自動運転の仕組みを徹底解説!使われている7つの技術や車種も紹介
更新日: 2025/7/23投稿日: 2025/7/22
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「自動運転って実際どんな仕組みなの?」
「どんな技術が使われているのか気になる」
自動運転技術について聞いたことはあるものの、どうやって車が自動で動いているのか、いまいちイメージが湧かないという人も多いのではないでしょうか?
自動運転にはカメラやセンサー、AIなど最先端の技術が組み合わさっており、私たちの生活にも少しずつ浸透し始めています。
この記事では、自動運転の基本的な仕組みから、実際に使われている技術や事例などをわかりやすく解説します。
未来の移動手段に関心がある方は、ぜひチェックしてみてください。
そもそも自動運転とは?仕組みやレベルについて解説

自動運転の仕組み
自動運転は、システムが人間の運転者に代わって「認知・予測・判断・操作」のすべてを担う高度な技術です。
まず車両には、カメラやミリ波レーダー、LiDAR(ライダー)などの各種センサーが搭載され、これらが360度にわたる周囲の情報をリアルタイムで検知・収集します。
得られた情報は、高精度な3D地図データと照合され、AIが走行ルートや進行車線、車間距離などを総合的に判断します。
AIはさらに、周囲の車両や歩行者の動きから今後の挙動を予測する機能も備えており、より安全でスムーズな走行を可能にします。
最終的には、こうした判断をもとに、ブレーキ、アクセル、ステアリングなどの操作が連携して自動制御され、車両が適切に走行・停止する仕組みです。
自動運転のレベルとは
自動運転の技術は、その自動化の程度に応じてレベル0からレベル5までの6段階に分類されています。
これは、米国自動車技術者協会(SAE International)によって定義された国際的な基準であり、各レベルは「人間がどこまで関与するか」によって分かれています。
それぞれの違いは、以下の表の通りです。
レベル | 内容 |
---|---|
0 | 完全な人力での運転 |
1 | システムが縦方向(加速・減速) もしくは横方向(ハンドル操作)のいずれか一方を制御する「運転支援」 |
2 | システムが縦方向と横方向の両方を、限定された状況で実行する「部分運転自動化」 |
3 | システムが特定の条件下ですべての運転を実行し、運転手が運転以外のことをできる「条件付き運転自動化」 |
4 | システムが特定の条件下ですべての運転を実行し、運転手不在でも動作可能な「高度運転自動化」 |
5 | あらゆる条件下でシステムが自動運転する「完全運転自動化」 |
現在、日本で市販されている乗用車は、運転をサポートするレベル2相当の機能が主流ですが、特定条件下での完全自動運転(レベル4)も一部地域で実証されています。
自動運転のレベルについて詳しい情報が知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
自動運転に使われている主な技術

自動運転に使われている主な技術として、以下が挙げられます。
- AI技術
- 認識技術
- 位置特定技術
- 通信技術
- セキュリティ技術
- データ処理技術
- ヒューマンマシンインタフェース技術
それぞれ見ていきましょう。
AI技術
AI(人工知能)は、自動運転の中枢を担う極めて重要な要素です。
人間の運転における「認識」「予測」「判断」といったプロセスを、AIが代替することで、自律的な走行が実現します。
AIは膨大な走行データを学習することで、例えば歩行者の突然の飛び出しといった予測困難な状況にも対応できるよう進化しているのがポイントです。
大企業の場合、Waymoやテスラなどは、それぞれ異なるアプローチでAIを活用し、開発競争をリードしています。
また、強化学習などの高度な技術も取り入れられ、複雑な交通状況や突発的な障害物への対応力が高められています。
認識技術
自動運転車が周囲の状況を正確に把握するためには、高度な認識技術が欠かせません。
車両の「目」となるこの技術には、LiDAR(ライダー)、カメラ、ミリ波レーダー、超音波センサーといった複数のセンサーが用いられます。
※LiDAR(ライダー):レーザー光を使って対象物までの距離や形状を高精度に測定する技術
これらを組み合わせる「マルチセンサーフュージョン」によって、それぞれの弱点を補い合い、天候や光量の変化にも柔軟に対応します。
一方、テスラはカメラ映像のみを活用する方針を採っており、LiDARの必要性については業界内でも議論が続いています。
位置特定技術
自動運転の安全性を確保するためには、車両の正確な位置把握が不可欠です。
一般的なGPSでは数メートル単位の誤差が発生するため、自動運転にはより高精度な測位技術が求められます。
これに加え、高精度な3次元地図データを組み合わせることで、車線レベルでの自車位置の特定が可能です。
こうした地図データの正確な作成と継続的な更新は、安全な自動運転を実現するための基盤であり、各社が力を入れている分野といえるでしょう。
通信技術
通信技術は、自動運転車が外部と情報をやり取りする上で不可欠な役割を担います。
特に注目されているのが、V2X(Vehicle-to-Everything)と呼ばれる仕組みで、車両同士(V2V)やインフラ(V2I)との通信を通じて、リアルタイムの交通情報を共有。
5Gのような高速通信を活用することで信号の変化や、見通しの悪い交差点の情報も即座に取得可能になり、事故の防止や交通の円滑化に貢献しています。
セキュリティ技術
ネットワークに常時接続される自動運転車は、サイバー攻撃のリスクにも晒されています。
センサーデータの改ざんや制御システムの乗っ取りといった攻撃は、直接的に人命を脅かす危険性があるため、強固なセキュリティ対策が不可欠です。
車両のハードウェアからソフトウェア、通信経路に至るまで多層的な防御を施し、万が一の侵入に備える体制が求められています。
この分野は、今後の技術進化において特に重要視される領域の一つといえるでしょう。
データ処理技術
自動運転車は、複数のセンサーから得られる大量の情報をリアルタイムで処理する必要があります。
その「頭脳」として重要なのが、SoC(System on a Chip)を中心とした高性能なコンピューティングプラットフォームです。
NVIDIAをはじめとする半導体メーカーが開発するこれらの技術は、高速かつ低消費電力で演算を行い、自動運転の安定性を支えます。
また、近年ではエッジAIの活用も進み、データをクラウドに送信することなく、車内で即座に処理する体制が整いつつあります。
ヒューマンマシンインタフェース技術
完全自動運転が実現するまでの過渡期において、ドライバーとシステムの連携をスムーズにするヒューマンマシンインタフェース(HMI)の重要性が高まっています。
HMIは、車両がどのような認識をしており、次に何をしようとしているのかをドライバーに直感的に伝える役割を果たします。
これにより、ドライバーの不安を軽減し、信頼関係の構築が可能になるのがポイント。
AIがドライバーの習慣や状況を学習し、必要な情報を適切なタイミングで提示するなど、HMI技術は今後のUXユーザー体験向上にも大きく貢献するでしょう。
自動運転が可能な代表的な車3選

こちらでは、自動運転が可能な代表的な車を紹介します。
- レクサス
- BMW
- メルセデス・ベンツ
それぞれ詳しく解説します。
1. レクサス
引用:レクサス
トヨタおよびレクサスは、自動運転レベル2に相当する高度運転支援技術「Toyota Teammate」「Lexus Teammate」を提供しています。
このシステムは高速道路などの限定された条件下で、車線維持や車間調整、分岐地点での判断、追い越しなどを自動で支援し、ドライバーの負担を軽減。
さらに上位機能の「Advanced Drive」では、渋滞時など特定状況下でのハンズオフ走行も可能となっており、安全性と快適性の両立を実現しました。
この技術は、レクサスLSやトヨタのMIRAI、アルファードなどの上位車種に搭載され、プレミアムモデルを中心に先進的なドライビング体験を提供しています。
2. BMW
引用:BMW
BMWは、自動運転レベル2の高度な運転支援機能と、レベル3の条件付き自動運転機能の両方を搭載した市販車を提供しています。
特に注目すべきは、世界で初めてレベル2とレベル3の機能を同一車両内でシームレスに切り替える認可を取得した点です。
レベル3の「Personal Pilot L3」は、新型7シリーズに搭載され、高速道路における時速60km以下の渋滞時に、ドライバーの操作なしで走行を実現。
また、レベル2では高速道路でのハンズオフ運転が可能で、日本国内においても海外メーカーとして初めてその機能の認可を得ています。
BMWは、安全性と快適性の両立を図りながら、自動運転技術の実用化を着実に前進させているメーカーのひとつです。
3. メルセデス・ベンツ
引用:メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツは、自動運転レベル3に該当するシステム「DRIVE PILOT」をSクラスや、EQSといった上級モデルにオプションとして提供しています。
このシステムは、ドイツや米国の一部地域で、高速道路における渋滞時の利用が認められており、特定条件下でドライバーの操作を不要とする機能が特徴です。
さらに、2025年初頭のソフトウェアアップデートにより、作動上限速度が従来の時速60kmから95kmへと拡大。
これにより、利用可能なシーンが渋滞時に限定されることなく、より広範な高速道路走行に対応できるようになりました。
実用化が着実に進むレベル3の先進事例として、世界的にも注目されています。
自動運転の仕組みに関するよくある質問

自動運転の仕組みに関するよくある質問として、以下を見ていきましょう。
- 自動運転レベル5になるのは何年後ですか?
- 自動運転システムの欠点は何ですか?
- 自動運転技術の国内における現状は?
自動運転に興味がある場合は、ぜひ参考にしてみてください。
自動運転レベル5になるのは何年後ですか?
完全自動運転を意味するレベル5の実現には、現時点では明確な見通しが立っていません。
当初は2030年代の実現が目標とされていましたが、実際にはその前段階であるレベル4の普及ですら課題が山積みで、技術開発や法整備、社会受容など多方面での時間を要しています。
専門家の中には、どんな道でも100%自動で走行できるようなレベル5の到達には2040年代以降、あるいは今から20〜30年かかる可能性があるとの見解もあります。
ただし、都市部の限定エリアや特定ルート内での実用的なレベル5の導入は、それよりも早まる可能性があり、段階的な導入が進むと考えられるでしょう。
自動運転システムの欠点は何ですか?
自動運転は高性能なテクノロジーに支えられていますが、いくつかの課題やリスクも抱えています。
まず、システムがコンピューター制御に依存しているため、ソフトウェアの不具合や外部からのハッキングといったセキュリティ面でのリスクが存在します。
また、事故が発生した際に運転者、車両メーカー、システム提供者のいずれが責任を負うのかという法的整理も、まだ十分ではありません。
さらに、歩行者や自転車などが頻繁に交差する都市部の一般道では、センサーによる認知やAIによる判断の難易度が非常に高くなります。
加えて、レベル2や3のような部分的な自動運転では、ドライバーの注意力が散漫になるという点も問題視されているのが現状です。
自動運転技術の国内における現状は?
2025年現在、日本において公道で許可されている自動運転レベルはレベル4までと定められています。
2023年には、国内初となるレベル4の自動運転移動サービスが一部地域で開始され、限定条件下での完全自動運転が実現しました。
参考:国内初!自動運転車によるレベル4での運行許可を取得しました-経済産業省
また、ホンダは2021年に世界で初めてレベル3の自動運転機能を搭載した車両「レジェンド」を市販化し、注目を集めました。
現在は多くのメーカーが、高速道路でのハンズオフ走行などを可能にする高度なレベル2機能を採用しており、2025年以降はレベル3の市販車普及や、レベル4の実証実験が限定的に拡大する見込みです。
国内では段階的な導入を通じて、安全性や社会的受容性を慎重に検証しながら、自動運転の実用化が進められています。
まとめ

自動運転の仕組みは、複数のシステムが組み合わさってできています。
主な技術だけでも把握しておくと、自動運転に対する理解が深まるでしょう。また、制度の変更、最新事例などにも触れておくと、自動運転の現在状況を把握しやすくなります。
このメディアは、他にも多くの車や自動運転に関するニュースを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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