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日本の自動運転の現状とは?世界と比べた最新の動向について解説

更新日: 2025/10/1投稿日: 2025/9/27

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日本の自動運転の現状とは?世界と比べた最新の動向について解説

「自動運転って結局いまどうなっているの?」
「日本での現状が知りたい」

自動運転技術に期待を寄せていたものの、大きな話題になっていないこともあり、進展状況が気になっている方も多いのではないでしょうか。

日本では現在、レベル4の自動運転車の実証実験が各地で進んでいます。市販車としては、レベル2までの機能搭載車が購入可能です。

この記事では、2025年現在の日本における自動運転の最新状況について詳しく解説します。

  • 日本で進む自動運転レベル4の実証実験の現状
  • 一般消費者が自動運転車を購入できる時期
  • 世界と比較した日本の自動運転技術の立ち位置

ぜひ最後まで読んで、自動運転技術の最新動向を把握してください。

【2025年現在】日本での自動運転の現状を解説

現状は「自動運転レベル4」の実証実験が進んでいる

日本では2025年現在、自動運転レベル4の実証実験が全国各地で進められています。自動運転にはレベル0からレベル5までの段階があり、数字が大きいほど自動化の度合いが高くなります。

自動運転レベルの分類は以下の通りです。

レベル名称運転の主体概要
レベル0運転自動化なしドライバーすべての運転操作をドライバーが実施
レベル1運転支援ドライバー加速・減速またはハンドル操作のいずれかをシステムが支援
レベル2部分運転自動化ドライバー加速・減速とハンドル操作の両方をシステムが支援
レベル3条件付き運転自動化システム(条件付)特定条件下でシステムが運転操作を実施。緊急時はドライバーが対応
レベル4高度運転自動化システム特定条件下でシステムがすべての運転操作を実施。緊急時もシステムが対応
レベル5完全運転自動化システムあらゆる条件下でシステムがすべての運転操作を実施

レベル4の社会実装が実現すれば、特定エリア内で自動運転車が実用化されたと言えます。ドライバーが運転操作をしなくても、システムが安全に目的地まで運んでくれる段階です。

レベル5については、2027年に開催される「国際園芸博覧会(花博)」で実証実験を実施する予定となっています。ただし、あらゆる天候・道路条件に対応する必要があるため、社会実装の見通しは立っていません。

日本で行われている自動運転レベル4の事例

日本各地で進められている自動運転レベル4の導入状況を紹介します。

実施地域運行形態実施内容
福井県永平寺町自動運転バスヤマハ製の7人乗り電動カート「AR-07」を活用し、曹洞宗大本山永平寺の参道入口と周辺施設を結ぶ約2kmの区間で運行。
東京都大田区自動運転バスHICity内や羽田空港第3ターミナルを結ぶ公道の一部で運行。2024年6月には民間企業として初めて公道でのレベル4運行許可を取得
長野県塩尻市自動運転バスJR塩尻駅と市役所を結ぶ区間を含む公道を、時速35kmで走行する日本初の認可事例

現状は、一部の地域でレベル4相当の自動運転バスが運行しています。詳しくは以下の記事もご確認ください。

自動運転レベル4とは?普及や仕組み、活用事例について解説

投稿日: 2025/8/26更新日: 2025/9/4

自動運転レベル4とは?普及や仕組み、活用事例について解説

現行の市販車では「レベル2」が最高

2025年現在、一般消費者が購入できる市販車の自動運転レベルは2が最高です。レベル2は「部分運転自動化」と呼ばれ、ドライバーが運転の主体となって運行します。

2021年には、ホンダが世界初のレベル3自動運転機能を搭載した「レジェンド」を発売しました。しかし、リース販売かつ100台限定だったため、現在は入手できず、再販も行われていません。

レベル2だと低いように感じるかもしれませんが、世界的に見ても市販車の最高レベルは2であり、日本車が遅れを取っているわけではありません。各メーカーとも高度な運転支援機能を搭載したレベル2の車両を販売しています。

日本で自動運転が実現するのはいつから?

政府が2021年に発表した「官民ITS構想・ロードマップ」によると、自動運転の実現目標は以下のとおりです。

目標年度区分目標内容
2025年目処自家用車高速道路での自動運転レベル4の実現
2025年以降物流サービス高速道路でのトラックの自動運転レベル4の実現
2025年以降移動サービス限定き域での無人自動運転移動サービス(レベル4)

2025年現在では、高速道路でのトラックの実証実験が進められており、物流業界のドライバー不足解消に向けた取り組みとして注目されています。

限定地域での無人自動運転移動サービスについては、前述の永平寺町などで既に実証運行が始まっています。特定のエリア内であれば、2025年中にサービス開始となる地域も出てくる見込みです。

なお、レベル5については政府のロードマップで言及がなく、まずはレベル4の社会実装をクリアすることに期待が寄せられています。一般消費者が自動運転車を自由に購入できるようになるには、法整備やインフラ整備を含めて、さらに時間が必要です。

日本メーカーの自動運転対応機種を紹介

「自動運転レベル3の車はないの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、前述のとおり、2025年現在で一般販売されている市販車にレベル3はありません。

ここからは、各メーカーが販売するレベル2の運転支援機能を搭載した代表的な車種を紹介します。どのような機能が搭載されているかも合わせて解説します。

トヨタ

トヨタは「Toyota Safety Sense」「Advanced Drive」と呼ばれる運転支援機能を搭載した車種を発売しています。

機能概要対応車種(一例)
Advanced Drive高速道路や自動車専用道路の本線上の運転において、ナビゲーションで目的地を設定すると、ドライバー監視のもとにシステムが運転を支援する機能・アルファード
・ヴェルファイア
・ヴォクシー
・ノア
・クラウン
・MIRAI
・ランドクルーザー
・センチュリー
Toyota Safety Sense自動車の衝突回避や被害軽減などをアシストする予防安全パッケージ・上記車種
・カローラ
・グランエース
・シエンタ
・ハイエース ワゴン

※Advanced DriveとToyota Safety Senseは、トヨタの運転支援システムの総称です。車種によって、搭載されている具体的な機能は異なります。

トヨタ車の運転支援機能は、幅広い車種に標準装備またはオプション設定されており、予算に応じて選択できます。

ホンダ

ホンダはHonda SENSINGという運転支援システムを展開しています。衝突軽減ブレーキや誤発進抑制機能、後方誤発進抑制機能など、ドライバーや歩行者の安全を守る機能です。

上位機能である「Honda SENSING 360」「Honda SENSING 360+」では、高性能な全方位センシングにより、さらに安全性を高めています。360+では、高速道路や自動車専用道路でのハンズオフ機能が利用可能です。

機能対応車種(一例)
Honda SENSING・N-VAN
・N-BOX
・N-WGN
・N-ONE
・フィット
・オデッセイ
・ステップワゴン
・フリード
・ヴェゼル
・ZR-V
・WR-V
・シビック
・プレリュード
Honda SENSING 360・アコード(HEV)
Honda SENSING 360+・アコード(HEV Honda SENSING 360+)

Honda SENSINGは軽自動車からミニバンまで幅広い車種に搭載されています。

日産

日産はProPILOTという運転支援技術を展開しています。分類や機能は次の通りです。

機能概要対応車種(一例)
ProPILOT先行者追従、停止、停止保持、ハンドル支援などを搭載した運転支援機能。
車種によっては、制限速度やカーブの大きさに合わせた加速・原則をナビ情報と連動する「ナビリング機能」を搭載。
・日産アリア
・日産リーフ
・日産サクラ
・ノート
・エクストレイル
・キックス
・セレナ
・ルークス
・デイズ
ProPILOT 2.0高速道路上でハンズオフ機能が利用可能。車線変更追い越し支援や360℃センシングなどが搭載されている上位モデル・日産アリア
・セレナ
ProPILOT Park駐車時に、駐車完了までドライバーをアシストする機能・日産アリア
・日産リーフ
・日産サクラ
・エクストレイル
・セレナ

ProPILOTは多くの車種に搭載されており、日産車のスタンダードとなりつつなる機能です。

三菱

三菱はe-Assistという運転支援システムを展開しています。衝突被害軽減ブレーキシステムや踏み間違い衝突防止アシスト、車線逸脱警報システムなど、10個以上のアシスト機能が搭載されているのが特徴です。

【e-Assist 対応車種(一例)】

  • eKクロス
  • eKワゴン
  • eKスペース
  • eKクロスEV
  • デリカ
  • トライトン
  • ミニキャブEV

ダイハツ

ダイハツはスマートアシストという運転支援システムを展開しています。車両に搭載した「ステレオカメラ」が周囲の状況を認識し、ドライバーの運転をサポートする機能です。衝突回避支援機能や認識支援、運転負荷軽減機能など、多くの支援機能を利用できます。

【スマートアシスト 対応車種(一例)】

  • ミライース
  • タフト
  • ムーヴ
  • タント
  • ロッキー
  • トール
  • アトレー
  • ハイゼット
  • グランマックス

軽自動車でも高度な運転支援機能が標準装備されており、予算を抑えつつ安全性を確保できます。

スズキ

スズキは「スズキセーフティサポート」という運転支援システムを展開しています。街中での運転や駐車時などに、20を超えるサポートを受けられる機能です。

【セーフティサポート 対応車種(一例)】

  • e ビターラ
  • ラパン
  • アルト
  • ワゴンR
  • スペーシア
  • ソリオ
  • スイフト
  • フロンクス

なお、車種によってアシスト機能の搭載状況は変わります。詳しくはスズキの公式ホームページをご確認ください。

マツダ

マツダは「i-ACTIVSENSE」という運転支援システムを展開しています。さまざまな運転環境で、ドライバーの認知・判断・操作をサポートし、事故のリスクを最小限に抑えます。

【i-ACTIVSENSE 対応車種(一例)】

  • MAZDA2
  • MAZDA3
  • MAZDA CX-3
  • MAZDA CX-30
  • MAZDA CX-5
  • MAZDA CX-60
  • MAZDA M-30
  • MAZDA ROADSTER

スバル

スバルは「アイサイト」という独自の運転支援システムを長年展開しています。アイサイトはステレオカメラを使った高精度な認識技術が特徴で、歩行者や障害物を立体的に把握し、ぶつかることを防ぎます。追突事故発生率0.06%という安全性が強みです。

【アイサイト 対応車種(一例)】

  • レイバック
  • インプレッサ
  • クロストレック
  • レヴォーグ
  • フォレスター
  • WRX S4
  • SUBARU BRZ

日本は遅れている?世界の自動運転車の開発状況

世界に目を向けると、中国とアメリカが自動運転技術の先進国として知られています。両国では既にレベル4の自動運転車が一部地域で実用化されています。

主な海外企業の自動運転サービス展開状況を紹介します。

企業名サービス内容展開地域
アメリカWaymo無人タクシーサービスフェニックス、サンフランシスコ等
中国百度(Baidu)無人タクシーサービス北京、上海、深セン等
中国AutoX無人タクシーサービス深セン、上海等

Waymoはアメリカで最も先行している企業で、完全無人での商用サービスを複数都市で展開しています。一般の人がスマートフォンアプリで無人タクシーを呼び出せる段階まで到達しています。中国の百度はApollo Goというサービス名で、既に数百万回以上の自動運転走行を実施するなど、一般化しているのが現状です。

これらに比べると、日本の自動運転市場は、やや遅れを取っていると言えます。遅れている主な理由は以下の2点です。

1. 社会の受容性の違い

日本では自動運転技術への懐疑的な声が根強く、安全性への要求水準が非常に高くなっています。慎重な姿勢は安全面ではプラスですが、実用化のスピードには影響しています。

2. 日本特有の気象条件

日本は雨や雪、台風など天候の変化が激しく、自動運転システムが対応すべき状況が多岐にわたります。センサー性能は雨や霧で低下するため、あらゆる天候への対応が技術的な課題です。

アメリカの西海岸や中国の一部都市は天候が安定しており、自動運転システムの開発環境として有利です。

ただし、日本が技術力で劣っているわけではありません。日本の自動車メーカーは高い品質管理能力を持っており、安全性を最優先にした開発を進めています。

日本でも自動運転の実証実験は進んでいる!今後の実現に期待

日本では2025年現在、自動運転レベル4の実証実験が全国各地で進められています。永平寺町では既に定常運行が始まっており、地方の交通課題解決に向けた取り組みが加速しています。

一般消費者が購入できる市販車はレベル2が最高ですが、トヨタ、ホンダ、日産をはじめとする日本メーカーは高度な運転支援機能を搭載した車両を販売しており、今後もさらなる技術発展が進んでいくでしょう。

自動運転技術の進展は着実に進んでいます。今後の実用化に期待しながら、最新情報をチェックしていきましょう。

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