • 明瞭な白線と標識の維持管理
  • 自動運転車専用レーンの設置
  • 高精度3次元地図の作成と更新
  • 信号機との通信システム構築

日本全国の道路をカバーするには、国・自治体・民間企業が連携して長期的に取り組む必要があります。

3.サイバー攻撃への対応

AIを活用した自動運転システムには、ネットワーク通信が必要不可欠です。しかし、ネットワークに接続する以上、サイバー攻撃のリスクが常に存在します。

サイバー攻撃を受けた自動車が誤作動を起こし、危険運転をする可能性もゼロではありません。最悪の場合、遠隔操作によって意図的に事故を引き起こされる危険性もあります。

セキュリティ対策の向上は、自動運転の安全性を確保する上で極めて重要です。

自動運転レベル5の実現はまだ先だが、技術は進歩している

各国のロードマップや自動運転の進捗状況では、レベル4の実現に向けての研究が進められており、レベル5の実現はまだまだ先になると考えられます。実現にはまだ時間がかかりますが、技術は確実に進歩している状態です。

特に2025年には、AI技術の大きな発展があったため、これが自動運転の分野でも活かされることが期待できます。

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